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dynaEdge DE200

 Dynabook株式会社は9月8日、フィールドワーク向けのウェアラブルPC「dynaEdge DE200」を発表した。基本現場での業務用なので、いつものベンチマークテストなどはあまり意味を持たないと思うが、それはそれとして通常通りの試用レポートをお届けしたい。

Tiger LakeのCore i7を搭載したフィールドワーク向けのウェアラブルPC

 本連載ではさまざまなPCをご紹介しているが、そのほとんどはコンシューマもしくは企業向けのものだ。軽かったり、コンパクトだったり、速かったり、大きく重いが爆速だったり……と、機種によって特徴がわかれている。

 今回ご紹介する「dynaEdge DE200」は、上記のような用途ではなく、フィールドワーク向けのウェアラブルPCだ。バッテリ駆動可能でスマホより一回り大きいコンパクトな筐体と、インテリジェントビューア AR100(メガネ型ウェアラブルデバイス)との組み合わせで使うことを想定している。

 構成的には3モデルあり、最上位の「A626HTEC3131」は、Core i7-1160G7/メモリ16GB/512GB PCIe SSD、中位の「A626HTF82131」は、Core i5-1130G7/メモリ8GB/256GB PCIe SSD、下位の「A626HTG82131」は、Core i3-1110G4/メモリ8GB/256GB PCIe SSDとなる。

 手元に届いたのは最上位の「A626HTEC3131」。主な仕様は以下の通り。

Dynabook「dynaEdge DE200」の仕様
プロセッサ Core i7-1160G7 (4コア8スレッド/0.9~4.4GHz/キャッシュ 12MB/TDP-up 15W@2.1GHz、TDP-down 7W@900MHz)
メモリ 16GB/LPDDR4X-4266 SDRAM
ストレージ SSD 512GB(PCIe)
OS Windows 10 Pro(64bit)
グラフィックス Intel Iris Xe Graphics
ネットワーク Wi-Fi 6対応、Bluetooth
インターフェイス USB Type-C×1、USB Type-A×1、3.5mmジャック、指紋センサー
バッテリ駆動時間 約7.5時間(取り外し可能)
サイズ/重量 75×197×20mm(幅×奥行き×高さ)/約340g

 プロセッサは第11世代Tiger LakeのCore i7-1160G7。4コア8スレッドでクロックは0.9から最大4.4GHz。キャッシュは12MB、cTDPはdown 0.9GHz/up 2.1GHz。本機は後半のベンチマークテストからわかるように、cTDPが低めに設定されており、このクラスのプロセッサを搭載している割に遅い。ただベンチマークテストを競うようなマシンではなく、フィールドワーク用と言うこともあり、いろいろなバランスをとった結果だと思われる。

 メモリは16GB/LPDDR4X-4266 SDRAM。PCMark 10/System Informationでは2GB×8となっていた。ストレージはSSD 512GB(PCIe)。OSは64bit版Windows 10 Proを搭載。21H1だったので、その範囲でWindows Updateを適用、評価した。スペック的にはWindows 11へのアップデートは可能だが、業務用なので対応するにしても検証後になるだろう。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Iris Xe Graphics。映像出力はType-C。ネットワークは、Wi-Fi 6対応とBluetooth。インターフェイスは、USB Type-C×2(内一つは電源入力)、USB Type-A×1、3.5mmジャック、指紋センサー。

 サイズ75×197×20mm(幅×奥行き×高さ)、重量約340g。着脱可能なバッテリを内蔵し駆動時間は最大役7.5時間。

 オプションで「インテリジェントビューア AR100」、「ポート拡張アダプタUSB Type-C 2」、「VESAマウントキット」、「バッテリーパック(DE200用)」、本体/インテリジェントビューア AR100など収容可能な専用バック付き「インテリジェントビューア AR100キット(DE200用)」が用意されている。

 価格は不明だが、第11世代Core i7、メモリ16GB、SSD 512GBなので、それなりの金額になると思われる。

 筐体は白をベースにした縦長。扉の写真からもわかるように、大型スマホ+α的なサイズ感だ。重量は実測で329g。これも200g前後のスマホが多い中、+100g。ウェアブルPCとしては十分軽い。実際は腰のベルトなどにフォルダなどを使い装着することを想定している。

 前面は上側に5ボタンキー、その下に指紋センサー。裏は下側に着脱可能なバッテリ。バッテリは7V/29Wh/3,850mAhと、昨今のスマホと比較して容量は小さめだ。左側面は放熱用のスリット。下側面は何もない。右側面にロックポートと放熱用のスリット。上側面にロック機構付き電源ボタン、3.5mmジャック、Type-C(電源入力)、Type-C、Type-Aを配置。主な部分は上側面に集中している。

 ACアダプタはサイズ約60×60×27mm(幅×奥行き×高さ)、重量210g、出力出力5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3.25Aの65Wタイプだ。オプションのポート拡張アダプタUSB Type-C 2は、Ethernet、Type-A、HDMI、ミニD-sub 15pin、裏にType-C。Type-Cケーブル1本で接続できる。ウェアラブルではなく、小型PCと使う時に役に立つ。

 発熱はベンチマークテストなど、負荷をかけると特に右のスリットから結構暖かいエアーが出るものの、本体自体はさほど熱を持たない。

AR100(1/4)。メガネ型フレームと本体。本体の上にボタン三つ

AR100(2/4)。本体の前にカメラ

AR100(3/4)。メガネフレームの前、本体側に小さいディスプレイがある。接続はType-C

AR100(4/4)。うまく撮れていないので雰囲気だけ。かなり小さいことがわかる

 メガネ型ウェアラブルデバイスAR100は、高画質カメラ、高精細ディスプレイ、スピーカーなどを搭載しながら約48gと非常に軽く、本体とType-Cケーブル1本で接続できる。

 実際試用したところ明るく見えるは見えるがとにかく画面が小さい。基本的に後述するdynaEdgeコントローラと5ボタンでの操作となるが、この組み合わせでスムーズに操作するにはそれなりの訓練が必要だろう。

 筆者の場合、近視なのでメガネの上からAR100を装着することになるが、これは慣れてしまえば特に問題ない。また本体の部分が結構熱を持つ。PC側よりこちらの熱の方が気になるかもしれない。

 カメラを試したところ、dynabook Edge AIエンジン(ゆれ防止、トラッキング、明るさ補正)が効いているのか、歩きながら見ても思ったほど映像がフラフラしない。レポートに載せる写真などはうまく撮れそうだ。サウンドはスピーカーが耳に近いこともあり、最大だと結構煩いほど鳴る。

 この手のPC(AR100も含む)は初めて使ったが、いつものPCとは別物だ。同じ感覚で操作しようとしてもまず無理。Windowsは作動するが、専用マシンと思った方が良い。

低めのcTDPでバッテリ駆動約5時間半

 初期起動時、スタート画面(タブレットモード)はフルHDで1画面。特に追加されたグループやアプリなどはない。デスクトップは壁紙の変更と若干のショートカットを追加。試用はフルHDのモバイルディスプレイを接続して行なったが、後述するベンチマークテストが遅めの割に特に気になることもなく操作できる。

 ストレージはPCIe Gen3 x4/M.2の512GB SSD、KIOXIA「KBG40ZNS512G」。C:ドライブのみの1パーティションで約461GBが割り当てられている。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)。フルHDで1画面。特に追加されたグループやアプリなどはない

起動時のデスクトップ。壁紙の変更と若干のショートカットを追加

デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはPCIe Gen3 x4/M.2の512GB SSD、KIOXIA「KBG40ZNS512G」。Wi-FiとBluetoothはIntel製

ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約461GBが割り当てられている

 主なプリインストールのソフトウェアは、「dynabook サービスステーション」、「dynabook システム情報」、「dynabook セッティング」、「dynaEdge コントローラー」など。

 dynaEdge コントローラーは本機固有のアプリだ。上下左右に配置可能なコントローラーバーを使い、5ボタンキーでの操作やアプリ起動、アプリ固有の項目表示、設定と言ったコントロールができる。先に書いた通り、メガネ型ウェアラブルデバイスAR100で見る画面は思った以上に小さく、Windowsの細かいUIで操作するのは難しい。これをうまく使うのが本機+AR100の肝となる。

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMark、PCMark 10、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。

 パフォーマンスは各種ベンチマークからもわかるように第11世代Core i7を搭載している割にはかなり低い。これはHWiNFORMATIONのTDPやクロックからも読み取れるようにcTDPが低めになっているのが原因だろう。

 ただ本機は高性能が必要なアプリを使ったり、ベンチマークテストで高スコアを出すのが目的ではなく、昨今のスマホと比較しても小容量の3,850mAhバッテリで駆動時間とパフォーマンスを両立させる設定になっている。

 実際PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは5時間24分。おそらく現場でここまでの処理は行なわないので、もう少し持つと思われる。なかなか絶妙なチューニングと言えるのではないだろうか。

TDPが9W、クロックが約1GHzになっている(ただしこの結果=cTDPが9Wとは限らない)

PCMark 10 v2.1.2523
PCMark 10 Score 2,715
Essentials 6,922
App Start-up Score 9,306
Video Conferencing Score 6,688
Web Browsing Score 5,329
Productivity 4,266
Spreadsheets Score 3,507
Writing Score 5,191
Digital Content Creation 1,841
Photo Editing Score 3,803
Rendering and Visualization Score 851
Video Editting Score 1,928
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.0 2,000
Creative Accelarated 3.0 1,879
Work Accelarated 2.0 1,995
Storage 5,015
3DMark v2.20.7274
Time Spy 386
Fire Strike Ultra 0(20fps出ないため)
Fire Strike Extreme 0(20fps出ないため)
Fire Strike 908
Sky Diver 2,695
Cloud Gate 3,887
Ice Storm Extreme 22,026
Ice Storm 32,494
CINEBENCH R23
CPU 1,204 pts(12位)
CPU(Single Core) 711 pts(10位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード 1,693.411 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト 566.771 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード 211.838 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト 163.738 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード 227.768 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト 113.234 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード 32.470 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト 81.258 MB/s

 以上のようにDynabook「dynaEdge DE200」は、第11世代Core i7を搭載したウェアブルPCだ。現場ではメガネ型ウェアラブルデバイスAR100との組み合わせでパワーを発揮する。バッテリ駆動時間や発熱などの関係からパワーは抑えられているが、一般向けPCではないためそこは問題にならないだろう。この手のデバイスを考えている企業に使っていただきたい1台だ。

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