Intelでは2022年にNVIDIAやAMDが寡占するグラフィックスカード市場に算入するべく、Arc Alchemistグラフィックカードの準備を進めていますが、今回Arc Alcchemistの全モデルに関する関する仕様や発売時期などが出現しました。
Arc Alchemistの詳細情報が出現
Intel Arc Alchemist DG2-512EU and DG2-128EU GPUs leak in new photos – VideoCardz.com
Intelでは2022年中にArc Alchemistと呼ばれるグラフィックスカードを投入し、NVIDIAとAMDの2社がほぼ独占している市場に割って入る事を目指しています。そんな、Intel Arc Alchemistについて、Moore’s Law is Deadにて発売が予定されているモデルラインアップすべての情報を入手し、多くの情報が紹介されています。
ワークステーション向けも投入予定
Arc Alchemistについてはデスクトップ向けとラップトップ向けがラインアップされるという情報はあったものの、今回新たにワークステーション向けのグラフィックスカードもリリースされると判明したとの事です。
デスクトップ向けではエントリーモデルのRTX 3050やAMDのRadeon RX 6500 XTからNVIDIAのGeForce RTX 3070、RTX 3070 Tiなどのアッパーミドルレンジまでの製品を投入する見込みとなっています。
ラップトップ向けモデルではデスクトップ向けと同じくRTX 3050と競合するエントリーの他に、NVIDIA GTX 1650 Max-Qに対抗するモデルも投入されます。その一方で、最上位モデルではRTX 3070またはRTX 3080などハイエンドモデルを見据えたモデルがラップトップ向けには投入される予定となっています。
今回、新たに出現したワークステーション向けのグラフィックスカードではエントリーモデルはNVIDIA A2000と同じ価格帯だがよりVRAM容量を増やしたモデルが投入される予定となっており、間にNVIDIA A4000を競合に見据えたモデル、そしてA4000と同じ価格でNVIDIA A4500並みのパフォーマンスを発揮するモデルなどを投入する予定となっています。
最上位モデルではVRAM 32GB化も検討中の模様
Intel Arc Alchemistでは上位モデルに採用されるSoC1とエントリーモデルに採用されるSoC2の2つのGPUが用意されていますが、今回各GPUが採用されるモデルの詳細仕様も明らかになっています。
最大512EU搭載の『SoC1』
512EU搭載モデルでは18/16/14 GbpsのGDDR6がサポートされ、帯域幅は256-bitとなりVRAM容量は16GB搭載される見込みになっています。一方で、より性能を高めるために32GBのVRAMについても検討が行われているようです。TDPについてはデスクトップ向けが225W以下を目指しており、ラップトップ向けでは120~150WのTDPになるようです。
384EU搭載モデルでは16/14 GbpsのGDDR6をサポートし、帯域幅は192-bit、VRAM容量は12GBとなります。TDPはデスクトップ向けが150-200W、ラップトップ向けが80-120Wとなる予定です。
256EU搭載モデルでは128-bitの帯域幅となり、VRAM容量は最大8GBでラップトップ向けのみ登場予定でTDPは60-80Wに収まる見込みとなっています。
SoC1については、生産は2022年2月中旬から開始される見込みで、AIB各社はQS品でのテストを待っている状態との事。
リリース時期についてはデスクトップ向けがQ1またはQ2に投入され、その後にラップトップ向けが投入されます。そして2022年下半期にワークステーション向けがリリースされる見込みとの事です。
エントリー向け128EU搭載のGPU『SoC2』
デスクトップ向けの128EUモデルでは16/14GbpsのGDDR6がサポートされ、帯域幅は96-bit、VRAM容量は6GBになる見込みでTDPについては外部の電源コネクター非搭載を目指しており、75W以内に収まる予定となっています。
ラップトップ向けの128EUモデルでも16/14GbpsのGDDR6がサポートされますが、VRAM容量は最大4GBとなり帯域幅も64-bitになります。TDPについては35-50Wに収まる見込み。
96EUモデルについてはラップトップ向けのみで登場し、VRAM容量は4GB、帯域幅は64-bitとなっています。TDPについては35W以内になると見られています。
SoC2については、2022年1月末から生産が開始され、デスクトップ向けおよびラップトップ向けがQ1の終わり頃にリリースされ、Q2の末にワークステーション向けがリリースされる予定となっています。
なお、SoC1もSoC2もPCI Express 4.0をサポートし、ワークステーション向けのグラフィックスカードではNVIDIAのAシリーズより10%高いパフォーマンスを発揮する一方で、10%安い価格での販売を目標としているとの事です。ただ、10%高いパフォーマンスはドライバーの最適化が行われてからの話のようで、登場してすぐはこのパフォーマンスを発揮する事は出来ないようです。
Arc Alchemistの今後のスケジュール
Intelと近い関係にある企業によると、Arc Alchemistのリリース日程については2021年秋頃から激しく変動しており、後退のみならず、日程が促進される事もあったとの事。ただ、あまりにも変動が多く、Intelグラフィックス部門のマネージメント能力が欠如している事が非常に心配との事。
2022年Q1:生産開始
Intelでは2022年Q1からSoC1とSoC2の生産を開始する見込みで、2021年1月頃からサンプル品などのリークが多く出現する可能性があるとの事。ただ、このタイミングの製品は量産品では無くES品相当になるとの事。
そして、ワークステーション向けモデルについては2月頃にサンプル品の生産が開始される見込み。そして、SoC2のラップトップ向けについては2021年3月にペーパーローンチが行われる見込みとなっています。
2022年Q1~Q2:SoC1の投入
デスクトップ向けエントリーモデルを担うSoC2はQ2の始めから投入準備が完了するで、その間もなくあとにハイエンド向けGPUであるSoC1が準備されるとの事。
SoC1を搭載したAIBモデルは2022年4月には製品として投入できる用意はあるものの、ドライバーが現時点では3月頃のリリースが予定されているが本当に間に合うかは不透明な状況。もしドライバーが間に合わない場合、AIBに対して発売を後退させる可能性があるとの事。なお、SoC1のリファレンスモデルはQ2中頃のリリースを予定になっています。
ラップトップ向けのSoC1についてはOEMによるとQ2末になるまで入手するのは困難で、それまではリリースはされているものの、買えないペーパーローンチ状態になると言われています。
2022年Q3~Q4:ワークステーション向け投入
2022年Q3~Q4にかけてワークステーション向けモデルが投入予定で、16GB、12GB、8GBモデルについては夏の終わりまでにリリースが行われる模様です。また、VRAMを32GB搭載するモデルについて、Intel側で進める決断が行われれば、Q4までに投入が行われる見込みとなっています。
NVIDIAはArc Alchemist投入でエントリー向けモデルのシェアを失う
NVIDIAではGeForce RTX 2060 12GB版やCMP HX160などマイニング用グラフィックスカードの投入に積極的な姿勢を示していますが、この理由としてはIntelがArc Alchemistを投入する事でNVIDIAのグラフィックスカードを搭載するOEM製のモバイルおよびデスクトップモデルが激減すると予想しているとの事です。特にエントリー向け製品ではRTX 3050などを用意するものの、シェアを大きく失うと予想しておりその埋め合わせとしてマイニング用グラフィックスカードで利益を取りたいと考えているようです。
AMD RDNA3ではアクセラレーターダイがGPU上に重ねられる?
Intel Arc AlchemistについてはモノとしてGPUの完成は迫っているようですが、どうやらドライバーの熟成に手間取っている可能性が高そうです。また、IntelとしてディスクリートGPUの投入はほぼ初めてのため、AIBとのコミュニケーションなどもあまり上手く行っていないようですので、リリース初期は何かしらのトラブルに見舞われる可能性があるかもしれません。ただ、初めての事なのでその辺は暖かく見守って、NVIDIAやAMDが独占するグラフィックスカード市場に割って入り適正な価格競争が促される環境にしていって欲しい所です。
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