自然科学の研究で多数の研究チームが引用する質の高い論文の数で、中国が初めて世界1位となったことが10日、文部科学省科学技術・学術政策研究所のまとめでわかった。中国は、昨年の集計で、論文の総数でも初めて米国を抜いて首位に立ったばかりで、大規模な研究開発投資を続ける中国の躍進が目立つ結果となった。昨年9位の日本は、インドに抜かれて10位に落ちた。
同研究所は毎年、前々年までの3年分の論文について、国・地域別の年平均数と順位を算出し、公表している。今回は、2017~19年の年平均数を調べた。その結果、引用数が上位10%に入る質の高い論文は、中国が4万219本で、米国の3万7124本を上回った。日本は3787本の10位で、10年前の5位から下落傾向が続いている。
中国は今回、論文総数でも首位を守った。19年だけで約54兆円の研究開発費を投じるなど、投資規模は米国以外を圧倒している。質の高い論文が増えている背景には、研究力の向上に加え、中国人留学生の増加により、米国の研究機関と共同で論文を出すケースが多くなったことなどがあると、同研究所はみている。