1966(昭和41)年、静岡県清水市(現・静岡市清水区)で味噌製造会社「こがね味噌」の専務一家4人を殺害した強盗殺人罪で死刑が確定し、囚われの身だった袴田巖さん(85)が静岡地裁の再審開始決定とともに自由の身になったのは、2014年3月のことだった。半世紀前、今ほど華やかでなかったプロボクシング界に身を置いていた巖さん。姉のひで子さんは「あの時代、ボクシングは喧嘩好きの荒くれ男やヤクザ者がやるスポーツに見られていた。巖が柔道や剣道をやっていれば、あんなことにはならなかったかもしれない」と振り返る。連載第7回。(粟野仁雄/ジャーナリスト)
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