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10億ドル(約1099億円)と評価されてから約1年、人工知能で動く個別指導プラットフォームに変わったフラッシュカードツールのQuizlet(クイズレット)は新規株式公開を計画している。この件に詳しい人物によると、Quizletの株式公開の準備はかなり進んでいる。直近の求人情報では、同社は「IPOを目指すのにともない、財務システムとプロセスの構築をサポートする」上級職の人材を求めている。

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TechCrunchへの電子メールで、サンフランシスコ拠点のQuizletはコメントを却下した。同社は具体的な売上高や、収益をあげているかどうかなどについて多くを語らなかった。まだ未公開である同社は2020年、売上高は年100%成長していると述べた。ウェブサイトでは、月間の学習者は6000万人で、2018年の総数から1000万人増えたとしている。

Quizletはシェアするのも使うのも簡単なプロダクトで大規模なビジネスを構築した。同社の無料のフラッシュカードメーカーでは学生が試験に備えるためにトピックの学習参考書を回すことができる。そうした知見はQuizlet Plusにつながっている。Quizlet Plusは同社のサブスクプロダクトで、年額47.88ドル(約5300円)で個別指導サービスを含むその他の機能にアクセスできる。

同社のCEOであるMatthew Glotzbach(マシュー・グロッツバッハ)氏によると、Quizlet LearnというQuizletの個別指導部門は最も人気のサービスだ。学習者がシステムを使っているとき、Quizlet Learnは学習者がどこで間違えたのか、そしてどこで進歩したのかを常に査定する。

「明らかにこれは人間に取って代わっておらず、またそこに近づいてもいませんが、参考書を提供して正しい方向を示し、正しい場所で時間を費やせるようにサポートできます」とグロッツバッハ氏は話す。「目標を定めるのをサポートすることでさえ、学習における重要なステップです」。

直近では同社は、人気の教科書の問題セット向けのステップバイステップの解答ガイドを提供する「説明」の立ち上げを発表した。この機能は「専門家によって書かれ、検証されて」おり、「学生が演習し、学習したことを自分で応用できるよう、練習問題で根拠と思考過程の理解」をサポートすることを目的としていると声明文で説明した。全面的なブランド変更の中で、同社はまた不運な前任者からQを取り戻した

Quizletの新規株式公開に向けた静かな歩みは、ゆっくりとしたものだが着実だった。同社は15歳だったAndrew Sutherland(アンドリュー・サザーランド)氏によって2005年に創業された。2015年までは事業は自己資金で賄われた。その後、YouTubeの幹部だったグロッツバッハ氏が2016年に加わった。同社にはまだCFO(最高財務責任者)がいないようだが、これは株式公開しようとしている企業にとっては珍しいことだ。

Quizletはベンチャーキャピタル6200万ドル(約68億円)の大半をグロッツバッハ氏のもとで調達した。現在、同社の投資家にはGeneral Atlantic、Owl Ventures、Union Square Ventures、Costanoa Ventures、Altos Venturesなどがいる。

Quizletの株式公開の追求は、他のEdTech企業が市場の受容性をこの部門で示している中でのものだ。例えばDuolingo(デュオリンゴ)も消費者向け教育の会社だ。ただしQuizletが幅広い学習内容になっているのに対し、Duolingoは1つの分野にフォーカスしている。Duolingoは7月に株式公開し、現在は始値を上回る1株あたり169.75ドル(約1万8660円)で取引されている。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi