Webアプリケーションエンジニアの id:shimobayashi です。
はてなでは開発プロセス改善などに関心のあるスタッフが集まる「すくすく開発会」*1があります。この記事では、すくすく開発会のこれまでと今後について紹介します。
すくすく開発会とは
開発プロセス改善などについて関心のあるスタッフが集まる有志集団で、すくすく開発会の「すく」はソフトウェア開発手法のスクラムを由来としています。
元々は各チームの開発プロセス改善を行っていたスタッフの情報交換やお悩み相談をするための場だったのですが、活動を続けるにつれてはてなの開発プロセス改善も行うようになりました。
定例会の実施が活動の中心で、毎週30分希望者が集まってお互いの困りごとを相談しあってチームの外からアドバイスをもらったり、今読んでいる本について紹介しあってお互いに刺激を得たりしていました。
そうした中で生まれた開発プロセス改善事例のひとつとして、例えば「プロジェクトテンプレート講義」があります。
活動事例: プロジェクトテンプレート講義
問題
はてなの開発チームではチームやプロジェクトによって、マネージャー以外でもプロジェクトマネジメントに関わる仕事を担当するケースがあります。マネージャー陣にプロジェクトマネジメントに関するアンケートを取ったところ、いくつかのチームではプロジェクトマネジメントのスキルを持ったメンバーが不足しており課題を抱えていることが分かりました。
解決策
プロジェクトマネジメントに責任を持つマネージャーだけではなく、開発チーム全体としてプロジェクトマネジメントのスキルを底上げすることで、全社的なプロジェクトマネジメントの質を高めこの課題を解決していけるのではと考えました。
そのためにはプロジェクトマネジメントに携わるとっかかりを提供すると良いのではないかと仮説を立て、プロジェクトを開始する際のテンプレートとなるドキュメントを広めていくことにしました。
そこでまず、開発合宿*2で「プロジェクトテンプレート」というプロジェクトの進行方法をまとめた社内向けのドキュメントを作りました。これは、主にスクラムをはてな向けにカスタマイズした内容となっています。
反復的な開発プロセス、インセプションデッキやバーンアップチャートなどの紹介をし、典型的なプロジェクトであれば問題なくコントロールできることを目指してまとめました。
しかし、ドキュメントを作っただけで各チームに活用してもらうことは困難です。そこで、プロジェクトテンプレートの使い方や思想に関する講義を行うことにしました。これがプロジェクトテンプレート講義です。
結果
受講希望者を継続的に募集し、エンジニアに限らず現時点で累計38名のスタッフに受講してもらうことができました。インセプションデッキ*3が以前よりも普及したり、全社的にプロジェクトマネジメントに対する関心が高まるなど、一定の貢献ができたものと考えます。
すくすく開発会の今後
すくすく開発会としては、はてなをプロダクトとスタッフにとってより健全な組織にしていきたいと考えています。
アンケートを取った時点では「誰かプロジェクトマネジメントが得意なスタッフにやって欲しいが、得意なスタッフがいない」というチームも多かったのですが、先述のプロジェクトマネジメントに関する関心の高まりなどから「自分も開発プロセス改善をしたいが、1人では難しいのでアドバイスが欲しい」といったスタッフの参加も増え、状況を少しずつ変化させられています。
そこで新たな試みとして、すくすく開発会内で複数チームに分かれてコーチ役を中心としたメンタリングやティーチングを行うことにより、すくすく開発会を通じてそれぞれのチームの開発プロセス改善を推進していこうとしています。
また、これまであまり外部へ情報発信をしてこなかったのですが、これからはすくすく開発会や所属スタッフの成果について外部にも情報発信をしていくことで、開発プロセス改善などに関心のある方々の目に触れるようにしていきたいと考えています。そうした情報が皆さんの参考になれば幸いです。
*2:開発合宿をリモートで実施する工夫 – Hatena Developer Blog
*3:振り返ればインセプションデッキがいた ~ ヌーラボにとってのインセプションデッキ ~ | 株式会社ヌーラボ(Nulab inc.)
id:shimobayashi
下林明正(しもばやし・あきまさ)。2012年10月に中途入社し複数サービスのエンジニアやディレクターを経た後、現在はマンガメディア開発チームのWebアプリケーションエンジニアとして働く。
Twitter: @shimobayashi
GitHub: shimobayashi
blog: 下林明正のブログ