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2021年(令和3年分)年末調整の書き方<3> 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記入手順を図解

 サラリーマンの秋~年末の風物詩、「年末調整」がそろそろ盛り上がる時期だ。お勤めの会社によって年末調整の提出日は異なり、早い人は10月下旬、最も多いのが11月中旬、遅めの人は12月上旬となっている。読者の中にはそろそろタイムリミットという人もいるだろう。

 第1回は「令和3年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の書き方、第2回は「令和3年分 給与所得者の保険料控除申告書」の書き方を紹介した。今回は最後の1枚「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方を紹介しよう。

 最後の1枚は「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」だ。この申告書は、来年1月以降の給与から天引きされる所得税の税額を決めるための申告書だ。扶養家族などの申告に漏れがあると、毎月の所得税が増えるので漏れなく記入したい。

「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の違い

「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は前年とほぼ同じ

毎月天引きされる所得税はどうやって決まる?

 第1回でも触れたが、サラリーマンは毎月の給与明細に天引きされた所得税の金額が記載されている。今年2021年(令和3年)の所得税は「令和3年分 源泉徴収税額表」によりその月の給与の額から算出され、“みなし金額”がその月に納税されている。

 「令和3年分 源泉徴収税額表」の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」の299,000円以上302,000円未満の部分を見ると、「扶養親族等の数」が0人:8,420円、1人:6,740円、2人:5,130円、3人:3,510円……と、7人まで納税額(その月に天引きされる額)が記載されている。

「令和3年分 源泉徴収税額表」

「令和3年分 源泉徴収税額表」で社会保険料等控除後の給与が30万円の場合、独身(扶養親族0人)なら、その月は所得税8420円が天引きされる

 表の最後のページの注意書きには「扶養親族等の数」は「源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族をいいます」と記載されている。これを翻訳しよう。まず「配偶者」は旦那さんから見た奥さん、奥さんから見た旦那さん。「源泉控除対象」の条件は以下の通り。

 ① 自分の合計所得金額が900万円(年収1095万円)以下
 ② 配偶者の所得が95万円(年収150万円)以下

 多くのサラリーマンは年収1095万円以下なので①の条件はクリア。配偶者がパート/アルバイトで年収150万円以下であれば②の条件もクリアとなる。配偶者が正社員として働いている場合は年収150万円を超えると思われるので人数にカウントされない。「控除対象扶養親族」は所得48万円以下の16歳以上の子や親が対象となる。仮に旦那さんが働いていて奥さんが専業主婦、高校生の子が1人なら扶養親族等の数は2人となる。

 この扶養親族等の人数を確認するための申告書が「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」だ。奥さん(または旦那さん)、子どもを書き忘れることはないと思うが、別居の親などを書き忘れると毎月の納税額が増えることとなる。来年の年末調整でリカバリーはできるが、おそらくこの申告書に書き忘れる人は、そのまま何年も控除を受けることなく納税額が増えたままとなる可能性が高いので注意しよう。

住民票と居住地が異なる人は住所の記入に注意が必要

 この申告書は6つのブロックに分かれている。多くの人が該当するのは最上段の自分の情報、Aブロック:配偶者の情報、Bブロック:扶養親族(16歳以上)の情報、Eブロック:16歳未満の扶養親族の情報だ。ここではこの4つのブロックを順番に見ていこう。

「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の6つのブロックの説明

「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を6つのブロックに分けてみた

 最上段は自分の氏名、個人番号(マイナンバー)、生年月日、世帯主の氏名と続柄、住所、配偶者の有無を記入する。今年から押印は不要となった。個人番号の記入は会社のルール(過去に報告してれば記入不要など)に沿って、必要があれば記入する。世帯主の氏名欄は、自分が世帯主の場合は自分の名前を記入し、続柄は本人。父親が世帯主の場合は父親の氏名を記入し、続柄は父または親と記入する。

「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の最上段のブロックの記入例の図解

最上段のブロックは自分の情報を記入する

 自身の住所に関する注意点は、居住地と住民登録の住所が同じなら住んでいる住所を書けばよいが、独身の人で住民票は居住地ではなく実家という場合は会社のルールを確認しよう。この申告書の情報をもとに市区町村にデータが送られ住民税が課税されるが、その際、住民登録がないと役所から会社に確認が行われる。

 会社側は実際に住んでいる住所も住民票のある住所も把握しておきたいと思われる。会社のルールが住民票の住所を記載となっていれば実家の住所を記入。欄外に住民票の住所を記載し、住所欄は現住所(あるいはその逆)を記載というルールならそれに従って記入する。独身で親を扶養していない人は、この欄を記入したらこの申告書の記入は完了だ。

 おそらく、左側の給与の支払者の名称(=会社名)、法人番号、住所などは会社が記入するか、配布時にゴム印が押されてるので自分で記入する必要はない。左端の所轄税務署も会社が記入。その下の市区町村は居住地に住民票があればその市区町村を記入。現住所と住民票が異なる場合、納税先となる住民票が置かれた自治体が基本だが、念のため会社のルールを確認しよう。

 余談だが、今年の年末調整の申告書から押印が不要となった。内閣府の令和3年3月31日「押印を求める行政手続の見直し方針(根拠別集計)」によると、押印を求める行政手続の全数は1万5611件、押印を令和2年末までに廃止が1万3435件、令和2年度末までに廃止が1753件、令和3年度以降に速やかに廃止が305件で、
計1万5493件(=全数の99.24%)。押印継続が118件となっている。全数1万5611件の「各府省の行政手続における押印の見直し方針一覧」も公表されていて、見るとビックリ……ただただこの表を作った人は凄いと思った。押印廃止は河野太郎前行政・規制改革担当相によるものだが、この記事の申告書の事例の記入者氏名が昨年から河野一太郎となっていることは深く詮索しないでいただきたい。

「源泉控除対象配偶者」の記入

 ここからがこの申告書の重要ポイント。配偶者、子ども、親など扶養する親族を漏れなく記載しよう。最初はAブロック:配偶者の情報。配偶者とは旦那さんから見た奥さん、奥さんから見た旦那さんで、家庭によってどちらも配偶者となりえるが、ここでは配偶者控除の対象を奥さんとして説明しよう。

 申告書には「A 源泉控除対象配偶者(注1)」と書かれていて、やや右下の注1には、源泉控除対象配偶者の説明が記載されている。その内容は以下の通り。

 ① 自分の来年(令和4年)の合計所得金額が900万円(年収1095万円)以下
 ② 配偶者の来年の所得が95万円(年収150万円)以下

 青色事業専従者、白色事業専従者など意味不明な記述もあるが、概ね①②をクリアしていれば源泉控除対象配偶者だ。自分が年収1095万円以下(=ほとんどのサラリーマン)で、パートの奥さんの年収が103万円以下、あるいは住民税が非課税となる93万円~100万円以下(地域による)を続けているなら、深く考えずに記入しよう。

「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「源泉控除対象配偶者」の記入例の図解

「源泉控除対象配偶者」の記入例

 記入欄の「令和4年中の所得の見積額」は、推定される年収から55万円を引いた額を記入する。年収100万円なら所得は45万円、年収150万円なら所得は95万円といった感じだ。奥さんが正社員でバリバリ働いていて、年収が350万円であれば控除の対象とならない。

「控除対象扶養親族(16歳以上)」の記入

 Bブロック:扶養親族(16歳以上)の情報は、控除対象となる扶養親族(子や親)を記入する。ここは年齢により控除額が異なるため、昭和28年・平成12年など生年月日に関する細かな記述があり少々複雑だ。まずは所得と年齢の条件を確認していこう。

 控除対象の年齢は来年(令和4年)の年末時点で16歳以上(平成19年1月1日以前生まれ)で、ほぼ来春に高校1年生になる子から上の年齢が対象だ。ただし、早生まれの高校1年生(平成19年1月2日~平成19年4月1日生まれ)は年末時点で15歳のため控除対象外(=税金が高くなる)となる。個人所得税は年(1月1日~12月31日)を期間としているため、学年や年度とズレがあり、早生まれの子(推定4人に1人)を持つ親は不利となるアホな仕組みが長年続いているが、改善される見込みはない。

 年齢の条件に加え所得48万円以下という条件もある。例えば子どもがアルバイトをしている場合は、年収で103万円以下であれば、所得が48万円以下となり控除対象となる。仮にバイト代が毎月6万円なら年収は6×12=72万円。72万円-55万円(55万円=令和2年以降の給与所得控除)=17万円が所得となり、控除対象となる。子に関して言えば、高校生、大学生といった制限はないので、就職浪人やリストラなどで所得が48万円以下(年収103万円以下)であれば25歳でも40歳でも控除の対象だ。また、親が年金受給前に退職し所得が48万円以下なら控除対象となる。

 親が公的年金を受給している場合は年齢により控除額が異なる。65歳未満の公的年金控除額は60万円、65歳以上の公的年金控除額は110万円。よって公的年金のほかに給与所得などがない場合は、65歳未満なら公的年金が108万円以下であれば所得が48万円以下となり控除対象、65歳以上なら公的年金が158万円以下であれば所得が48万円以下となり控除対象だ。

 母親が遺族年金を受給している場合は注意したい。遺族年金は課税対象とならないので、サラリーマンだった父親が亡くなって母親が遺族年金を受給している場合は、158万円を超えても扶養控除の対象となる。

「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「控除対象扶養親族(16歳以上)」の記入例の図解

「控除対象扶養親族(16歳以上)」の記入例

 記入欄の真ん中あたりに「□同居老親等」「□その他」「□特定扶養親族」と書かれたチェック欄がある。その上の項目欄には「同人扶養親族(昭28.1.1以前生)」「特定扶養親族(平12.1.2生~平16.1.1生)と生年月日の縛りが記載されている。ここ重要だ。

 扶養親族には控除額の優遇が受けられる年齢がある。令和4年の年末時点で昭和28年1月1日以前に生まれた人は70歳以上、平成12年1月2日から平成16年1月1日に生まれた人は19歳から22歳だ。この2つの年齢の扶養親族は控除額が増える(=税金が減る)。図を見ていただこう。

所得税における扶養親族の年齢と控除額

扶養親族の年齢と控除額

 一般の扶養親族の控除額は38万円。70歳以上は老人扶養親族で、同居の場合は58万円、それ以外は48万円と控除額の加算がある。特定扶養親族の対象となる19歳から22歳はほぼ大学生の年齢で、控除額が25万円加算され63万円となっている。これらの年齢の扶養親族がいると控除額がグッと増え、納税額が減るということだ。

 特定扶養親族は「大学生の子がいるとお金がかかるから税金を安くしましょう」という趣旨だが、年齢が条件なので特定扶養親族は大学生である必要はない。浪人生でもフリーターでも、生計を一として、年間の所得が48万円以下(年収103万円以下)であれば特定扶養親族となる。来春から子どもが大学生だ、という人で注意したいのは、前述の通り早生まれ(平成16年1月2日~4月1日生まれ)の子だ。令和4年の年末は18歳なので優遇を受けることはできない。

 70歳以上の親を扶養している場合、同居なら「同居老親等」に、離れた実家に仕送りしていたり老人ホームに住んでいるなど別居であれば「その他」にチェックを付ける。同じく「特定扶養親族」にあたる子がいる場合は該当する欄にチェックを忘れないようにしたい。

「16歳未満の扶養親族」の記入

 最下段のEブロック:16歳未満の扶養親族の情報は、住民税の控除を受けるための事項だ。16歳未満の子どもは、所得税の控除の対象から外されているが、住民税は控除対象なので、令和4年の年末に16歳未満=平成19年1月2日以後に生まれた子どもがいる人はこのブロックに記入しよう。中学生以下が対象となるが、来春高校1年になる子のうち、早生まれの子も含まれる。

「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「16歳未満の扶養親族」の記入例の図解

「16歳未満の扶養親族」の情報の記入例

 「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記入はこれで完了だ。第1回掲載の「令和3年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」や第2回掲載の「令和3年分 給与所得者の保険料控除申告書」より面倒な計算がないので、この申告書の記入は難易度が低いと思われる。

「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」全体の記入例の図解

「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の全体の記入例

 ほとんどの人はこれで年末調整の3枚の申告書の記入は終了となる。「書き方が分からん」という読者の手助けとなれば幸いだ。

提出期限を過ぎてしまったら……自分で確定申告するしかない?

 業務が多忙で、一身上の都合で、単にズボラで、会社が定めた提出期限を過ぎたらどうするか? 自分で確定申告をしてもよいが、1日でも早く総務・経理の担当の人に頭を下げて受け取ってもらおう。優先順位は「令和3年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 ……」と「令和3年分 給与所得者の保険料控除申告書」。この2枚がないと納税額が確定しない。「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は来年の給与から源泉徴収する額を決めるための申告書なので、12月の給料日を過ぎても大丈夫と考えられるが、また頭を下げに行くのも辛いし、誠意が感じられないので3枚セットにして提出したい。

 サラリーマン時代の筆者は「年末調整ってなに?」「面倒くさい」と思っていた。起業して自分で確定申告をするようになり「年末調整は楽だった」と実感している。年末調整はかなり「面倒くさい」作業だが、30分~1時間くらいで終わるだろう。これに対し、確定申告は数日の作業が強いられる。加えて、この記事が理解できている以上の税の知識も必要となる。税理士に依頼すると費用が発生する。

 会社では労力や税の知識の大半は総務や経理の人が無償で補ってくれる。1時間と数日の作業時間の差は管理部門のお陰だ。年末調整は、書く側より、数十人~数百人分の申告書を受け取って確認する側の負担が大きい。「早く出して」と督促されても感謝の気持ちを持っていただきたい。当然、遅れた場合も「申し訳ありません」と頭を下げて受け取ってもらおう。

最後に

 最後は筆者の雑談だ。筆者は税の専門家ではないが、なんとなく税金の原稿を書き始めて十数年が過ぎた。税に無関心・無知識だったサラリーマン時代の自分でも分かるようにと書き続け、お陰さまで多くの人に読んでいただいている。

 筆者は日本の最大の課題は少子高齢化だと思っている。高齢化は自然減を待つしかないが、少子化は大きな改革がないと改善されることはないように思える。「高齢者1人を支える現役世代の人数」が1960年代は約10人。現在は約2人。これから先、徐々に1人に近付いていく。貨幣価値は無視し、仮に高齢者が年金を月に10万円欲しいとしよう。1960年代は現役世代が1人1万円を負担、現在は5万円を負担、近い将来は10万円を負担することになる。ザックリ言うと爺ちゃんの年金10万円の財源は、子や孫が年金や税金で毎月10万円負担するということだ。それが不可能なら国債を発行するなどして、そのツケを将来に回すこととなる。

 少子化問題を解決するには結婚する人を増やしたい。結婚した人ができれば子どもを3人以上生んで欲しい。そのためには「結婚したら生活が楽になる」「結婚した方が得」と思える社会であるべきだろう。加えて「子どもが増えるほど生活が楽になる」と誰もが実感する仕組みが必用だと思っている。

 年末調整は基礎控除、保険料控除、扶養控除など各種所得控除を申告する作業だ。果たして現行の控除の仕組みは社会に合っているのか。

 例えば30歳、年収420万円の独身男性は給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除を引くと課税所得が180万円(=所得税の税率5%)ほどとなる。結婚して奥さんがパート勤めで38万円の配偶者控除を受けると納税額は1万9000円減る。住民税(税率10%)は33万円の控除で税金は3万3000円減る。結婚したことで合計5万2000円の税金が減ることになる。念のために言うと月額ではない、年に5万2000円、月に換算すると4300円ほど、日に換算すると150円弱だ。この金額で「結婚したら生活が楽になる」「結婚した方が得」と思える人がいるだろうか。

 子どもが成長し、ほぼ高校生なら扶養控除は所得税38万円、住民税33万円で配偶者控除と同額となる。ほぼ大学生なら所得税63万円、住民税45万円と控除額は増え、合計で年に7万6500円の税金が減る。子どもが増えると生活が楽……にはならない。実際には子どもが成長するころには年収が増え、所得税の税率が10%、20%となると同じ控除額でも税金の減額は大きくなるが、劇的に変わるわけではない。現在の控除の仕組みだけ見れば生涯独身の方が幸せと考える人もいるだろう。

 子どもが生まれると親や祖父母は消費行動を促進させる。子どもが成人すると労働者となり納税者となる。労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2020」によると、退職金を含まない生涯賃金は、大学・大学院卒で男性が2億7000万円、女性が2億2000万円という。そのうち20~30%は年金などの社会保険料や所得税、住民税などで数千万円納めることとなる。そして億単位の消費をする。子どもが増えることで、社会保証費の増大、消費税率引き上げといった課題解決の糸口となる。

 2022年4月から不妊治療の保険適用が始まることは管政権の功績だと思うが、まだまだ少子化問題解決の小さな一歩だ。筆者の勝手な思いは、婚姻届を提出して1年後に100万円、5年後に500万円を非課税で給付(=結婚した方が得)。子ども手当を1人目は月額3万円、2人目は月額6万円(計9万円)、3人目以降は月額10万円(3人なら19万円)を非課税で給付(=子ども増えるほど生活が楽になる)するぐらいインパクトのある改革が必用だと思う。批判を怖れずに財源に触れると「独身税」の導入だ。一定の所得を超える人は31歳で1%、32歳で2%……40歳で10%(=結婚しないと損)。足りなかったら41歳以上も同様に増え50歳で20%。生涯独身貴族の人は50歳で所得税20%、独身税20%、住民税10%というのが筆者の妄想だ。

 もっと言うと、この給付を憲法で定めて欲しい。政権が変わっても国民投票で否決されない限り継続される安心感も子育て世代に感じて欲しい。かつて子ども手当の月額2万6000円給付をマニフェストとし、16歳未満の子の扶養控除を廃止(=子育て世代を増税:現在も継続中)し、結局、一度も2万6000円を給付できない政権があった。ハシゴを外されたと感じた国民は少なくないだろう。

 筆者には4人の孫がいて、緊急事態宣言が解除されたので先日やっと2月に産まれた孫3、孫4と会ってきた。筆者は今年還暦を迎え、自分自身はこの先は短いと思っているが、孫達はこれから80~90年の生涯がある。いつか生まれるひ孫まで思いをはせると100年後も日本が良い国であって欲しいと願っている。

ジジイに襲いかかる孫ゾンビ2人の図

右が筆者、ジジイに襲いかかる孫ゾンビ2人の図

 筆者の知り合いの女性には出版社で役職に就き活躍する人がいる一方、「子どもと一緒にいたいから復職しない」「お金がないから共働き、2人目は無理」という女性もいる。世の中は「女性が働きやすい環境」を唱えることが正論の風潮が感じられるが、全ての女性がバリバリ働きたいわけではないだろう。3人産んで毎月19万円なら「子育てに専念したい」という女性を認めるのも多様性の1つではないだろうか。

 仮に出生率がV字転換して子どもが増えても、納税者となり「高齢者1人を支える現役世代の人数」にカウントされるのは20年ほど先のことだ。少子高齢化が叫ばれ無策のまま長い時が過ぎた。5年遅れれば25年後、10年遅れれば30年後まで日本は課題を解決できないこととなる。

 年末調整、源泉徴収票などの解説記事を書きながら、配偶者控除や扶養控除で数万円の税金が減ることは悪いことではないと思う反面、これっぽっちの金額でどうやって子育てをするのかと悲しい気持ちになってしまう。筆者が生きている間には解決しないことは確定しているが、早く良い方向に進んで欲しいと願っている。

 3回に分けてお届けした年末調整の書き方は今回で完結となるが、次回は番外編として、 生命保険料控除証明書を紛失した際の再発行 についてご紹介したい。筆者の知り合いで証明書を再発行した人はいないので、100人に1人、1000人に1人しか該当する人はいないかもしれないが、誰しもいつかその日が来るかもしれない。普通に郵送で再発行を依頼すると2~7日ほどかかるが、控除証明書をダウンロードすれば30分ほどで再発行が完了する。ただし、保険会社のウェブサイトにアクセスするためのID・パスワード、登録番号など必用情報が各社異なるため、事前に準備しておかないとダウンロードができない。「今日が提出期限、でも控除証明書がない」ときに役立つ情報として、年末調整を提出したあとでもご一読いただきたい。