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政府は新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言をめぐり、対象地域の拡大を検討し、来週にも決める方向で調整している。

 31日としている期限の9月までの延長論も浮上する。東京都は4回目の宣言発令から12日で1カ月となるが、繰り返される対象拡大と期限延長。菅義偉(すが・よしひで)首相の言う「最後の宣言」はいつ終わるのか、国民に不満といらだちが募る。

追加検討地域は、蔓延(まんえん)防止等重点措置が適用中の13道府県が中心だ。内閣官房の資料(10日時点)によると、1週間の10万人当たりの新規感染者数は、13道府県全てでステージ4(爆発的感染拡大)。これらのうち病床使用率では福島、茨城、栃木、群馬、石川、京都、滋賀の7府県でステージ4となっている。

宣言の効果を見るには潜伏期間などを含め最低3週間は必要とされる。このため、拡大を来週決めた場合、追加地域の期限が9月になるのはほぼ確実だ。宣言発令中の6都府県でも感染拡大が続いており、地域の追加に合わせる形で、期限を延長するのは避けられそうもない。

田村憲久厚生労働相は11日、厚労省に助言する専門家組織の会合で「新規感染者数が常態的に1万人を超え全国的に感染が拡大している。東京は厳しい状況が続いており、東京の状況に近づいている自治体が続々と増えている」と危機感を示した。政府内には宣言の全国適用を求める声もあるが、関係閣僚からは「宣言を全国に出しても感染者は減らないだろう。何年も解除できない事態になりかねない」との声が漏れる。

重症者も増えており、10日時点の重症者は1332人と21日連続で増加した。インド由来の変異株(デルタ株)が猛威を振るう中、欧米ではワクチンを2回接種した人の割合が6割近くになっても、感染が止まらないという。

田村氏は11日のテレビ朝日番組で「日常としてコロナと付き合っていく時代になる」として、コロナ専用病院の開設を「早急に検討しなければならない」と述べた。コロナと共存する社会の在り方を示すのは急務となっている。(坂井広志)