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 国会議員に支払われる文書通信交通滞在費(文通費、月額100万円)を巡り、10月31日の衆院選で初当選した議員に10月分の満額が支給された問題が波紋を広げている。日本維新の会は、国民の理解が得られないとして10月分を寄付する方針を表明した。維新は日割り支給とする法改正を目指しており、政府・与党も対応を迫られそうだ。

 注目が集まるきっかけを作ったのは、「身を切る改革」を掲げる維新だった。初当選組の池下卓衆院議員が14日のNHKの番組で、文通費について「任期1日で100万円出る。世間の常識では考えられない」と発言し、反響を呼んだ。

 歳費法などの規定により、先の衆院選で当選した新人・元議員には、議員在任1日のみで100万円の文通費が支払われた。使途公開の義務もない文通費に関し、かねて改革を唱えてきた維新の松井代表(大阪市長)は15日、大阪市内で記者団に「永田町は世間の常識とかけ離れている。党で集めて(寄付し)、困られている人に行き届くようにしたい」と表明。日割り支給と使途公開を定める法改正にも意欲を示した。

 維新は、議員資格を得た新人・元議員から10月分全額を「特別党費」として徴収し、新型コロナウイルス対策に取り組む団体などに寄付する方針だ。連続当選した2回生以上は衆院解散まで議員活動をしていたとして、半額の50万円とする方向で調整している。

 国民民主党の玉木代表も「日割りにすべきだ」と同調し、次期国会での法改正を目指して各党と協議するよう党幹部に指示した。

 一方、松野官房長官は15日の記者会見で「議員の活動に関わる経費は各党各会派で議論いただくものだ」と述べるにとどめた。ただ、与党内では、衆院選で議席を増やした維新と国民の主張を前に、「日割り」は受け入れざるを得ないとの見方が広がる。自民党幹部は「歳費と同じように日割りにするよう法改正を検討すればいい」と語った。