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1. 8月のフィッシング件数は5万件超、ますます巧妙化

 フィッシング対策協議会によると、2021年8月に報告されたフィッシング件数(海外事案を含む)は前月よりも1万8390件増加し、総数で5万3177件だった(ケータイWatch)。その手法は巧妙化していて、アマゾン、金融事業者、ねんきんネット(日本年金機構)、特別定額給付金申請サイト、コロナワクチンナビなどをかたる事案が報告されている。多くの人が利用している可能性のあるブランド名やコロナ禍での不安につけ込むということか。

 さらに、今週は新たにETC利用照会サービス(INTERNET Watch)や日本医師会(ITmedia)を名乗る事案なども報告されている。

 引き続き、安易にメールのリンクをクリックしないような心構えが必要だろう。

ニュースソース

  • ETC利用照会サービスを装うフィッシング詐欺、「サービスが無効になった」とするメールに注意 サービス利用再開のためとして、個人情報などを詐取[INTERNET Watch
  • 日本医師会かたる偽メールに注意 「感染者数の最新情報」偽り不審なExcelファイル添付[ITmedia
  • 8月のフィッシング件数は5万件超、アマゾンや不在通知装うもの多く[ケータイWatch

2. さらに活況な「NFT」――だだし、問題も散見される

 著名人や著名ブランドによるNFTへの参入が報じられている。

 まず、タレントの香取慎吾さんの「NFTアートチャリティプロジェクト」。「パラスポーツ支援を目的に、日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)への寄付を募るもの」で、「同氏が「! enjyoy !」をテーマに作成した壁画のデータに、シリアルナンバーを加えたNFTアートを、寄付者に贈呈する」としている(INTERNET Watch)。

 また、西武ライオンズとパシフィックリーグマーケティング(PLM)は「埼玉西武ライオンズの栗山巧選手の通算2,000安打達成を記念して開発されたコンテンツ4種類」で、「一部はNFT化されたデジタルデータと記念パネルなど現物とのセットで、入札方式での販売」だという(Impress Watch)。

 海外では世界最大級の美術館であるロシアのエルミタージュ美術館が「大手仮想通貨取引所バイナンスのNFTプラットフォームでの最初のオークション」を行った。このオークションでは著名な画家のアートワークを使ったNFTが含まれている(ガジェット通信)。

 一方で、問題もいくつか出てきている。1つはNFTマーケットプレース「nanakusa」を運営するスマートアップ社によると、外部からの攻撃を受け、一部のNFT作品が流出した可能性があるという(ITmedia)。また、海外では著名なアーティストであるバンクシーのNFTアートを34万ドルで落札したところ、偽物だったという話題も報じられている(GIZMODO)。あらためて言うまでもないことだが、暗号通貨と同様のリスクを念頭に置く必要がある。

ニュースソース

  • 香取慎吾氏のNFTアート企画にLINE Blockchain採用、本日21時より「NFTってなんだ!?」ライブ配信 全額をパラサポに寄付する「香取慎吾NFTアートチャリティプロジェクト」[INTERNET Watch
  • 西武ライオンズがNFTコンテンツ発売。プロ野球初[Impress Watch
  • ロシアのエルミタージュ美術館、バイナンスのNFTオークションで44万ドルを調達[ガジェット通信
  • 国内のNFTマーケットに攻撃 一部のNFT作品が流出か 運営は補填を発表[ITmedia
  • バンクシーのNFTアートが34万ドルで落札…と思ったら偽物だった!?[GIZMODO

3. アップル社の新製品発表は9月15日午前2時(日本時間)から

 来る9月15日午前2時(日本時間)からアップル社の新製品発表イベントが開催される(ケータイWatch)。このイベントはオンラインでも配信されるので、誰でも閲覧することができる。

 すでに発表内容について、各メディアが予測をしていて、iPhone 13、Apple Watch Series 7、第3世代AirPods、第6世代iPad miniなどを挙げていることが多いようだ。また、コロナ禍において、マスクを着用していることが多くなり、顔認証の利便性が落ちていることから、一部ではTouch IDの復活を願う声も見られる(ITmedia)。さらに、低軌道衛星を使った通信機能が実装されるのではないかという記事(Engadget日本版)も複数見られるが、信憑性のほどは不明だ。

 昨今の半導体不足などから、生産量に影響が及ぶのではないかという懸念も指摘されている。ティム・クックCEOは直接的な懸念は表明してはいないものの、魅力ある機器が発表されるほどに、製品の需要が過多となる可能性も否定できない。いずれにしても、日本ではスマートフォン市場の大きなシェアを持つだけでなく、国際的にも需要が高い製品であり、その動向には注目をしておきたい。

ニュースソース

  • アップルが9月15日2時から発表会、新型iPhone発表に期待[ケータイWatch
  • 「iPhone 13(仮)」でTouch IDは復活するのか?[ITmedia
  • iPhone 13の衛星通信機能、使えるのは一部地域のみ?将来アップル独自の衛星を配置するとの噂[Engadget日本版

4. NECが自治体向け「都市OS」を発表

 NECが自治体に向けたデータ処理とIT基盤となるソフトウェア製品「NEC都市OS」を発表した(ZDnet Japan)。これは「欧州中心で開発されたデータ連携機能などを持つオープンソースソフトウェア『FIWARE』をベースに、個人同意管理に対応したパーソナルデータ利用・活用基盤機能、人工知能のデータ分析機能、生体による個人認証機能、ID連携管理機能、フルレイヤーセキュリティ機能などを追加したソフトウェア群」であるという。自治体はこの都市OSや共通APIを利用することにより、複数分野にわたる行政サービスのシステムを短期に実装できるとしている。

 こうしたコンセプトは1つの方向性を示しているように思えるが、具体的なデータの利活用に関する制度設計、データを利用する自治体の事業展開の計画など、より広範な知見が求められることになりそう。それに対応できる自治体はどのくらいあるのだろうか。また、デジタル庁の進める事業との整合性なども気になるところだ。

ニュースソース

  • NEC、スーパーシティとスマートシティ向け「都市OS」をリリース[ZDnet Japan

5. ABBAが「絶頂期の姿で」でバーチャルライブ

 画像処理技術の進歩には目を見張るものがあるが、この技術を使って往年のアーティストが40年ぶりにデジタル技術で再始動する(ITmedia)。

 スウェーデンのポップグループABBAは1974年から82年にかけ大ヒットを飛ばしたことで知られる。このABBAがニューアルバム「The Voyage」を11月5日にリリースする。また、「過去の映像から、グループの絶頂期である1979年時点でのメンバーの姿を3D化。現在のメンバーによるモーションキャプチャーによって、1979年のメンバーを本人たちが演じるライブコンサートを実現する」という。

 画像処理技術の高度化によって「フェイクムービー」などが作られることが問題点として指摘されるが、こうした趣向であればファンにとっては喜ばれることになるだろう。

ニュースソース

  • 40年前のスーパーグループABBAが「絶頂期の姿で」デジタル化 新曲、バーチャルライブも[ITmedia