マレーシア・マラッカ州における議会議員選挙の投開票日が11月20日に決まった。コロナ禍での選挙で苦い経験をしているマレーシア。10月24日付の地元英字紙ザ・スターは、社説でこの問題を採り上げた。
サバ州の苦い経験
マレーシアのマラッカ州議会議員選挙が11月20日に投開票されることが決まった。8月下旬のピーク時には1日あたり2万人を超えていた同国の新型コロナウイルスの新規感染者数は、現在は6000人以下に減少している。社説は、「感染は収束傾向にある。国内の多くの州では、ワクチン接種を済ませた人はほとんどの活動が許可され、経済活動が再開されるとともに、学校も再開し、国家回復計画のフェーズ4の段階に入った」と指摘し、社会が平常に戻りつつあることを指摘する。
その一方で、選挙については次のように警戒を呼び掛けている。
「医療の専門家たちは、選挙によって、再び新型コロナの感染拡大が起きる恐れがあると警告している。昨年、サバ州で実施された議会議員選挙によって起きた感染拡大が、今なお尾を引いていることがその背景にある」
ここで指摘されているのは、2020年9月26日に投開票されたサバ州議会議員選挙のことだ。当時、選挙に向けて行われたキャンペーン活動と、投票に訪れた人たちによって起きた「感染の波」は、深刻な影響をもたらした。
「政治家や支援者たちは、ソーシャルディスタンスの確保などの予防策を求められたが、実際には250人以上が集まった政治集会もあり、対策は徹底しなかった。今回、マラッカ州で議会議員選挙を実施するにあたり、われわれはこの苦い経験から大いに学ばなければならない」
コロナ禍で行われた各国の選挙
社説によれば、世界中で新型コロナの感染拡大が始まって以来、少なくとも120カ国・地域で、コロナ禍に選挙や住民投票が実施されたという。アジア地域でも、9カ国で選挙が実施された。例えば、6月24日にはモンゴルで国会議員選挙が、7月4日には東京都で議会議員選挙が、そして、7月10日にはシンガポールで総選挙が、それぞれ実施された。社説は、各国の選挙の様子について、次のように伝えている。
「モンゴルでは、オンラインによる選挙運動が推奨されたが、なかなか実現しなかったため、予防策をしっかりとったうえで、対面の集会が許可された。一方、シンガポールでは選挙集会が全面的に禁止され、東京では通常通りの方法で都議会選挙が実施された。2020年4月に韓国で実施された総選挙では、新型コロナに感染した有権者も投票できるように、特別な場所が設けられた」
社説は、選挙運動や投票について、マレーシアの現状に合わせた独自の条件設定があるはずだ、と指摘。そのうえで、「サバ州の議会議員選挙における苦い経験を繰り返さないために、選挙に携わるすべての人々、そして有権者が、新型コロナ予防策を徹底しなくてはならない」と、訴えている。
(原文https://www.thestar.com.my/opinion/columnists/the-star-says/2021/10/24/holding-elections-during-a-pandemic)
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