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【シドニー=松本史、パリ=白石透冴】南太平洋の仏領ニューカレドニアで12日、フランスからの独立の是非を問う住民投票があった。暫定結果では反対票が96.5%となり、2018年、20年に続き独立は三たび否決された。投票の延期を求めた先住民ら独立派の多くが投票をボイコットし、賛成票はわずか3.5%だった。

投票率は43.9%で、20年(85.7%)から40ポイント以上下落した。今後、独立賛成派の先住民らが結果を受け入れず、混乱が起きる可能性もある。フランスのマクロン大統領は12日演説し「棄権者が多数いたが、ニューカレドニア住民は独立を否決した。フランスの一部であり続けることが決まった」と強調した。

ニューカレドニアはオーストラリアに近い群島で、人口は約27万人。19世紀にフランスに併合され1946年に海外領土となった。仏軍が駐留し、電気自動車(EV)のリチウムイオン電池に使われるニッケルの世界有数の生産地でもある。

住民はカナクら先住民が41%、欧州系が24%など。カナクを中心に60年代から独立を求める運動が拡大した。欧州系住民の多くはフランスへの残留を希望する。

今回の住民投票は98年に独立賛成派、反対派、仏政府の3者でまとめた「ヌメア協定」に基づくものだ。合計3回まで住民投票の実施が可能で、今回が最後となる3回目だ。独立賛成票は1回目(2018年)が43.3%、2回目(20年)が46.7%と伸び、3回目は賛成票と反対票が拮抗すると予想された。

ただ、21年9月から新型コロナウイルスの影響で外出規制が導入された。同月からの犠牲者数は280人に上る。独立派は死者の弔いや外出規制により十分な活動ができなかったとして仏政府に投票の延期を求めた。

10月には独立派をまとめるカナク社会主義民族解放戦線(FLNKS)が「12月12日に行われる住民投票には参加しないよう呼びかける」との声明を出し、延期しなければボイコットも辞さない姿勢を示した。しかし仏政府は12日の投票を堅持し、多くの独立派が不参加の結果となった。

独立は否決されたが、今後の混乱を懸念する声も出る。ニュージーランド(NZ)メディアは、独立派の幹部らが12日の投票への反対を国連に訴えるためニューヨークに出向いたと報じた。投票結果を巡る混乱が生じれば、22年4月の仏大統領選で対立候補らにマクロン氏への批判材料を与えることになる。

南太平洋では中国がインフラ支援を通じて存在感を強めており、ニューカレドニアが独立すれば中国が影響力を及ぼすとの指摘が出ていた。仏軍事学校戦略研究所(IRSEM)は10月に発表した報告書で、米国やその同盟国の太平洋における影響力をそぐために、中国がニューカレドニアで独立運動を支援しているとの見方を示唆した。