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北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、アメリカのブリンケン国務長官は、北朝鮮とロシアの関係者7人とロシア企業1社に対し制裁を科したとしたうえで「国際平和と安定にとって深刻な脅威で、あらゆる適切な手段を用いて対応する」と強調しました。

北朝鮮は、今月5日と11日、日本海に向けて、極超音速ミサイルだとする弾道ミサイルを相次いで発射するなど、核・ミサイル開発を推し進める姿勢を鮮明にしています。

こうした中、アメリカのブリンケン国務長官は12日声明を出し、北朝鮮国籍の男6人とロシア人の男1人の合わせて7人と、ロシア企業1社に対し、資産凍結などの経済制裁を科したと発表しました。

アメリカ財務省によりますと、このうち、北朝鮮国籍の男5人は、北朝鮮で核・ミサイル開発を担っているとされる「第2自然科学院」の関係者で、ロシア極東のウラジオストクを拠点に通信機器の調達に関わるなど、ロシアや中国で活動していたということです。

ブリンケン長官は「北朝鮮の核・ミサイル開発は、国際平和と安定にとって深刻な脅威で、核不拡散体制を損ねるものだ。アメリカは、あらゆる適切な手段を用いて対応する」と強調しました。

そのうえで「国連のすべての加盟国に対し、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の決議を完全に履行するよう求める」と述べ、北朝鮮に対する経済制裁の確実な履行を国際社会に強く求めました。

北朝鮮の「第2自然科学院」とは

北朝鮮の「第2自然科学院」は、朝鮮労働党の軍需工業部の傘下にある機関で、核・ミサイルの研究や開発を担っていて、優秀な科学者たちが集められていると言われます。

北朝鮮のメディアは、2014年8月に行われた「戦術ロケット弾」の発射実験について伝えた中で、立ち会ったキム・ジョンウン(金正恩)総書記が「第2自然科学院」の幹部に対し「より高度な国防科学技術の課題を与え、国防力の質的な強化に寄与するよう期待する」と述べたとしていました。

その後北朝鮮のメディアには「第2自然科学院」は登場しなくなったことから、弾道ミサイルなどの発射実験を行っている国防科学院と一緒になった可能性があるという見方も出ています。

米国連大使「国連制裁を提案」投稿

アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は12日、自身のツイッターに「北朝鮮が去年9月以降、弾道ミサイルを6回発射したことについて、アメリカは、政府による制裁を科したうえに国連制裁を提案している」と投稿しました。

ただ、北朝鮮をめぐって国連安全保障理事会では、アメリカなど欧米各国が相次ぐミサイル発射を非難しているのに対し、中国とロシアは北朝鮮に対する制裁を緩和すべきだと主張して、立場の違いが浮き彫りになっていて、安保理として一致した姿勢を示すのは難しいのではないかという見方が強まっています。

松野官房長官「アメリカの立場を支持」

松野官房長官は、午前の記者会見で「わが国としては、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けたアメリカの立場を支持している」と述べました。

そのうえで「わが国としては、これまで関連する国連安保理決議で禁止された活動に関する個人や団体への資産凍結を行うとともに、北朝鮮籍の人の入国を原則禁止するなどの措置をとってきており、引き続き決議の実効性を確保するとともに、措置の実施を徹底していく」と述べました。