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産経新聞


 暗号資産(仮想通貨)を獲得する「マイニング(採掘)」のため、自身の運営するWebサイト上に他人のPCの処理能力を無断利用するプログラムを設置したとして、不正指令電磁的記録保管の罪に問われたWebデザイナーの男性(34)の上告審弁論が12月9日、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)で開かれた。男性側は二審の逆転有罪判決を破棄し、無罪とするよう主張。検察側は上告棄却を求め結審した。判決期日は後日指定される。

 この日の弁論で男性側は「有用性のある新技術について、議論や評価も成熟しないうちに一方的に刑事罰を科すのは、技術開発を萎縮させる」と訴えた。検察側は「自分が利益を得るために他人のPCを無断利用する行為が違法なのは、常識に照らし明らかだ」と指摘した。

 閉廷後に記者会見した男性は「クリエイターの活動が曖昧な法律によって制限されることのないよう、正しい判決が頂けることを願っている」と話した。

 男性は2017年、運営するサイトに「Coinhive」と呼ばれるプログラムを設置し、閲覧者のPCの処理能力を無断利用したとして略式起訴された。

 不正指令電磁的記録保管罪はコンピュータを使う際、利用者の意図に反した動作をさせるコンピュータウイルスなどを取得・保管する行為を禁じており、Coinhiveが処罰の対象となるかが争点となった。

 一審横浜地裁は無罪としたが、東京高裁は罰金10万円を言い渡した。最高裁は二審の判断を変更する場合に弁論を開くことが多く、結論が見直される可能性がある。