キャンピングカーの未来はこうなる?
オランダのアイントホーフェン工科大学の発明家たちは、屋根に太陽光発電を搭載し、リビングとドライビングを両立させた電気自動車のコンセプトカー、ステラ ヴィータを開発した。はたして未来のモーターホームはこうなるのか?
果たして、太陽エネルギーを利用して、日常生活に適した電気モビリティは実現できるのか?
オランダのアイントホーフェン工科大学の「ソーラーチーム」の考えによれば、その答えは「イエス」だ。
「ソーラーチーム」は、コンセプトカー「ステラ ヴィータ」を開発&製作した学生グループだ。
「ステラ ヴィータ」は、ソーラーパネルを搭載した実験車で、住むこともできる、つまり完全な電気モーターホームだ。
ちなみに実験車はルノーのモデルがベースとなっている。
この「ステラ ヴィータ」を開発、製作したのは、アイントホーフェン工科大学の22人の学生たちだ。
オランダのアイントホーフェン工科大学は、建築から応用物理まで、幅広いコースを提供している。
学部には、機械工学と電気工学がある。
「ステラ ヴィータ」では、異なるコースから22名の学生が集まった。
プロジェクト終了時には、オランダからスペイン最南端のタリファ岬までの3,000kmをテスト走行した。
時速120kmの高速走行が可能なステラ ヴィータ
停車中に翼を広げると、「ステラ ヴィータ」のソーラーパネルの面積は17.5平方メートルにもなる。
空力的なデザインと、1,700kgの軽量化により、路上での最高速度は120km/hに達する。
搭載されているリチウムイオン電池の容量は60kWhだ。
バッテリーが完全に充電されている場合、「ステラ ヴィータ」は、約600kmの走行が可能だ。
さらに、晴れた日には、730kmの走行が可能だ。
充電は、すべての充電ステーションで可能となっている。
太陽エネルギーだけで充電する場合、現在の技術では2~3日かかる。
屋根を上げれば、より広い室内空間を確保できるようになっている。
停車時には、翼が側面に広がり、ソーラーパネルの面積が2倍になる。
「ステラ ヴィータ」の室内には、キッチン、ベッド、ソファ、シャワー、トイレなど、コンパクトなモーターホームのような内装が施されている。
すべての動力源は太陽エネルギーだ。
製作者である学生たちによれば、この「モバイルハウス」のアイデアは、プロジェクトの計画中に生まれたという。
ソーラーパネルを使えば、車が走らなくても大量のエネルギーが得られることがわかったためだ。
そのため、製作チームによれば、「ステラ ヴィータ」はユーザーが生活したり、仕事をしたりできる「モバイルハウス」になるとのことだ。
今後が楽しみなプロジェクトだ。
世の中がカーボンニュートラルに向かえば、当然モバイルホームもEV化せざるをえないし、さらに今回のステラ ヴィータは、再生可能エネルギーである「太陽光発電」を取り入れていることが新しい。
形はなんとも「ツチノコ」のようだが、その中身は真剣も真剣、ハイテクノロジーの詰まったものであることは言うまでもない。もちろんこれを市販車にするためには、何倍もの時間と労力が必要ではあるが、それでも今後の可能性を真面目に考えて行く上では有用なプロジェクトであるといえよう。
おそらくこういう「全く新しい形」の自動車がこれからも出てくるだろう。今まで見なれていない形である可能性もあるし、初見でびっくりすることも多いかもしれないが、どこで遭遇してもいいように、心の準備だけはしておきたい。
Text: Lars Hänsch-Petersen
加筆: 大林晃平
Photo: TU Eindhoven