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 人が死ぬとき、合理的に解釈できない不思議なことがしばしば起こる。総計2万2000人余りの命が失われた東日本大震災のような過酷な状況下では、なおさらだろう。震災後の2012年、宮城県を訪れた著者は、当地の古刹・曹洞宗通大寺の金田諦應住職が、死者の霊に憑依されて苦しんでいる20代の女性・高村英さんを救うために続けている「除霊」の現場に足を踏み入れた。長期間の取材を通して見えてきたのは、人の生と死を超越する「霊魂」の謎めいた世界だった。