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 新型コロナの感染拡大が多くの国で抑制され始め、経済・社会活動が徐々に再開されている。11月28日付のマレーシアの英字紙スターは、この問題を社説で採り上げた。

マレーシアとシンガポールの往来が再開された (c) yulia /pexels

ワクチントラベルレーンの開始

 11月29日から、マレーシアとシンガポールの「ワクチントラベルレーン(VTL)」での自由往来が始まった。新型コロナのワクチン接種を済ませた人、または陰性であることが証明できる人なら、隔離期間がなく陸路で両国間を往来できるようになった。まずは予約制のバスでの移動となるが、報道によれば、このバスは1日32往復、最大2880人まで利用できるという。両国それぞれの国籍や永住権、労働ビザなどを持っている人が対象となる。これまで1日40万人以上が両国を往来していたことを考えればわずかな人数だが、それでも一歩を踏み出した形だ。社説は 「長く待ち望まれていたVTLによって、ついに両国の労働者の往来が許され、新型コロナの感染拡大によって中断していた暮らしが戻ってきた。これによって、両国の経済関係が再び強化されるだろう。新型コロナで深刻な打撃を受けた経済セクター、なかでも観光産業にとっては、非常に喜ばしい」と、歓迎する。
 また、2020年3月18日に国境が閉ざされて以来、会うことができずにいた家族も、VTLによって再会を果たすことができたという。
 マレーシアとシンガポールは、それぞれ人口の95%以上がワクチン接種を完了しており、「ノーマライゼーションへの第一歩を踏み出した」という。
 「マレーシアは、他のASEAN諸国同様、ゆっくりと国境を開き始めている。VTLを成功させ、社会経済活動の回復へとつなげるためだ。しかし、マレーシア政府はこれを慎重に進めなければならない」

「責任をもった移動を」

 社説が「慎重に進める」ことを主張する背景には、オミクロン株の登場がある。マレーシア政府は、オミクロン株の出現後、アフリカの7カ国(南アフリカ、ボツワナ、エスワティニ、レソト、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエ)からの入国を禁止した。さらに、到着前2週間以内にこれらの国を経由した外国人の入国も禁じ、マレーシア人の場合は、到着後2週間の隔離期間を設けた。
  「今回の事態によって、我々は、いくら通常の生活が戻り始めてきたように思えても十分に気を付けなければならないことを改めて知った。往来が可能になっても、マスクの着用や人との距離を保つ感染予防策を徹底しなければならない。安全に、そして、責任をもって移動をする。新型コロナとの闘いは、まだ収束にはほど遠いのだから」
 オミクロン株の出現は、世界中の人々をがっかりさせた。行動規制がようやく緩和され始めた矢先のことだったからだ。しかし一方で、多くの国で素早い対応がとられ、改めて予防策を徹底する必要があるという注意喚起にもなった。冷静に、粘り強く新型コロナウイルスと闘う。マレーシアのみならず、世界共通の課題だ。

 

(原文:https://www.thestar.com.my/opinion/columnists/the-star-says/2021/11/28/take-the-chance-to-travel-but-travel-responsibly)

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