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米Microsoftは2021年11月9日(現地時間)、新しい教育向けOSのWindows 11 SEを発表しました。各国で導入が進むICT教育の現場で、Chromebookの対抗馬として期待される新しいエディションとなりそうです。

なお、Windows 11 SEは教育に特化したOSで一般ユーザ向けにOS単体での提供はない他、このWindows 11 SEは従来のWindows 11と異なり、Microsoft ストアを利用できません。

主な特徴と背景

Windows 11 SE投入以前にもWindows 10 Sモードがそれに近い役割を担うことが期待さました。しかし、想定される使用例が企業などのセキュリティを重視する環境下で、あくまでもアプリケーションのインストール方法がMicrosoft ストアのみと制限されたにすぎず、必ずしも教育機関向けとは言えませんでした。価格帯もChromebookの方が安価であったことも重なり、アメリカなどではChromebookのシェアが伸びました。日本国内においてもChromebookの導入が進みました。

Windows 11 SEではMicrosoft ストアを利用できないため、教育機関や教職員は学生がインストールできるアプリケーションを制御できます。
また、低スペックな構成でも、Windows 11 SEではパフォーマンスを最適化するための拡張機能が組み込まれており、PC本体の低価格化を実現できます。

その他、Windows 11 SEではChromebookと同様に、主にオンライン環境下で使用(クラウドファースト)することを想定されていますが、Chromebookとは異なり、オフライン作業についてもしっかりと利用できるそうです。例えば管理者が「Intune for Education」などを利用しインストールを許可したソフトや「Zoom」、「Google Chrome」などの教育にとって重要とされる(厳選された)ソフト(Win32アプリケーション/UWPアプリケーション)についてはオフラインでも使用できるほか、「Microsoft 365 for Education」を利用することによってインターネットが利用できない環境下でも、WordやExcel、PowerPointなどが利用できます。

なお、教育にとって重要とされる(厳選された)ソフトとされるカテゴリは次の通りです。

  • コンテンツフィルタリングアプリ
  • 受験ソリューション
  • アクセシビリティアプリ
  • 効果的な教室のコミュニケーションアプリ
  • 重要な診断、管理、接続、およびサポート機能のアプリ
  • ブラウザ

なお、これに伴い、「Microsoft Store for Education」の提供を案内しています。

Windows 11 SE採用機種とSurface Laptop SE

そんなWindows 11 SEですが、デバイスの最小要件はWindows 11と変わりはありません。Windows 11とWindows 11 SEは同じコードを基盤として構築されているため、Windows 11の要件を満たしていないPCには導入できません。(OS単体の提供はないため一般ユーザには影響しませんが。)

Windows 11 SEを搭載されたPCはAcer、ASUS、Dell、Dynabook、富士通、HP、JP-IK, Lenovo、Positivoから発売されるそうです。

Windows 11 SEと同時に発表されたSurface Laptop SEのスペックについては次のようにアナウンスされました。(日本国内のモデル)

本体サイズ 283.70 mm x 193.05 mm x 17.85 mm (11.17 インチ x 7.6 インチ x 0.70 インチ)
ディスプレイ スクリーン: 11.6 インチ TFT 液晶ディスプレイモジュール
ディスプレイ解像度: 1366 × 768 (135 PPI)
縦横比: 16:9
メモリ 4GB または 8GB (DDR4)
プロセッサ Intel® Celeron® プロセッサ N4020
Intel® Celeron® プロセッサ N4120
セキュリティ ファームウェア TPM
ナノ セキュリティ ロック スロット
ストレージ1 64GB または 128GB の埋め込み MultiMedia Card (eMMC)
グラフィックス インテル® UHD グラフィックス 600
外部端子 USB-A x 1
USB-C x 1
バレル型 DC コネクタ x 1
3.5 mm ヘッドホン/マイクジャック x 1
カメラ、ビデオ、
およびオーディオ
1MP フロント カメラ (最大 720p 30fps ビデオ)
2W ステレオ スピーカー
シングル デジタル マイク
ワイヤレス Wi-Fi: 802.11ac (2×2)
Bluetooth ワイヤレス 5.0 LE
センサー ホール効果センサー x 1
主な同梱物 Surface Laptop SE
専用 ドッキング ステーション
クイック スタート ガイド
安全性および保証に関する書類
重量 1,112.4 gr (2.45 lb)
キーボード 日本語配列
バッテリー容量 バッテリー容量 公称値 35 Wh
バッテリー容量 最小値: 33.9 Wh
バッテリー残量 通常のデバイス使用で最長 16 時間
Microsoft より抜粋

また、Surface Laptop SEの他にも、Dell Latitude 3120 (Windows 11 SE)やASUS BR1100C (Windows 11 SE)といった製品などが紹介されています。Lenovo 100w Gen3(Windows 11 SE)ではCPUにAMD 3015e mobile processorを使用するなどAMD CPU搭載機種もあるそうです。(Microsoft)

MicrosoftはWindows 11 SEによって、Chromebookに奪われつつあったシェアを再度拡大できるのか注目が集まります。