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ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回取り上げるのは、先代モデルのヒットに続き、新型も売れに売れている「ヴェゼル」。イメージを一新したデザインや使い勝手、インテリアの質感はどうなのか?

※こちらは「GetNavi」 2021年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】ホンダ/ヴェゼル

SPEC【e:HEV PLaY】●全長×全幅×全高:4330×1790×1590mm●車両重量:1400kg●パワーユニット:1.5LDOHCエンジン+モーター●エンジン最高出力:106PS(78kW)/6000〜6400rpm[モーター最高出力:131PS(96kW)/4000〜8000rpm]●エンジン最大トルク:13.0kg-m/4500〜5000rpm[モーター最大トルク:25.8kg-m/0〜3500rpm]●WLTCモード燃費:24.8km/L

227万9200円(税込)〜329万8900円(税込)

 

外観同様に、走りも内装も上質な高級感

安ド「殿! 新型『ヴェゼル』が売れまくっているそうです!」

 

永福「うむ」

 

安ド「写真をひと目見たときから、良いなと思ってましたけど、実物はさらに良いですね!」

 

永福「同感だ。写真をひと目見た時から良いなと思っていたが、実物はさらに良い」

 

安ド「僕と同じことを言わないでください!(笑)」

 

永福「同じことを思ったのだから仕方なかろう」

 

安ド「ヴェゼルのデザインは、具体的にはどこが良いんでしょう?」

 

永福「まずシンプルであることだ。余計なラインやらえぐりやら、あるいはギラギラしたデコレーションがまったくない」

 

安ド「ボディ同色グリルもですか?」

 

永福「あれも、よりシンプルな方向だ。ボディと同じ色なのだから」

 

安ド「なるほど!」

 

永福「そして、ウエストラインがほぼ水平だ。これが、スピード感や威厳を強調しないニュートラルな雰囲気を醸し出し、日本人好みの清潔感につながっている」

 

安ド「だから良いデザインに見えるんですね!」

 

永福「うむ。海外でこのデザインがウケるかどうかはわからないが、日本人の深層心理には強く訴えかけてくる。初代『ソアラ』のように」

 

安ド「初代ソアラ! 僕はまだ子どもでした」

 

永福「わしですら10代だった」

 

安ド「僕はこのデザイン、ホンダの『HR-V』みたいに、縦方向に潰れた感じが好きなんですけど」

 

永福「HR-Vも相当古いぞ」

 

安ド「若い読者にはチンプンカンプンでしょうか」

 

永福「お互い、例えが古くてイカンな」

 

安ド「走りも内装も上質ですよね。『フィット』のSUV版とは思えない高級感でした」

 

永福「うむ。見た目同様、すべてが上品で清潔感がある。しかも室内が広い」

 

安ド「燃費も良かったですよ。実測で19km/Lくらい走りました」

 

永福「フィットとほぼ同じハイブリッドシステムだからな」

 

安ド「このクルマ、良いところずくめですね!」

 

永福「うむ。若干価格は張るが、一般の皆様には手放しでオススメできる。まぁオススメするまでもなく売れているが」

 

安ド「じゃ、殿のようなカーマニアは、こういうクルマ、欲しいと思いますか」

 

永福「安ドはどうだ?」

 

安ド「僕ですか? 僕はいりませんよ。MTがないですから」

 

永福「MT車しか買わないとは、不便な人生よのう。わしはATでもいいぞ」

 

安ド「じゃ殿は買いますか?」

 

永福「買うわけがなかろう。なにせヴェゼルには、カーマニアにとって一番大事なものがない」

 

安ド「それはなんですか?」

 

永福「欠点だ。欠点のないクルマなど、面白いはずがなかろう」

 

【GOD PARTS 1】ボディサイドライン

水平に引かれたラインでシンプルさを演出

先代より全長が拡大されたことで前後に長い印象を受けるデザインですが、ボディサイドに一本通されたウエストラインが、それをさらに強調しています。この水平基調のラインが、スッキリとした印象を演出しているのです。

 

【GOD PARTS 2】シート生地

クールで上質な印象を与える特別な素材を採用

上級グレードの「PLaY」には、プライムスムース素材とファブリック素材を組み合わせた「グレージュ」と呼ばれるシート表皮が採用されています。派手過ぎることもなく、大人っぽくて、コンパクトSUVとは思えない高級感が味わえます。

 

【GOD PARTS 3】LEDルームランプ

静電式なのでそっと触れるだけ

パッと見たところルームランプの周囲にスイッチが見つかりませんが、なんと静電式で、ランプの周辺をそっと触れれば点灯できます。暗いなかでもなんとなくそのあたりに触れるだけで良い、ユーザーに優しい装備です。

 

【GOD PARTS 4】そよ風アウトレット

エアコンからの風が直接身体に当たらない

エアコン吹き出し口中央のツマミを操作することで、風向きを自在に変更できます。外側の細長い「そよ風アウトレット」を選べば、風が乗員に直接当たらず、身体を包み込むような流れに。ほど良い心地良さを味わえます。

 

【GOD PARTS 5】エアコンコントロールパネル

触りたくなるアナログなダイヤル

最近はなんでもデジタルでタッチパネルになりつつありますが、ヴェゼルのエアコン操作系は、節度感の良いダイヤルとボタンで構成されていて、良い雰囲気です。左右下にはUSBソケットが配置されています。

 

【GOD PARTS 6】リアシート

ユーティリティ性に優れたシート設計

↑通常時

 

↑チップアップ

 

↑ダイブダウン

 

燃料タンクを車体中央下に配置したホンダ独自の「センタータンクレイアウト」によって、ボディサイズのわりに室内空間は広めです。リアシートはチップアップ(跳ね上げ)とダイブダウンができるので、スペースを巧みに使うことができます。

 

【GOD PARTS 7】リアコンビランプ

あのクルマみたいなデザイン

左右のかたまりが一直線に結ばれたデザインの、リアコンビネーションランプが採用されています。天地方向の幅はかなり薄型ですが、ワイド感が強調されクールな印象です。一部では、昨年発売されたトヨタのハリアーに似ているとも言われています。

 

【GOD PARTS 8】減速セレクター

パドル操作で自在にエンブレ感覚を調整可能

ATシフトを「D」レンジから「B」レンジへ切り替えれば、アクセルを離した際の減速感をステアリング奥のパドルで調整できる状態になります。4段階にコントロールできますが、最大にしても日産のe-POWERほど強烈ではありません。

 

【GOD PARTS 9】パノラマルーフ

紫外線や熱をカットする特殊なガラス素材を採用

一部グレードに設定されるパノラマルーフには、「Low-Eガラス」なるものが採用されています。これは赤外線や紫外線をほぼ遮断しつつ、日差しによる熱も従来比約50%カットしてくれるもの。フロントは電動、リアは手動でカバーを外せます。

 

【これぞ感動の細部だ!】ボディ同色グリル

シンプルで飾らない印象を与えるセンスフルなデザイン

フレームレスのボディ同色グリルは、一見、印象が薄いように感じますが、慣れるとこれがなかなか素敵です。そもそもグリルという構造物は、デザイン的にはクルマのフロントフェイスに威厳や迫力を与えるものですが、ここをシンプルにしたことで、逆に洗練された印象を受けるのです。向かって右上部にさりげなく配置されたトリコロールの「カラーオーバーオーナメント」もオシャレです。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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