「ゲーム開発者が死刑宣告を受けた」というニュースが報じられ、アメリカのゲーム業界に衝撃が走っている。
宣告を受けたのは、イランに家系をもつアメリカ人のアミル・ミズラ・ヘクマティ氏。イスラム革命裁判所から「地を汚し、モハレブ(神に戦争を仕掛ける行為)をした」として、今週はじめ、有罪を告げられた。これは国家の敵とされる人物に言い渡され、死刑に相当する罪となる。
同氏はイランにいる家族を8月に訪問した際に逮捕され、しばらく行方がわからなかったが、先月、本人が罪を「告白」するテープがイランの国営放送で流された。それによれば、同氏が勤めていたアメリカのゲームメーカーKUMA社は、「CIAから資金を受けて、中東の民意を操作する目的で無料のムービーやゲームを製作・配布していた」という。さらに、CIAの依頼でスパイ行為をしていたと同氏はテープで語っている。
KUMA社は、第二次世界大戦や恐竜、ギャングのゲームのほかに、『Kuma War』シリーズというミリタリーシューティングアクションをエピソード形式で無料リリースしている。エピソードの中には中東地域を舞台に、イスラムの過激派オサマ・ビン・ラディンやアブ・ムサブ・ザルカウィを殺害するシナリオや、イランの核施設を襲撃するシナリオも用意されている。同社によれば、後者のシナリオはイラン国内で何十万回もダウンロードされ、国営新聞から非難を浴びたという。
イラン当局の主張によれば、こうしたゲームにより、アメリカが他国で良いことをしているというイメージをイラン国民や世界に植え付けようとしていた、ということのようだ。
一方、米ホワイトハウスの国家安全保障会議は、ヘクマティ氏がCIAに雇われていたという話を否定。「イラン政権は政治的な理由による偽りのスパイ容疑や、自白の強制、無実のアメリカ人の拘束を繰り返してきた」と述べ、氏の釈放を要求している。また、NY Timesをはじめとする米メディアは、核開発への制裁を強めているアメリカに対して、イランはトルコでの核協議を前に有利なカードを握ろうとしているのだという見方を示している。
処刑は実行されないだろうというのがイラン専門家の予想だが、ヘクマティ氏が元海兵隊の軍人であったことや、アメリカとイラン両方の国籍を持っていた可能性が高いことから、従来の釈放と同じようにはいかないおそれもある。氏の家族は「息子の命が政治の駆け引きに利用されようとしている」と、ウェブサイトを設立して世界に訴えているところだ。
現実の生死や衝突とは遠いところにゲームはあったはずなのに、いきなり国際問題の焦点になってしまったことに戸惑う人は多い。アメリカはどういう対応に出るのだろうか。
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1 : ◆newsSM/aEE @きよたろーφφφ ★:2012/01/13(金) 23:02:06.07 ID:???