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 インドやネパールで、モンスーンがもたらす大雨による洪水や土砂崩れの被害が相次いでいる。現地からの報道によると、ネパール国内でも10月下旬現在、100人以上が犠牲になっているという。10月25日付けのネパールの英字紙カトマンドゥポストは、この問題を社説で採り上げた。

(c) Mehmet Turgut Kirkgoz / Unsplash

季節はずれの豪雨

 ネパールでは例年、モンスーンの季節が9月に終わればさわやかな青空が広がる。しかし、今年は様子が違う、という。社説によれば、モンスーンの季節が終わったと公式にアナウンスがあってから3週間が経った10月下旬現在も、ネパールは天候が定まらないという。「モンスーン後のあたたかい乾季に、農家は収穫する。しかし、モンスーンが終わってから季節はずれの豪雨に見舞われた今年、農業畜産開発省の試算によれば水田へのダメージが82億ルピー(約125億円)に上ると試算されており、記憶から消えない甚大な被害額となるだろう」
 しかし、こうした状況下にありながら、農家が直面している惨状に対して、政府が関心を向けていない、と指摘する。
 「ネパールは国民の約66%が農業に従事する農業立国であり、GDPの36%は農業が占めている。しかしながら、雨の日も晴れの日もわずかな稼ぎのために骨身を削って働き、国家を支える農家の人々は政府から完全に無視されている。そればかりか、被害農家が救済を訴えても無関心を決め込んでいる」
 社説は、「名ばかりの救援措置は、専業農家にとって被害額をカバーするには足りない」と、指摘する。 「今、可及的速やかに求められているのは、今年のように予測不能な天災が起きた場合に備えるセーフティーネットとしての農作物保険の整備だ。農作物を割高で買い取ることも一つの支援策だが、さまざまな種類の農家がアクセスしやすくするためには、補償制度を整える方が効果的だ。特に、地方に住む農家にとっては、支援や補償の告知が行き届かないこともあるため、いかに浸透させるか検討する必要がある」

外的要因に頼りすぎない農業へ

 また社説は、農業政策を包括的に検討しなければならない、と指摘し、農作物の保存や輸送のための施設、機材、灌漑施設などに取り組む必要性を訴える。
 「ネパールは水が豊かであり、農家は今もモンスーンの雨にすべてを委ねているため、ひとたび干ばつに襲われれば、農家はたちまち水不足に陥るだろう。自然環境など外的要因に過度に依存すれば、自立が阻害されることになりかねない」
 「農家は新型コロナの感染拡大によるダメージに加え、天災にも見舞われ危機的な状況に陥っている。仕事を創出し、他の産業をも支えている農業セクターを救うためには、より時代に即したメカニズムをつくらなければならない。紙の上でどんなに効果があるように思われる政策であっても、そこにいる人々の現状に合ったものでなければ意味がない」
 自然災害や天災とのたたかいは、どの国や地域でも続いている。避けられない災害も多いが、新しい発想で被害を縮小することができる場合もある。蓄積された経験と知恵を生かしながら、新しい技術で自然とともに産業を守り、発展させるという努力が必要だろう。

 

(原文https://kathmandupost.com/editorial/2021/10/25/protect-paddy-farmers)

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