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イラクの総選挙の結果は、これまで累次報告している通り、サドル師支持者が大きく議席を伸ばした半面、イラン支持の政党や民兵が大幅に議席を減らし、アラビア語メディアは、「政治的地震」などと表現していますが、96%開票時点における、各派の暫定議席数や親イラン勢力の反応等に関する取り敢えずのところ次の通りです。
なお、独立選挙委員会は12日から3日間、選挙結果に関する異議申し立てを受け付けるとしているようですが、まだ若干の異動はありそうです(但し、選挙結果が覆るような大きな変化はないだろうと思います)
なお、これらの結果からすると要するに、大きく議席を伸ばしたのが、大衆政治家でイランから距離をとるサドル師一派等で、反対に惨敗したのが既成政治家や特に親イランの民兵勢力で、過去2年くらいの間の多くの抗議デモに反映されたイラク民衆の政治の現状に対する不満が背景にあるように思われます。
また親イラン系民兵勢力の凋落は、彼らがイラクのための国づくりを目標にするのではなく、お隣の大国イランの手先となって、ある意味で国を売っていること(勿論シーア派の彼らにとって、イランやイラクという国は重要ではなく、シーア派革命の故郷イランを守ることが重要ということではあろうが)に対する反対があると思われ、ネットに氾濫する「反米強硬派サドル師」という表現は、今ではかなり時代遅れのものではないでしょうか?
確かにイラクにおいて米国が圧倒的な地位を有していた時には独立強硬派の彼は反米ということになっていたが!その後イラクにおけるイランの影響力が圧倒的になった現在、独立派としては必然的にイランに批判的にならざるを得ない、ということでしょう

各勢力の獲得議席数
サドル師支持勢力       73(前回の選挙では54議席)
議会議長(スンニ派)支持派  38議席
元首相マリキー支持派     37議席
クルド民主党         32議席
ファタハ(アムリのシーア派民兵連合)  14議席(前回選挙では47議席)

親イラン派の反応
親イラン民兵連合のアムリは12日、発表された結果はインチキで、選挙は公正なものではなかったとして、結果受け入れは拒否すると表明した
またイランの対外工作担当のアルコドス部隊司令qaani師は、結果発表を受けて、バグダッドに入り、早速親イラン系統の勢力と協議に入り、議会の多数を制する多数派の形成を目指している
(この報道が事実であれば、アムリのように選挙結果を拒否するのではなく、選挙に基づいた多数派工作を進めようとしているらしく、イランは未だ正気を失ってはいないように見えるが、今後どうなるか?) 
米国の反応
米大統領府報道官は12日、イラクで無事総選挙が行われたことを歓迎した

البيت الأبيض يهنئ حكومة العراق على إجراء الانتخابات | الشرق الأوسط (aawsat.com)
 أحزاب تقدمت وأخرى تخلفت.. تعرف على نتائج الانتخابات العراقية بالأرقام | أخبار سياسة | الجزيرة نت (aljazeera.net)