Y Combinatorの新卒であるSaaSのAnakinが、このほど200万ドル(約2億2000万円)を調達して、eコマースの企業が競合他社の価格設定をリアルタイムで見られるソフトウェアの、開発を継続していけることになった。
Mohit Prateek(モヒート・プラティーク)氏とRashmi Bala(ラシュミ・バラ)氏は2020年9月に同社を創業し、3月に公式にローンチし、eコマースのストアやブランドが他の企業の価格設定や商品やトレンドのデータを利用して自社の売上を伸ばすサービスを提供している。社名はもちろん「スター・ウォーズ」のキャラクターだが、CEOのプラティーク氏によると、映画の情熱よりもむしろ、知名度に魅力を感じて社名に選んだ。
両人はそれまで、FlipkartやTruefitPriorのような、人工知能とeコマースが交差するような企業にいた。
特にプラティーク氏は、Flipkartにいたときにたまたま、さまざまな地理的場所や流通チャネルにまたがってSKUを最適化する大きなチームで価格設定の問題に取り組んでいた。その後彼は退社して別のスタートアップを作ったが、いろいろなeコマース企業から価格設定に関する質問を受け続けていた。そんな電話の数があまりにも増えたとき彼は、前に一緒に仕事をしていたバラ氏に会い、会社を作らないか、と持ちかけた。
「顧客は、会社を作る前からいました。彼らに売るようなプロダクトはありませんでしたが、彼らに助言をする私がいました」とプラティーク氏はいう。
A社がトマトに値段を付けて販売していると、他のみんなが自分たちのトマトを同じように値付けをして、顧客がA社ではなく自分のところから買うように仕向けるというのが彼らの技術だ。
ベストプライスを勘で決めるのではなく、Anakinは競合他社の何百万ものSKUの価格設定の管理を店頭在庫のデータなどを利用しながら行い、そこから得られたインサイトをリアルタイムで提供して、リテイラーが売上を増やせるようにする。Anakinのユーザー企業は、平均して12%、売上を増やしている。
Anakinは最初、食料品店をターゲットにし、現在はフードデリバリーやライドシェア、旅行などに手を広げている。顧客の名は明かさないが、大企業もいるという。
シードラウンドの前に同社はすでに黒字だった。そのラウンドは必要なかったが、現状で2人だけのAnakinをはやく大きくし、対象国も業種ももっと広げたい、と考えている。
現在、同社にはサンフランシスコとシンガポールとインドにオフィスがある。今回の資金は、Y CombinatorとHOF Capital、Austen Allred、ACE & Company、Integrity, Pioneer Fund、そして一群のエンジェル投資家たちから確保した。
プラティーク氏によると、現在、Anakinの売上は毎月24%伸びており、10カ国ほどで利用されている。今回の投資は社員増と対象国の拡大に当てる予定だ。また、製品開発や対象カテゴリーの多様化、そしてセルフサービスツールの制作も行いたいという。
「創業は新型コロナだったから、閉鎖になるのが怖かった。でも、家族経営のような店でも、うちのサービスを使えばAmazonと互角に競合できます」と彼はいう。
[原文へ]
(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)