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Aiamu Olive × 日本あみぐるみ協会 コラボ企画で
4月号よりスタートした 毎月あみぐるみコレクション
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本誌掲載と連動したインタビューを12回連載でお送りいたします。
第9回 はD.D.bean-nuts.(ディディビィナッツ)先生です。
※ D.D.bean-nuts.先生のプロフィールは、アイアムオリーブ12月号に掲載しております。

日本あみぐるみ協会HP → amigurumi.jp
D.D.bean-nuts.先生HP → https://chiku-wakko.shopinfo.jp/

トラのあみぐるみを編まれたD.D.bean-nuts.先生。

インタビューでは怖いもの知らずという言葉を連発されていましたが…。

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初めて編んだ作品はハマナカモヘアのくま

AiamuOlive(以下、A):街にオープンしたハンドメイド委託販売のお店であみぐるみに
出会い、ご自身が描くイラストの動物を立体化できるんじゃないかと思われたそうですが…。

まずきっかけとなったあみぐるみはどんな作品でした?
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2002年に描かれたイラスト

D.D. bean-nuts.(以下、D):ささきいずみ先生のうさぎだったんですよね。

A:それは買われたんですか?

D:買いました。

A:で、その後編んでみようってことで、独力で編み始めた時に、まずどうされました?
何か本をご覧になったんですか?

D:はい、まず本を買いました。
(購入したあみぐるみを見て)「あ、こういう風に毛糸で作れるんだ、
じゃあ、私もあみぐるみを編んでみよう!
でも(どう編むのか、そもそも編み物が)全然わからないなぁ」
というわけで、あみぐるみの編み方が書かれている本を買いました。
そのタイミングで、かぎ針を買って、毛糸を何にしようかなってなったときに…、
今でも記憶に残っているのは、初めて編んだ毛糸。

あろうことか、初心者なのに、本に載っている毛糸は買わず、
ハマナカモヘアの水色と白色とピンクと黄色を買ってきて、モヘアで練習を始めました。

A:(笑)モヘア!?
からみやすいのに…。

うん、でも、かわいかったんでしょうね。
ふわふわの毛がね。

D:はい。そうだと思います。
でも実はそれまで編み物は一切したことがなくて、棒針もかぎ針も持ったことが
なかったんですよね。
どういう毛糸が編みやすいとか、こういう太さだったら編みやすいとか、
今だったら多少はわかりますけど、もうそんなこともわからない状態で。

見た目で選んだモヘア

A:うんうん。

D:編み物をしたことがないにもかかわらず、自分はあみぐるみがすぐに編めるって
思っていたんですよね。
なので、水色、ピンク、黄色がボディの子を3体編もう、鼻のところは白だな
ということでモヘア4色を買いました。
そして編み始めたわけなんですが、モヘアってすごく絡まるんですよね。
作り目もしたことがない、細編みもしたことがないのに…。

A:しかも目が見えない(笑)

D:そうですそうです。

作り目もしたことがない、細編みもしたことがないのに、毛糸がモヘアで、
初心者にはハードルが高い。
よくそんなので挫折せずに編めたなっていう。

A:ですよね。途中で挫折しなかったのはすごいですね。

D:編めなさすぎたのが逆に良かったのかもしれないです(笑)。
いろんな手芸がありますけど、最初の一歩ができなかったら、全然形にならないのって
編み物ぐらいだと思いませんか?
羊毛フェルトでも、とりあえず形になるし…。

A:そうですよね。

縫い物も、ガタガタでも何かしら縫えるのは縫えますもんね。

D:はい。でも、あみぐるみを編みましょうってなったら、
輪の作り目からスタートですよね。
なんなら、ここが一番難しい(笑)。

全然編めないんですよ。

A:うんうんうんうん。

D:おまけにかぎ針も持ったことがないから、当然持ち方もわからないわけですよ(笑)。

それで出来なさ過ぎて(笑)。
編めないことにびっくりして、悔しくて意地になってやってたって感じです(笑)。
簡単に編めていたら、ここまで長くやってないかもしれないです。

A:なるほど。それはあるかもしれないですね。
(簡単に編めたら)こんなものかっていうので。

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2002年に描かれたイラスト

D:当時(2002年)って、編み物の本も今ほど懇切丁寧じゃなかった気がします。

YouTubeもなかったんじゃないかな。
絵をみても輪の作り目がどうにもわからへん。

輪は出来ましたってなっても、今度は細編みなんですけど、かぎ針をどこに入れるのかがわからへん。
本に載っている編み方の図を見てもわからへん。
っていう感じでしたね。
周りに編み物ができる人もいなくて、聞くことすらできなかったので。
母は編み物ができましたけど、離れて住んでいましたし。
細編みも、鎖(頭目)の上二つ取ることすらわからなかったんですよね。
(頭目に)針を入れることはわかったんですけど、本来2本を取らないとダメじゃないですか?

なのに1本だと思ってたんですよね。最初。

A:畝編みになっていた、と。

D:はい。さらに、2目(増し目)にする時もどこを編んでいるのかわからなくって、
購入したあみぐるみをすごい勢いで眺めて。
編み地をひっぱったりして、どうやって編んでるんだって見て。
作家さんにほんっと失礼ですよね? 
そうやって編みました。

その記憶が(笑)。
すっごく鮮明に覚えてます。

A:なるほど。

いや、ご苦労されて。

D:そうですね(笑)。

A:編み始めてはじめて完成した作品はどんなものでしたか?

D:そのときの水色のモヘアで編んだクマですね。

A:あ、編めたんですね?

D:編めるまで、ひたすらやったんです。
毛糸はそれしかもっていなかったので。

もう半泣きになりながら、ほどいたり切ったり、からまって捨てたりしながら、
水色のクマを編みました。

でも、そのときのクマは残ってないんですよね。

A:ということは、最初からオリジナルを編んだってことですね。
モヘアのくまちゃん。

写真も残ってないんですか?

D:残ってないんですよ。

過去の写真を探してみたら、初めての作品の写真はなかったんですけど、
初めて委託販売した作品の写真が残っていて。
よくこんなのを売ろうと思いついたなってくらい、ひどかったですね。

我ながらびっくりします。

怖いもの知らずでしたね。

A:それが味だったりするんでね。あみぐるみって。

D:↓ これが、初めて委託しようと思ったあみぐるみなんですよね。
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A:かわいいじゃないですか。

これはネズミさん?
くまさん?

D:何を思ってこれにしたんやろ?

これはね、たぶんネコのつもりで作ったんじゃないかな。

顔、全然ネコっぽくないですよね(笑)。

A:いや、かわいいですよ。

バランスとしたら耳がおっきいんだけど、でもそれがかわいいです。
この頃から小物の上に置いて撮るっていう、そういう見せる意識っていうのは高いなと
思います。

この作品は2002年頃に編まれたものってことですかね?

D:写真の更新日時が2003年2月になっているので、それより少し前かな?

A:2002年の夏にあみぐるみに出会って、2002年の10月にはもう、あみぐるみ作家として委託販売をスタートされたんですよね。

D:モヘアで苦労して編んだ。形になった。

そこから何を思ったか売っていく方に突き進んでいくんですよね(笑)。
びっくりしますよね。

ほんとね。怖いもの知らずで(笑)。
でも、これは売れて。

A:D.D. bean-nuts.先生があみぐるみ作家として委託販売をスタートした2002年の10月と時を同じくしたように、日本あみぐるみ協会が設立されてますよね。
あみぐるみ協会を知ったきっかけはなんでしたか?

D:あみぐるみに出会ったきっかけとなったハンドメイド委託販売のお店というのが東京の高円寺にあるToo-Tickiさんなんですけど。

私は当時、高円寺に住んでいて、自分の編んだ作品もToo-Tickiさんで委託販売して
いたんですよね。
その頃、みゆきちゃん(いちかわみゆき先生)もエルタさん(武田浩子先生)も、どうやらToo-Tickiさんであみぐるみの委託販売をされていたようなんです。
で、お店の人経由で、『いちかわみゆきさんっていう人があみぐるみやっていて、この
(作品を作っている)人だよ』って、言われて、そのときにあみぐるみコレクション
教えてもらったんですよね。

※ あみぐるみの作品展示イベント・
あみぐるみコレクションvol.4。2002年12月15日~23日に開催。
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あみぐるみコレクションに出展したあみぐるみたち

2002年のあみコレを見に行って、その次のタイミングのあみコレから出展しているんですけど、このあみコレに出展したことで、みゆきちゃん(いちかわみゆき先生)やエルタさん(武田浩子先生)とは面識ができて、もちろん話す機会もあって。

そのご縁で、日本あみぐるみ協会が立ち上がるという話を聞きました。
協会代表をつとめるのは面識のあるお二人だという安心感があったので、私自身の
あみぐるみ歴は短かったんだけれども、じゃあ入会してみようという感じですね。

日本あみぐるみ協会の歴史=私のあみぐるみの歴史

A:あみぐるみ協会に入ってからの出来事で特に印象に残っているエピソードがありますか?

D:協会に入ったからというより、私のあみぐるみの歴史は協会の歴史と変わらないから~。
あみぐるみのエピソードが全て、協会に結びつく感じですね。

A:歴史が長いですもんね。

D:あみぐるみ協会に入会した当時、私は東京に住んでいたんですけど、
大阪出身なんですよ。
今はあみコレ(あみぐるみコレクションの略)って、いろいろな地域を巡回して行くのが
当たり前みたいになっていますけど、当時は東京でしか開催していなかったので、
(2004年に)初めて大阪で開催することが決まった時は()すごくうれしかったことを
記憶してます。

※ あみぐるみコレクションVOL.7
2004年6月18日~21日に大阪茶屋町のギャラリー4匹の猫で開催された。

その後、何年か大阪では開催されていなかったんですが、私が大阪に帰ってから、
あみコレが天満橋のオリーブハウスで開催されて。
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※  2010年~2012年にKEIHAN CITYMALL 内のハマナカ直営店オリーブハウス天満店であみコレが開催された。
オリーブハウスは現在は閉店。

その頃、私は最寄り駅が天満橋の隣というところに住んでいたので、
お店番に自転車で行ってました。
自分は大阪に帰っちゃったから、大阪に帰ってしまったことで、これからあみコレは
新幹線に乗って見に行かないといけないのか…と思っていたところオリーブハウスに
来てくれて、うれしかった記憶があります。

オリーブハウスの壁に何段もある棚に一面、
あみぐるみを飾ったのも記憶に残ってますね。

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A:私も記憶に残っています。

楽しかったですよね。

D.D.bean-nuts.(ディディビィナッツ)に込められた意味

A:ディディビィナッツというブランド名にはどういった意味があるんですか?

D:当時、インターネット上ではハンドルネームとして、実家で飼っていたネコの名前の
ドラキチを名乗っていたんですよね。
ドラキチをローマ字にするとdorakichiになって…この頭文字のDが、
ディディビィナッツのディなんです。
これを語呂よくしたいな、という気持ちで二回繰り返しています。
Beanとnutsは豆と豆なんですけど。
豆さんのように小さい人間が、マメに、豆のように小さいものを作るという意味が
込められてるんですよね。

A:深い…。

ドラキチくんのドラは平仮名ですかカタカナですか?

D:ドラキチのドラはドラゴンのドラで、竜吉とかいてドラキチと読ませてるんですよね。

A:ほ〜。
立派なお名前ですね。


美術の副読本のレタリングに興味があって…

A:ところで、あぐるみ作家になる前からカリグラフィーをされてたんですよね?

カリグラフィーに興味をもつきっかけとなるエピソードがあれば…。

D:私もともと、レタリングに興味があったんですよね。
世の中にレタリングっていうのがあるって知ったのは、中学生の時で。

美術の副読本にレタリングの教本があって。

A:分かる!
ありましたね‼

D:(レタリング教本)を見た時に、すごいなと思ったんですよね。
手で書くのに、自分でまるで印刷したかのような文字が書けるんやって思って。

でも、副読本に載っていたのは漢字じゃないですか。

アルファベットがいいなって。

A:あぁなるほど。

レタリングからカリグラフィー。

D:たぶん今から20年くらい前だったと思うんですけど、新聞の中に百貨店の折り込み
チラシが入ってて。

そのチラシを見てたら上の方に、カリグラフィー1日ワークショップ “for youのカードを
自分で作る” ってあったんですよ。
で、その教えてくれる先生らしき人の、参考の for youカード の画像が貼られてたんですよね。
「え!これや」と思ったんですよ。

で、そのワークショップに行ったのが、カリグラフィーを始めるきっかけです。

それから習いに行って、そのお教室の中で、いわゆる講師として教えるためのコースもあって。

先生になりたかったというよりは、せっかく続けてるから「どう?」って先生に勧めて
いただいて、 じゃあって感じで…。

A:なるほど。
そこでお教室を開ける資格を取られた。

D:はい、そうですね。
民間の資格だからなくても教室を開けるとは思うんですけど、資格をもっていた方が、
受講される方には安心感があるかな、と。

A:ですね。

D:でも、教えないまま現在に至る。
あみぐるみの認定講師もとったのに、教えないまま現在に至る(笑)。

A:ちょっともったいない気がしますね。

D:もしかして私にとっては教えることはそんなに重要ではないのかな、と。

やはり、自分が何かを作りたいんだと思います。

A:カリグラフィー作品で思い出深い作品はありますか?

D:思い出の作品は、そんなに昔のことではなくて、
母と一緒に個展に出した作品ですね。

母は篆刻と書道やってるんですよ。

母娘(おやこ)展をやりたいから、私にも(あみぐるみとカリグラフィーの)作品を出して
ほしいと言われたんですよね。
その展示作品のひとつとして、共作って形になるんですかね、
母に「こういう意味を篆刻で彫るから、それと同じ意味のカリグラフィーを書いてきて」って言われて(笑)
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会場で飾られた作品を見ると、私の書いたカリグラフィーの横に篆刻が押されてました。
母と共作で作品を作ったのが本当にいい思い出です。
それもコロナ禍になる少し前が会期だったので、なんとか開催できてよかったです。
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A:親子で個展、素敵ですね

(以下、2/2に続く) 

ディディビィナッツというブランド名の意味に、
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