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レバノンではこのところ、2020年夏だったかのベイルート港での大爆発(化学肥料が違法に住宅地近くに大量に放置されていて爆発したものよう)の原因と責任追及を求める声が高まり、政治や経済政策の行き詰まりを背景に、緊張が高まっていたところ、14日、早急な調査を求める群衆とこれに反対する群衆とがベイルートの中心地で衝突し、軍が介入したが銃撃戦となり、6人が死亡し、34人が負傷したとのことです。

この事件に関して、アラビア語メディアは、「75年のレバノン内戦の亡霊が戻ってきた」と書いていますが、当事者の一つがヒズボッラーとアマルというシーア派民兵系の群衆で、もうひとつがジャアジャア率いる「レバノンの力」と称するキリスト教徒系の群衆であるうえに、衝突の場所が、75年からのレバノン内戦の最前線(確かグリーンラインt称したかと思う)のところで、否応もなく内戦の記憶を呼び起こしたということのようで、今後さらに深刻化する可能性を示唆しています。

事件の発端は、ベイルート港の大爆発には、政治家や高級官僚等が職務怠慢や汚職等で絡んでいたらしく、政府はその結果が政治的な大きな波及効果あることを恐れて、これまで真面目に調査に取り組んでこなかったところ、何しろ死者200名にも及び大惨事で、国際的にも国内的にも調査を求めるこえがたかまり、調査のための判事が任命され、彼はアマル系(要するにシーア派)の大臣2名について調査をすることとしたが、ヒズボッラー及びアマルがこれに反対したものの、裁判所が調査の継続をみとめ、これに反対する群衆と賛成する群衆が、衝突し、恐らくデモに行く際に準備した銃を使い、銃撃戦になったということのようです。

その辺の背景はアラビア語メディアは余り詳しく解説してはいませんが、jerusalem post net などは、ヒズボッラーは大統領と組んで、レバノンの電話等通信ネットワークを押さえ、中東でも有数のミサイル等の武器弾薬や兵士を擁し、要するにマフィア的な「国家内国家」の地位を獲得したが、このようなその成功が、逆にその問題となっており、現在では昔とは逆に「自称抵抗者が民衆から抵抗される」側に立ち、レバノンの情勢が大きく動揺しないことに利益を見出しているのが基本的な問題と評しています。
最近ヒズボッラーがイランの原油をシリアの港から陸路レバノンへ輸送したという話もありましたが、10日だったかのイラクの総選挙でヒズボッラー等親イラン系が惨敗したらしいことも、「成功の代償」を物語っていて、もしかするとテヘランからベイルートにつながる現代版イラン帝国も完成前に、足元が揺らいできたということなのか、とにかく注目を要すると思います。
取り敢えずのところ
اشتباكات بيروت توقظ أشباح الحرب | الشرق الأوسط (aawsat.com)
Beirut clash: Hezbollah a victim of its own ‘resistance’ success – The Jerusalem Post (jpost.com)