電子ペーパータブレット「reMarkable」シリーズのメーカーが、最新機種により高度な機能を実現するためのサブスクリプションサービスを追加したことは、かなり意外な動きだった。既存ユーザーには生涯サービスが提供され、新規ユーザーには約1年間の無料サービスが提供されるため、ほとんどのユーザーにとってはほとんど何も変わりはないが、それでもこのスタートアップにとってはかなりの方向転換となる。
関連記事:あらゆる面で初代を上回りニッチを貫くE Inkタブレット「reMarkable 2」
reMarkable Connectサービスには2つのプランが用意されており、月額5ドル(約560円)の基本的なサービスでは、ドキュメントの無制限クラウドストレージにアップグレードされ、月額8ドル(約900円)のプランでは、GoogleドライブとDropboxへの統合、手書き変換、画面共有、メール送信、高速同期などの機能が追加される。サブスクリプションがない状態でも、デバイスは同期するが、50日間未開封で放置されたファイルは同期してくれない(つまり、基本的にアーカイブとしては使えない)。reMarkableを購入する人は、Connectのサブスクリプションを一緒に購入すると最大150ドル(約1万7000円)の割引が受けられるので、1年程度であれば十分元をとることができるだろう。
一方で、これは予想外であり、少し怪しい動きにも見える。つまり、数カ月前に単にreMarkableのツールの一部として発表された機能に課金するというわけだからだ。実際、それらの機能はここ数週間のうちに通常の無料機能として提供されてきた。
その一方で、収益の面では理解ができるし、この方法はこれを実施するための最良の方法であるともいえる。現在のユーザーには無料で提供され、他のユーザーには1年間無料で提供され、さらに、デバイスをごく普通に使用するのであれば、あまり問題にならない無料オプションもあるからだ。
この決定の理由について、同社にコメントを求めたので、返答があり次第、この記事を更新する予定だ。
2020年、reMarkable 2をレビューした際には、そのハードウェア、画面の反応、インターフェースのシンプルさに感銘を受けた。しかし、その時に指摘したように、このタブレットは、その長所にもかかわらず、まだ非常にニッチなデバイスだ。私はクリエイターと何度か話をしたことがあるが、彼らが「集中力を重視し、気が散らない未来の紙」というビジョンに献身的に取り組んでいることを確信している。それは理解できるのだが、デジタル経済は基本的に注意散漫と情報過多の上に成り立っているので、そのパイを切り開くのは困難に違いない。
同社はこれまでに10万台以上を出荷し、資金調達も行ってきたが、ハードウェア専門のスタートアップ企業はほとんどない。ハードウェアの販売が飽和状態に近づく中で、同社が収入を増やす方法を模索するのは、さほど不思議なことではないだろう。
いや、わからない。もしかしたら、より広い範囲での「集中した生産性」製品という戦略なのかもしれない。だとすると、私も絶対に使いたいと思うだろう。このデバイスとサービスに対する私の批判は「できることはできたが、十分ではなかった」というものだ。Chromeの拡張機能で記事の保存ができるようになったが、Pocketのユーザーとしては、それをつなげられればいいのにと思ってしまう。reMarkable上で体験した方が単純に良いと感じる他のコンテンツについても同様だ。ミニマリストの理念は評価するが、恣意的に制限されているようにも感じたのと、スクリーン共有やGoogle Drive/Dropboxの統合がある今、他のサービスを含めることに反対することはもはやできない。
メールやチャット、ソーシャル機能などは一切使用せず、私に集中させて欲しい。しかし、何かに集中したいのであって、reMarkableの欠点に当てはまるものだけに集中したいのではない。誰もが生活の中でもう少し集中できるはずだが、これは集中するための摩擦を減らすのにも役立つ。
それと、フロントライトもいいかもしれない。これは機能面でのリクエストになるが。ほら、私の視野は以前のものと同じではない。だから、聞いて欲しい。
画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch
[原文へ]
(文:Devin Coldewey、Akihito Mizukoshi)