もっと詳しく

ここ数年「車の免許が欲しいな〜」と考えることが増えてきました。けれど、車の免許を取るためには、まず教習所へ行かなければいけません。旦那に「免許取ろうと思うんだけど……」と話をしたところ、「いいね! でも教習所大変だと思うよ。俺の教官はめっちゃ厳しくて、普通に叩かれたりしたからね」と言われ、めちゃくちゃ怖くなってしまいました。そう……、教習所は怖いところ。いつしかそんなイメージが私の中で出来上がり、どんどん足が遠のいていったのです。

 

そんな時『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』(加藤光一・著, 坪田信貴・監修/KADOKAWA・刊)なんて一冊を発見! 実際に調べてみると、全国に「ほめちぎる教習所」が10か所ほどあるではないですか。「ほめちぎる教習所」とは一体、どんなところなのでしょうか?

「ほめる」で免許って取れるものなの?

車の運転には危険がいっぱい。なんとなくニコニコほめられながら指導されても、合格できるの? と思ってしまいます。しかも、教習所に通っただけでは免許は取れないので、実際の試験に合格するために、何時間も勉強したり、短期間で運転技術を身につけたりするためには多少の厳しさも必要なのでは? と考えてしまいます。

 

三重県にある南部自動車学校で2013年から始まった「ほめちぎる教習所」では、そんな不安をよそにどんどん生徒数が増え、しかも実績もしっかりついてきたというのです。

 

まず、免許の合格率が、「ほめる」教習をはじめて以来、年々向上したのです。2014年からの3年間だけでも、4.5%アップしました。

さらにうれしいことに、「ほめる」教習を実施してから卒業生の事故率が半数近くにまで減少しています。

(『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』より引用)

 

私自身も上の世代から厳しく指導された世代なので、「厳しいほど強くなる」と、ある種の勘違い……といいますか、ほめられるよりも厳しく指導されることに慣れている人間です。そのため「ほめたら、甘くなっちゃうのでは?」という考え方を持っていました。それが、ほめることで結果を残せているなんて驚きです。

 

さらに働いている指導員さんたちも、心を病む人が減って、離職率まで低くなっていったそう。会社全体のパフォーマンスがアップし、実績もアップするとは、今までの指導って一体なんだったの? と考えてしまいます(笑)。とはいえ、いきなり「ほめちぎる教習所」にしよう! と言っても実現するのは大変だったはず。どのように進めていったのでしょうか?

 

卒業まで一人の指導員が担当する「担任制」を導入

これまでの教習所というのは、授業毎に違う先生が担当するのが普通だったそうです。それを南部自動車学校では、公安委員会や所内からの反発を2年かけて説得し、1997年から「担任制」の導入を開始。生徒たちから「先生に質問がしやすくなった」と高評価につながったそうです。さらに指導員側も「授業を早く終わらせなければと焦る気持ちが減った」「生徒の成長を感じられて嬉しい」と社員のモチベーションアップにつながったといいます。

 

この担任制があったからこそ「ほめちぎる教習所」の創設ができたわけですが、いきなりほめる指導に切り替えていこう! と言われても難しいですよね。特に、50〜60代のベテラン指導員さんたちはなかなか「ほめる」までに大変な苦労があったそうです。どのようにして、「ほめる」ことに慣れていったのでしょうか?

 

あるベテラン男性指導員は、意を決して、奥さんに「今日はきれいだね」と言ってみたそうです。

すると奥さんは「何? 悪いことでも企んでいるの?」と憎まれ口を叩きながらも、うれしそうで、それを見て「ほめることには効果があるんだ」と実感でき、教習でも「ほめる」を使う決意ができた、と言っていました。

(『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』より引用)

 

ちょっとかわいいエピソードですね(笑)。相手をほめることが苦手な人でも、身近な家族をほめることから練習してみると、慣れてきて仕事場でも実践できるようになったようです。家族に慣れてきたら友人をほめてみる、友人に慣れてきたら近所のコンビニの店員さん、そして同僚や部下、そして生徒と、苦手だったほめることへのハードルも低くなっていくそうですよ!

 

誰にでも今すぐ使えるおすすめのほめ方「最初ほめ」

『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』には、ほめるのが苦手な人でも実践できる、「ほめ方10選」も掲載されています。その中にある日常生活ですぐに使える「最初ほめ」をご紹介しましょう。

 

「最初ほめ」とは、その名のとおり最初にほめて良い人間関係を作ることです。

教習所では「名字をほめる(有名人と同じだね)」「名前をほめる(いい名前だね、どんな意味なの?)」「笑顔をほめる」「持ち物をほめる(アクセサリーの趣味、服装のセンス)」「所属をほめる(学校、会社など)」など、誰に対しても使える“ネタ”を共有しています。

(『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』より引用)

 

「え、そんなことでいいの?」と思ってしまいますが、言われてみるとうれしいものです(笑)。リモートワーク続きで、家族となんとなくギクシャクしてしまっているな〜と感じたり、テレビ会議が多くて部下とは業務のことしか話していないな〜という方、チームでプロジェクトをうまく回せていないと感じている方は、1日の始まりに、テレビ会議の冒頭や電話の最初などに「最初ほめ」を入れてみてはいかがでしょうか?

 

『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』には他にも実例をもとにした「ほめ方」のコツがたくさん紹介されています。ちょっぴりの恥ずかしい気持ちを抑えつつ、今日は誰かをほめてみませんか? たくさんほめられたい! という気持ちになってきたので、私も近々「ほめちぎる教習所」に通ってみようかなと思っています(笑)。

 

【書籍紹介】

「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方

著者:加藤光一(著)、坪田信貴(監)
制作:KADOKAWA

気づいたら、部下や子供に、イライラしていませんか? 本当は、イライラしたくないのに、なかなかやる気を感じられないと、ストレスが溜まっていませんか? 断言します。そんなときに怒っても、逆効果にしかなりません。相手のやる気を引き出し、あなたのイライラを手放す。そして会社(チーム)の業績がアップする。「ほめる」だけで、そんなすばらしいことが起こるのです。これはすべて南部自動車学校で実際に起こったことばかりです。そしてあなたにも、必ず起こすことができます。

Amazonで詳しく見る
楽天koboで詳しく見る
楽天ブックスで詳しく見る