もっと詳しく

V8モデルよりたったの13馬力非力なだけ

チューナー、マンハートはランドローバー ディフェンダー110を500馬力以上にチューンナップ。それは、V8エンジンよりも、わずか13馬力弱いだけ。マンハートは、6気筒ディフェンダーのための強力な馬力アップを提供している。加えて、オリジナルホイールとローダウンも提供。

今までに何度もレポートしたように、ランドローバーの「ディフェンダー」は、他のどのクルマよりも、オフロード性能に優れている。
とはいえ、実際にランドローバーを、オフロードで走らせているオーナーはごく少数で、ほとんどの場合、「ディフェンダー」でさえも、そのほとんどは、滑らかなアスファルトの上を走っている。
この「ディフェンダー」のチューンナップモデル、「DP 500」は、そのような場所で活躍する。
500馬力以上の出力、ローダウン、最大24インチのホイールを備えた、マンハートの作品は、荒れた土地を避けることを好む。

「DP 500」は、「ディフェンダーP400」の110ロングホイールベースバージョンをベースにしている。
3リッター直列6気筒エンジンを搭載し、量産モデルは、最高出力400馬力、最大トルク550Nmを発揮する。
マンハートは、ソフトウェアアップデートにより、ガソリンエンジンのトルクを710Nmに、出力を512馬力にまで引き上げた。
これは、5リッタースーパーチャージドV8を搭載した525馬力のトップモデルとほぼ同等の出力だ。
また、サウンド面では、現在開発中のステンレス製エグゾーストシステムを近日中に搭載する予定だ。

装着されているホイールの直径は24インチ!! スペアホイールは22インチのものが備わっている。

ソフトウェアとリンクロッドによるローダウン

マンハートは、必要に応じてパワーを適切に抑制するために、ブレーキのアップグレードも行っている。
コーナリング性能を向上させるために、30mmのローダウンを施している。
これは、ソフトウェアによるエアサスペンションの調整と、リンクロッドによる調整とによって実現されている。
ホイールは2種類用意されている。
10.5×22インチのホイールに295/40のタイヤを装着したものと、2サイズ大きい10×24ホイールに295/30のタイヤを装着したものの2種類だ。
フェンダーの幅を広げ、各種トリムをボディカラーにすることで、ディフェンダーをより頑強(意固地)なものに見せている。

クール&ヒーテッド レカロシート、価格は要問合せ

レザーとアルカンターラを使用したインテリアは、マンハート社の自信作だ。
また、自由に色を選択できるアクセントも用意されている。
2人のフロントパッセンジャー用には、エアバッグ、ヒーティング、ベンチレーションを備えた電動調整式のレカロシートが用意されている(別途オプション)。
価格はご要望に応じて提示される。
参考までに、通常、「ランドローバー ディフェンダー」は、「90」が、52,700ユーロ(日本市場価格551万円)より、110が、55,600ユーロ(日本市場価格630万円)からとなっている。

マンハートは、自社製のレザーアルカンターラトリムでインテリアをシックに仕上げている。とてもディフェンダーの内装とは思えないが…。

24インチのペッタンコ大径タイヤ&ホイールを履いた、500馬力の「ディフェンダー」…。それはもはや本来のランドローバーが目指したものとはまったく違う世界のクルマだし、そもそもこの「ディフェンダー」で悪路を走っちゃダメ、っていう基本的な部分からして、何かずれているハナシではある。
もっとも、こういうずれたSUVで、もっとも有名なものは、言うまでもなくメルセデス・ベンツの「AMGゲレンデヴァーゲン」であって、あちらはメーカー公認のクルマなわけだが、こちらの「ディフェンダー」はチューンアップメーカーが仕上げたというところがちょっと違うし、より改造の度合いが極端ではある。いずれにしろ、本来のランドローバーエンジニアたちが見たら、眉をひそめるような一台だし、これを購入する人がどういう考えで、高価な追加料金をはらってまで改造するのか、ちょっと想像できない。
せめてオフロード性能だけは残してあげるようなチューンナップをすることが、「ディフェンダー」だったら必要なのではないだろうか。たとえ悪路を走る機会などなくとも、オフロード厳禁の「ディフェンダー」など、あまりに不憫な一台である。

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: Manhart Performance