地理空間情報を扱うスタートアップ企業の株式会社Geoloniaは8月5日、これまでベータ版として提供していた地図作成サービス「Geolonia Maps」をアップデートし、正式サービスとして提供開始した。
Geolonia Mapsは、オリジナルの地図を作成可能な地図作成サービスだ。地図データはOpenStreetMapや、国土地理院をはじめとした行政が公開するオープンデータを組み合わせることにより、低コストで自由度の高いサービスを実現している。今回のアップデートでは、デザインやインターフェースの見直しを行ったことに加えて、正式サービス開始に伴う有料課金機能を新たに搭載した。
利用料金については、APIアクセスや、ウェブサイト/アプリなどにおける地図表示の回数に応じた階段方式の従量課金制で、月ごとの地図表示回数が1000回までは無料、10万回までは3万円、100万回までは30万円(いずれも税別)と、回数に応じて月ごとに支払うかたちとなっている。Geoloniaの発表によると、この料金は「Google Maps」や「Mapbox」を意識した価格設定となっているという。
ただし、オープンソースコミュニティ向けには料金が無料となり、地図をGitHub Pagesで利用する場合はアクセス数に関わらず無料となる。作成した地図は画像としてダウンロードしたり、印刷して配布したりすることが可能で、自由度が高いのも特長だ。
地図データはベクトルタイルを採用しており、柔軟なデザインカスタマイズを行える。ダッシュボードからデザインテンプレートを選択して地図を作成することが可能で、マーカーやズームレベルの設定、ポップアップの設定などの簡単なカスタマイズはHTMLだけで行える。また、JavaScript APIなどを利用することで自社の店舗一覧やお気に入りの飲食店リスト、観光地の見どころスポットなど、テーマに沿った地図をオリジナルのデザインで作成できる。
Geolonia Mapsでは、デフォルトのスタイル「geolonia/basic」のほかにも、「geolonia/midnight」「geolonia/red-planet」「geolonia/notebook」などさまざまなスタイルをGitHubで公開している。各スタイルのリポジトリのREADME内にある「DEMO on editor」というリンクにアクセスすると、オープンソースソフトウェア「Maputnik」を使ってGUIでスタイルを編集できる。
このほか、緯度・経度情報に対して住所を返す逆ジオコーダーや、不動産に対してIDを発行する「不動産共通ID」、日本の住所表記を正規化する住所正規化APIなど、多彩なAPIサービスも利用可能。ユーザーが持つ住所データをアップロードして地図を作成する機能も、近日中に提供開始を予定している。
Geolonia Mapsはすでにさまざまなサービスで活用されており、株式会社GENOVAが提供する「新型コロナワクチンマップ」や、テイクアウト対応店舗のオリジナル地図アプリを簡単に作れる「イエメシ」、株式会社紀伊民報が提供する和歌山県紀南エリアの情報サイト「KiiLife」の店舗情報などで導入されている。
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