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長野県軽井沢町でスキーツアーのバスが道路脇に転落し、大学生など15人が死亡した事故から15日で6年となり、現場にある慰霊碑には遺族ら多くの人たちが訪れて祈りをささげています。

6年前の平成28年1月15日、長野県軽井沢町でスキーツアーのバスがカーブを曲がり切れずに道路脇に転落し、大学生など15人が死亡し、26人がけがをしました。

事故から6年となる15日は、早朝から現場にある亡くなった人たちの名前が刻まれた慰霊碑のところに遺族や亡くなった人の関係者などが訪れ、花を手向けるなどして祈りをささげていました。

息子の田原寛さんを亡くした義則さんは「事故から6年になりますが、現場に来ると、今もあの悲惨な事故がきのうのことのように感じます。子どもたちの命が奪われたことを忘れず、バスの安全運行を続けてほしいと改めて強く感じます」と話していました。

午後には遺族たちの呼びかけで、バス業界や旅行業界、それに国や町の関係者が出席して安全を誓い合う集会が現場近くで初めて開かれることになっていて、安全な運転や再発防止を誓い合うことにしています。

一方、この事故をめぐってはバスを運行していた東京の会社の社長と、運行管理を担当していた元社員が業務上過失致死傷の罪で起訴され、去年10月から裁判が行われています。

遺族の母親「裁判で被告の責任明らかに」

6年前の軽井沢町でのバス事故で亡くなった西原季輝さん(当時21)の母親は「あっという間に丸6年がすぎました。あのかわいかった笑顔をもっと見たかったですし、ずっと忘れることはできません」とコメントを出しました。

この中で、この事故をめぐって、去年10月から行われているバス運行会社の社長と元社員の裁判について、「2人の被告は『運転手が事故を起こすとは思わなかった』と言っていますが、運転手だけのせいにはなりません。今後の裁判で2人の被告の責任が明らかになるよう、当時の状況を知る人たちの証言を待ちたいと思います」としています。

さらに、「バスに限らず、トラックやタクシー、自転車に乗る人もすべての人がわれさきにと進むのではなく、周りに配慮した余裕のある運転をしてほしいです。そうすることで事故は必ず減っていくと思います」と事故防止や安全への思いなどがつづられています。

バスつり上げたレッカー会社の社長も花手向ける

道路脇に転落したバスをつり上げる作業にあたった小諸市のレッカー会社の加藤幸之助社長も午前11時ごろに慰霊碑を訪れ、花を手向けました。

加藤社長は「悲惨な事故から6年たったが、今もはっきりと覚えている。このような事故が1件でも少なくなることを願っている」と話していました。

尾木直樹さん「事故を風化させてはいけない」

軽井沢町のバス事故で4人の教え子を亡くした法政大学名誉教授の尾木直樹さん(75)は正午前、慰霊碑を訪れ、花束を手向けて祈りをささげました。

尾木さんは「こういう形で命を落とした学生たちは本当に無念だと思うし、絶対にこの事故を風化させてはいけない。体が元気なうちはこれからも毎年、現場を訪れて献花を続けたい」と話していました。

また、バスの安全運行の在り方について「企業任せではなく政府がバス会社に対してもっと指導や支援を行うべきだ。国民の命と安全を守ることに税金が投入されても誰も不満は言わないはずだ」と述べていました。