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イギリスで開かれている国連の気候変動対策の会議、「COP26」で議長国であるイギリスは、2040年までに世界の新車販売をEV=電気自動車などの排出ガスを出さない車にする目標をまとめ、20か国余りが合意したと発表しました。
一方で、自動車産業が大きい日本やアメリカ、ドイツなどは参加を見送りました。
なぜ日本は参加を見送ったのか。日本のEV開発の現状と課題を探りました。

日本の自動車メーカーで相次ぐEVシフト


今月11日、自動車メーカーのSUBARUが、EV=電気自動車を来年半ばまでに日本やアメリカなどに投入することを発表しました。海外でEVの開発・販売が加速するなか、国内でもここ最近、主要メーカーによるEVの発表が相次いでいます。


SUBARU 中村知美社長
「安全性や四輪駆動の性能など、EVでもSUBARUらしさをしっかり担保できた。EVの世界でもお客様の期待は変わらないと思うので外すことなくやっていきたい」


2040年までに新車のすべてを電気で走る「EV」と、水素で走る「FCV・燃料電池車」にすると宣言したホンダでも、大衆車から自動車レース最高峰のF1まで“エンジンのホンダ”を支えてきた技術者たちがEVの分野に挑戦しています。


本田技術研究所 大津啓司社長
「エンジンを継続してZEV化(車の脱炭素化)できるかというとそれは相当難しいことなので確実にカーボンニュートラルを達成するための技術、それをしっかり開発して世に出していくことだと思う。さみしいですけどね」。


脱炭素の機運が高まる中、ここ最近は国内の自動車メーカーもEVの新たな販売計画を相次いで打ち出しています。

▽トヨタ自動車は10月、世界での展開を目指すEV専用ブランドの
SUV=多目的スポーツ車を2022年半ばから販売すると発表し、
2025年までにこの専用ブランドのEVを7車種、投入する計画です。
▽ホンダは去年、小型のEVを日本と欧州で販売しました。
来年春には中国で新型EVの販売を始めるほか、
2024年には国内で軽自動車サイズのEVを投入する方針です。
▽日産自動車は2010年から販売していて、
この冬にはSUVの新型EVを国内外で販売する予定です。
▽マツダはことし1月にEVを販売し、
2025年までにさらに3車種を投入する方針を示しています。
▽三菱自動車工業は、
日産自動車と共同開発している軽自動車サイズのEVを、
2022年度初めに販売する計画です。

また、軽自動車を主力とするメーカーでも、
▽スズキが2025年までに市場に投入する方針を示しているほか、
▽ダイハツ工業も開発を進めていて、
日本の自動車メーカーのEVの開発が加速しています。

2040年の排出ガス車ゼロの目標 日米などは参加見送り

国内の主要メーカーによるEVの発表が相次ぐなか、イギリスで開かれている「COP26」で2040年までにガソリン車やハイブリッド車などの新車の販売を停止し、排出ガスを出さないEVや燃料電池車に移行する新たな目標をまとめました。


▽目標に合意したのがイギリスやカナダ、スウェーデンやチリなど24か国。(11月11日現在)

▽またアメリカのGM=ゼネラル・モーターズやフォード、
スウェーデンのボルボなどの大手自動車メーカーも賛同しました。

▽一方で自動車産業が大きい日本やアメリカ、ドイツ、フランス
それに中国は参加を見送りました。

なぜ日本は参加を見送ったのか


背景に何があるのでしょうか。

ガソリン車1台作るのに必要な部品はおよそ3万点と言われています。電気自動車となると必要な部品はその半分程度になるとされていて、部品メーカーなどの雇用への影響が懸念されます。

また、今後、再生可能エネルギーが普及して二酸化炭素の排出が少ない国に車の生産がシフトしていく可能性があるとして、日本自動車工業会では、日本車の輸出ができなくなった場合、100万人の雇用が失われる可能性があるとしています。


日本はハイブリッドを含めた形で脱ガソリン車を図ろうとしていて、エンジンと電気の両方を使うハイブリッド技術はトヨタ自動車をはじめ、日本のメーカーが世界をリードしています。

そして、国も得意のハイブリッド技術をできるだけ生かしながら本格的な電動化の時代に備える、そうした道のりを描いていました。

まだまだ多いEV移行への課題


自動車産業の調査会社、マークラインズによりますと、去年のEVの販売打数は、日本では1万2900台で、新車販売台数の0.3%にとどまっています。

EVが伸び悩む背景に
▽専用の充電スタンドが十分整備されていないことや、
▽ハイブリッド車の種類が充実していることなどがあるほか、
電源の7割以上を火力発電に頼っているため、再生可能エネルギーを普及させない中でEVを増やしても充電に必要な電気をつくる際にかえって多くの二酸化炭素を出すことになるという指摘もあります。

今回の目標について、自動車が基幹産業である国からは早期にEVなどに完全移行する目標を打ち出すのは現実的ではないとの声が上がったということで、今後の各国のEV市場にどのような影響を与えるのか注目されます。