もっと詳しく

関東圏および新潟県で22店舗を展開する巨大鮮魚店チェーン・角上魚類。水産小売業としては異例の年商400億円で、日本一の規模を誇ります。

連日来店客でゴッタ返す様子(小平店)

 

前回は、角上魚類小平店の川崎真論店長にアラの扱い方、オススメの調理法などを【レクチャー編】としてご紹介していただいたわけですが、いよいよ今回はその【実践編】。川崎店長のレクチャー通りにアラ、血合いなどを実際に調理し、本当に臭みがとれ、美味しいのかどうかを確認することにしました。

 

その①「鯛のアラの潮汁」

鯛のアラを最も手軽に調理したい際に重宝。きちんと下処理をすれば臭みがない、濃厚な鯛のお出汁を味わえる潮汁に!

 

【用意するもの】

・鯛のアラ……2本分

・水……適量

・塩……適量

・昆布……5cmくらい

・酒……大1

・三つ葉……適量

 

【レシピ】

①鯛のアラは水で綺麗に血を流した後、振り塩をし冷蔵庫で1時間ほど冷やす

②さらに臭みを取るために、①の鯛のアラをガスコンロの魚グリルで表面に焦げ目がつくまで焼く

③鍋に焼いた鯛のアラ、昆布、酒を入れヒタヒタになるまで水を入れ、強火で炊いていく。完全に沸騰したら弱火にし、アクを綺麗に取りながら40〜50分焚く

④③までの出汁は別の料理にも使うベースになるため、この鍋には塩を加えず、潮汁用に使いたい分だけを別鍋に移し、塩加減を整え三つ葉を乗せて完成

 

その②「鯛のスープで割っためんつゆ」

潮汁のスープをきれいに濾して、いったん冷やせば万能のお出汁に。今回は川崎店長推薦の「めんつゆの水の代わりに、鯛の出汁で割る」を実践!

 

【用意するもの】

・「鯛のアラの潮汁」のベース(塩を加えていないもの)……適量

・こねぎ、わけぎなど……適量

 

【レシピ】

①「鯛のアラの潮汁」のベースを冷やす

②市販のめんつゆ(4倍濃縮など)の水代わりに①で割り、こねぎ、わけぎなどを散らして完成

 

その③「鯛のアラの炊き込みご飯」

鯛のアラにも身が微かに残っています。捨てるのはもったいないので、鯛のアラを炊いたスープでご飯を炊けば、風味高い炊き込みご飯が完成します!

 

【用意するもの】

・「鯛のアラの潮汁」のベース(塩を加えていないもの)……適量

・米……3合

・薄口しょうゆ……大1

・みりん……大1

・酒……大1

・水……適量

・こねぎ、わけぎなど……適量

 

【レシピ】

①米を綺麗にといでざるに切っておく

②炊飯鍋に、冷ました「鯛のアラの潮汁」のベース、米、薄口しょうゆ、みりん、出汁を三合のメモリまで入れ炊き上げる

③炊き上がり後、盛り付ける際にこねぎ、わけぎなどを乗せて完成

 

その④「太刀魚の骨せんべい」

こちらも川崎店長推薦。旬の太刀魚のアラを2度揚げすれば、カリッとした骨せんべいに。酒のおつまみにピッタリの一品です

 

【用意するもの】

・太刀魚のアラ……1本文

・油……適量

 

【レシピ】

①太刀魚のアラを水で洗った後、振り塩をしり塩をし冷蔵庫で1時間ほど冷やす

②アラから浮き出た水分を綺麗にとり、160度に温めた油で2分ほど揚げて一度取り出す

③さらに190度に温めた油で30秒ほどくぐらせ、カリッとさせて完成

 

その⑤「マグロの血合いの竜田揚げ」

マグロの血合いの食感の良さが、竜田揚げにすることで内側はフワッと。外側はカリッと仕上がります

 

【用意するもの】

・マグロの血合い……1パック(400gくらい)

・おろし生姜……大1

・醤油……大4

・酒……大4

・片栗粉……大4

・油……適量

・レモン……適量

 

【レシピ】

①マグロの血合いをボウルに入れ、揉みほぐしながら流水で5分ほど流す。濁りがなくなるまで、この作業を数回行う

②一口大にカットした後、振り塩をし1時間ほど冷蔵庫で冷ます

③血合いの水分を綺麗に拭き取った後、おろし生姜、醤油、酒を入れたボウルに入れ30分ほど漬け込む

④表面に片栗粉をつけて、180度に熱した油で5〜6分ほど揚げ、レモンを添えて完成

 

その⑥「マグロの血合いのステーキ」

赤黒いマグロの血合いは、見た目だけ見れば、ちょっと臭そうで、なんとなく苦味もありそうですが、川崎店長のレクチャー通りに臭みを抜けば、まさに「肉」のような食感に早変わり!

 

【用意するもの】

・マグロの血合い……1パック(400gくらい)

・スライスした生姜……6片

・焼肉のタレ……大6

・酒……大4

・油……適量

・大葉……適量

 

【レシピ】

①マグロの血合いをボウルに入れ、揉みほぐしながら流水で5分ほど流す。濁りがなくなるまで、この作業を数回行う

②ステーキくらいのサイズにカットした後、焼肉のタレ、スライスした生姜、酒を加えて30分ほど漬け込む

③フライパンに油を敷き、中火で焦げないよう焼く

④大葉を添えて完成

 

【試食レビュー】アラも血合いも本当に臭みがないのが不思議!!

 角上魚類・川崎店長直伝のアラ・血合いを使った7品を筆者、編集ライター見習いの中西ふみえ、カメラマン・我妻慶一、カメラマン・鈴木謙介の4名で試食し、レビューしました!

ーー確かに手間はかかったアラ・血合いを使った調理。1人で全部やったところ4時間半もかかりました(笑)。

 

カメラマン・鈴木謙介(以下、鈴木) お疲れさまでした。ただ、どれも本当に美味しかったし、臭みがいっさいない。特に「鯛のアラの炊き込みご飯」、何度もおかわりしたくなりますね。

 

カメラマン・我妻慶一(以下、我妻) 本当に臭みがないのが不思議でした。個人的には、おかずが全部美味しかったですね。どれもアラや血合いと言われなければ気づかないほどで、メインのおかずにしても申し分ないと思いました。特に「マグロの血合いの竜田揚げ」は、子どもも好きそうな味。結構やみつきになりますね。「太刀魚の骨せんべい」なんかもお酒のおつまみに良いし、止まらなくなりますね(笑)。

 

中西ふみえ(以下、中西) 調味料やお米などは置いておいて、魚のアラ、血合いだけで全部でいくらくらいかかっているんですか?

 

――魚のアラは角上魚類で刺身用に身おろししてもらったときのものなので、基本は0円。ただ、マグロの血合いだけはパック売りで400円でした。

 

中西 たった400円の素材と、調味料などだけでこれだけ作れるのはすごい。私もやってみたいです。マグロの血合いでも全く臭くないし、本当にお肉みたいなので。

 

鈴木 ただ、マグロの血合いの臭みが感じないのは「角上魚類だから」っていう理由はあるかもしれない。

 

中西 どういうことですか?

 

鈴木 角上魚類って、絶対的に新鮮な魚ばかりを扱っているでしょう。今日仕入れた魚が多いから、アラでも血合いでも臭みなく味わえるっていうことはあるような気がする。これが普通のスーパーマーケットで買ったアラとか血合いとかだと、ここまで臭みなく食べられるかどうかはわからないですね。

 

我妻 あと、これらの料理も翌日になったら臭くなっちゃうとかもありそう。

 

――確かに潮汁なんかは、一度火を通したとはいえ、翌日、翌々日になると、臭みが出てきます。だから、アラや血合いを料理する場合は、できるだけその日に食べ切ったほうが良いようにも思いました。

 

我妻 そんな感じがしますね。ただ、アラとか血合いをここまで美味しく調理できるってことはすごい。本当に飲食店のメニューで出されていてもおかしくないくらいの味でした。なんか居酒屋で、シメのご飯に「TMG(卵かけご飯)」とかやってるじゃないですか。あれも美味しいけど、要は卵をご飯にかけているだけだから手間はかかっていないんですよね(笑)。その点、もし、こんなアラとか血合いを使ったシメのご飯が出てくるお店だと「かなりいいぞ」と思いそうです。

 

中西 これだけやると確かに4時間半はかかるでしょうけど(笑)、でも素材費は安いわけですしね。

 

鈴木 「マグロの血合いのステーキ」も、「鯛のスープで割っためんつゆ」も美味しかったですよ。料理好きな人じゃなくても、やってみるとすごく良いんじゃないかと思いました。

今回、アラと血合いのレシピを教えてくれた角上魚類・小平店の川崎店長。感謝です!

 

想像以上のうまさと高評価を得た角上魚類直伝の魚のアラ、血合いを使ったレシピ。手間は確かにかかりますが、素材費は安く、誰でも手軽に作れるものばかりです。お近くに角上魚類がある方は、お店に行き、できるだけ新鮮なアラ、血合いを使ってこれらの調理を是非お試しください!

 

撮影/我妻慶一