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将来のことや働き方について考えることも多い、アラサー世代。自分らしい人生を歩むにはどうすればいいのだろう? 今回は、『やりたいこと、全部やりたい。自分の人生を自分で決めるための方法』の著者、立花佳代さんにお話を伺いました。

アラサーでも、「自分らしい人生」を諦めなくていい

キャリアアップ、体調の変化、結婚、出産etc.「自分らしい人生の実現」のために、働き方を考え直すタイミングでもあるアラサー世代。

今回は27歳で離婚、貯金0で子供を抱えた状態から、会社を立ち上げ、インドの小さな村の伝統工芸技術を使った、オンリーワンのアクセサリーブランド「MAYGLOBE by Tribaluxe」を立ち上げた、立花佳代さんに話を伺ってみました。

やりたいことをやり続けるのに、才能なんていらない

「よくこんな状態で、6万キロ以上の距離を無事に運ばれてきたなぁ」

そう思えるような、ボロボロになった段ボールが目の前に積み重ねられていました。なかを開けたら名前も知らない見たこともない大きなサイズの虫が出てくるし、商品が入った袋はザラザラで砂まみれ。段ボールを開けたら開けたで、目はかゆくなるし、くしゃみは止まらないしで、マスクをしての検品作業…。

それが、「インドの小さな村の伝統工芸技術を使ったオンリーワンのアクセサリーブランドをつくりたい」というわたしの思いではじまった仕事の最初の納品でした。

お世辞にも商品の質がいいとはいえず、とてもじゃないけど売り物にはならない。もちろん、すべて一からやり直しです。

それからの約2年間、生産拠点のインドからは同じような商品が送られてくるばかりでした。それでも、インドの現地スタッフに賃金を払い続けなければなりません。日本の製品技術や実際に販売されるところを見てもらいたい一心で、わたしの会社がある大阪まで現地スタッフを呼び寄せたこともあったほどです。

「一進一退」どころか、後退するだけのような毎日。そんな状況を見兼ねた周囲の仕事関係者からは、「もうやめたら?」「これまで調子がよかったのに、なんでわざわざ苦労することをやっているの?」といわれることも。わたしを信じてついてきてくれた日本のスタッフに対しても、申し訳ない気持ちになったことをよく覚えています。

なぜそれでも続けたのか――。理由はとてもシンプルです。

心から「やりたい」と思ったから。

インドの精巧な工芸技術と日本の「いま」を切り取るデザインを組み合わせることができたら、大阪の名もなき小さなアクセサリーメーカーだって、この世に出ていないまったく新しいアクセサリーをつくることができる。そんなことを想像するたびにわくわくが止まらず、「絶対にやりたい」と思ったのです。

それから試行錯誤を繰り返し、なんとかパリの展示会に3回出展できるまでに商品のクオリティーを上げることができ、デザイン、価格、ブランドストーリーなど、あらゆる面でほかにはないアクセサリーブランド「MAYGLOBE by Tribaluxe」(メイグローブ バイ トライバラクス)を展開することができました。

インドの貧しい村に雇用を生んでいることなどが注目され、エシカルファッション(倫理的で、人、社会、環境、そして地球に優しいファッション)のブランドとして認知が広がっています。

このように書籍、『やりたいこと、全部やりたい。自分の人生を自分で決めるための方法』(アスコム刊)を出版する運びとなったわけです。そんな取り組みに興味を示してくれる人に対して、わたしのこれまでのことを話す機会がたびたびあるのですが、なぜか決まってこういわれます。

「立花さんってすごいですね!」「社会貢献活動をして偉いですね」

でも、これらの声に対しては、全力で否定したいわたしがいます。純粋な気持ちで、「やりたいことを全部やる」と心に決めた。それをよりどころにして、ときに傷つき、ときにボロボロになりながら、一歩一歩、前に進んできただけ。

わたしは、まったくもってすごい人間ではありません。もし仮にわたしがすごい人間であるなら、あなたも、あなたのまわりのみんなも、同じようにすごい人間だと思います。

自分の「好き」にはこだわらなくていい

わたしはよく、まわりの人から「好きなことを仕事にしていいですね!」といわれることがあります。

確かに、ファッションにはむかしから興味があり、いまの仕事もとても楽しんで取り組んでいます。でも、それが自分の「好きなこと」なのかというと「うーん…」と、ちょっと首をかしげてうなってしまうところがあるのです。

もちろんファッションのトレンドなどはチェックしますが、毎日欠かさずファッション誌やウェブサイトなどを読んでいるわけでもなければ、服やアクセサリーをたくさん持っているわけでもなく、「むしろ少ないほうじゃないかな?」と思います。

つまり、それほど熱烈に好きなことを仕事にしたわけではなく、実家がパンスト店だったことで、自分が商売をはじめるときにも、自然と雑貨や小物やアクセサリーが選択肢に入ってきたという感じでした。

そうして実際に仕事をやっていくうちに、「これやりたいな」「あれもやってみたいな」と楽しんできた。ただ、それだけなのです。

よく「好きなことだけやって生きる」とか「好きを仕事にする」などと、それがあたかも素晴らしいようにいわれることがあるけれど、わたしは別に、自分の「好き」にはそんなにこだわらなくていいのではないかなと思っています。むしろ、好きなことを見つけてからなにかをはじめるのではなく、前述したように「いまやっていることを好きになる」ことに全力を傾けたほうが、人生は楽しくなると考えているのです。

次回はやりたいこと、全部やってきたやり方を紹介します。

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立花佳代さんの著書『やりたいこと、全部やりたい。自分の人生を自分で決めるための方法』では、一度きりの人生を楽しむための方法を紹介。チェックしてみてください。

やりたいこと、全部やりたい。自分の人生を自分で決めるための方法』(アスコム)
著者/立花佳代
価格:1,430円(税込)