Aiamu Olive × 日本あみぐるみ協会 コラボ企画で
4月号よりスタートした 毎月あみぐるみコレクション。
本誌掲載と連動したインタビューを12回連載でお届けしております。
今回は、第9回D.D.bean-nuts.(ディディビィナッツ)先生の続きです。
日本あみぐるみ協会HP → amigurumi.jp
D.D.bean-nuts.先生HP → https://chiku-wakko.shopinfo.jp/
顔を作る時に声かけをしています
A:先生にとってあみぐるみとはなんでしょう?
D:何でしょうねぇ。
A:では、あみぐるみを制作する上で特に意識していることなど…。
D:声かけをしています。
「かわいいなぁ。かわいいなぁ」
「かわいくなってきたなぁ」とか。
「ほんまにかわいいなぁ」って声かけをしていますね。
A:いいですね、それ。
トラのあみぐるみにも、声かけはされました?
D:そうですね。
今回のトラもそうですし、他のあみぐるみも完成したら、
正面に向かい合って
「かわいいなぁ。お前は本当にかわいいなぁ」って言って、褒めます。
…あ、自画自賛しているっていう意味ではないですよ(笑)。
ネコチャンに「かわいいな~」って言うのと同じですかね。
ほめて、ほめ散らかして…。
A:ほめておだてて育てる(笑)。
ほめて育てられたトラさんなので、みなさんも編むときには「かわいいな~」ってほめて
あげてくださいね。
かわいいトラさん に編みあがります。
いや、大事なことですよね。
そこでテンション変わってくるじゃないですか?
やっぱりかわいい顔になるとすごいうれしいんですけど、かわいい顔っていうのも、
意識しないと本当に難しいから。
D:そうですよね。
かわいさって人それぞれの感覚なので難しいんですが。
あみぐるみの顔って、作り手の心が反映されるような気がしています。
なので、顔作る時…顔に関わるパーツを編みつける段階から、
ネガティブな気持ちを持ち込まないようにしています。
やはり自分が落ち込んだときに作ったあみぐるみの顔って、
そのときにはもちろん「かわいいね」って思っているわけなんですが、
数日経って見てみると、なんだか違うんですよね。
しっくりこないというか。
A:編み手の心理状態をあみぐるみの顔が反映しやすいってことですかね?
D:と、私は思うので。
できるだけ意識してるのは、自分のマインドをいい状態でフラットにしておきたいな、
っていうのはあります。
A:フラットにしておきたい…。
上げすぎてもよくない?
D:よくない、というわけではないんですけど、あみぐるみを編むと落ち着いてきますよね。
ひとめひとめ編んでいるうちに無心になっていくから。
そういう意味で上げすぎる状態にはならないかな、と思います。
A:確かに。
編み物していると落ち着くってありますよね。
D:あります。
A:続いて、あみぐるみを手に取ってくださった方にどんな気持ちになってほしいですか?
D:元気になってほしい?のかなーって思います。
私、「サラリーマンベア」と名付けたあみぐるみを編んでいるんですけど、
そのサラリーマンベアの1匹が相棒なんですよ。
A:相棒がいる。
D:↑ このクマなんですけど。
もう十何年私と一緒にいるんですよね。
ほんと、相棒なんですよ。
だから、いろんなあみぐるみ編みますけど、このサラリーマンベアに関しては
「ライナスの毛布(※)」とか、ああいう感じになってもらえたら、きっと嬉しいなと思います。
めっちゃ重たいこと言ってる(笑)
※ スヌーピーに登場するキャラクター・ライナスがいつももっている青い毛布のこと。
A:(笑)
相棒になってくれたらいいなってことですね。
相棒に名前ってありますか?
D:このクマ、「アイツ」って言うんですよ。
一応最近は「アイツくん」って呼んでます。
呼び捨てだとパワハラを疑われるので(笑)。
A:パワハラ(爆笑)。時代ですね。
しかし、なぜアイツくんという名前に…?
D:最初のころは名前はつけてなくて。
でも、ずっと出先へ連れて行くようになると、このクマの姿が見えないときに、
「あれ?今日、あのあみぐるみは?」と聞かれるんですよね。
そのとき
「あぁ、アイツは家にいるよ」って言ってるうちに、
アイツという名前になってしまったんです。
A:アイツくんは、青い目がすごく印象的ですよね。
D:よく言われます。
私としては、そうなのかなぁ、って感じですけど。
A:私も、先生の作品は青い目ってイメージがすごくあります。
今回のトラのあみぐるみも青い目が印象的です。
私、くすみカラーが好きなんですよね
A:あみぐるみを編むのにおすすめの糸はありますか?
モヘアはやめておこうみたいな(笑)。
D:(笑)
モヘアは初心者にほんと向かないですよ(笑)。
やめときましょ~(笑)
綿を入れる量も難しかったですね。
モヘアだと柔らかいから。
A:(綿を)入れすぎると穴が広がる感じですかね。
D:そうですね。
なので、おすすめは、コロポックルとアメリ―です。
コロポックルとアメリ―は、編みやすさだけでなく、くすみカラーが充実しているのもいいですね。
なのであと、ボニーの新色。
↓ これ、この色ね。
ボニーの新色であんだ「アイツ」のオトウト
D:これはほんとに、私が待ち望んでいたカラーですね。
これはちょうどひと玉で編めました。
A:むっちゃかわいい
あいつの編み図はないんですかって、問い合わせが来そうです。
編み図はありませんって注記いれとかなきゃ。
入れててもお問い合わせがきそうな勢いです。
D:新色の力ですね。
A:いやいや、アイツくんのオトウトが可愛いんですよ。
ボニーの新色を紹介したPOP
カワイイは自分で作れる
D:この相棒のアイツはもう10年以上一緒で、だいぶくたびれてるんですよね。
心なしか小さくなっている気がします(笑)。
編みなおせばいいんでしょうけど、この毛糸はもう廃番で、ストックもなく…。
まったく同じものは編めないんですよ。
よく「アイツくんがかわいい」って言っていただくんですが、
アイツは私と13年、
ともに過ごしているので、13年分の重みがかわいさを引き出しているんだと思います。
実際のアイツを見てもらったらよくわかるんですけど、毛糸がもうね、
私の手垢などでちょっとツヤツヤしているんですよ。
触られすぎてフェルト化しているというか。
この質感って出そうと思って出せるものではないので。
A:いわゆるエイジングですよね。
D:ぜひみなさんも、自分の力でエイジングして、あみぐるみのかわいさを更に引き出していただきたい。
カワイイは自分で作っていただきたいですね。
あ、この子いいなって思った子を、よりいっそう可愛くさせてあげられるのは
その人だけだと思います。
A:そうすると、本当に世界でひとつだけなんでしょうね。
あみぐるみって、同じ編み図で量産できないことはないけれども、手にしてずっと十何年も持ってると、もうそれは完全にひとつしかない。
アイツはアイツしかいないっていう。
この世に一人しかいないっていう。
あぁ、何か深いですね。
カワイイは自分で作るっていうのも、すごく今響きました。
D:某シャンプーのCMのパクリですよね(笑)「カワイイは作れる」
あみぐるみを買った人が、あみぐるみをさらにかわいくするのはみなさんです。
一緒に過ごしたから思い出ができて、可愛くなるってのもありますし。
A:あります。
長年連れ添った猫だからとか、そういうのありますよね。
それぞれにだんだん個性を感じてきちゃうっていうか。
うーん何かそういうところがつながってきそうですね。
あみぐるみとはっていう質問のところに。
D:あみぐるみとは?という課題が残っていることを忘れてた(笑)。
A:いや、でもだいぶここで核心に近い部分があるなぁっていう。
うん、だからやっぱり相棒?
D:相棒ですかね。
A:あみぐるみは相棒!
いいですよね、これはタイトルにもできそうな。
あみぐるみは私の相棒
D:出かけるのにたまに忘れるじゃないですか。
こう、カバンをパッと開けた時にアイツがいない時の不安。
家にあるはずにもかかわらず不安。
どこで置いてきたんやろうとかって不安なんですよね。
あみぐるみの中にGPS入れよっかなって思いますよね。
A:ほんまに。
あみぐるみって、毎日そばにいて、自分は写ってないけどあみぐるみは
写真に映っているみなたいな…。
D:はい。そうすると旅の記憶は鮮明に残りますよね。
景色だけだと忘れちゃうっていうか…。
A:愛着がわかないですよね。
やっぱりあみぐるみが一緒にいると、ああこんなことあったよねとか。
D:なりますね。
一人で旅する時にいいですよね。
A:では続いて… #こんなitoaったらいいな も教えてください。
D:ボニーにくすみカラーを充実させていただいて。
アメリーエフとアメリーエルもお願いしたいです。
身体と手足の色は同じで毛糸の太さだけを変えたいな、というときがあるんですよね。
そういうときに、アメリーと同じ色がアメリーエフとアメリ―エルにも
あるといいなと
思います。
あみぐるみとカリグラフィーの融合を模索中
A:あみぐるみとカリグラフィーの融合を模索中っていうことですけど、もしお話いただけることがあれば…。
D:カリグラフィーって「西洋の書道」とも言われていて、
日本ではアルファベットで書くことがほとんどなんですよね。
いわゆる作品と呼ばれるものを作ろうと思うと、英語やフランス語の文章から
引用しましょう、となることが多いのですが、引用するには著作権の問題があって、
この文章が素敵だな、と思っても引用できないことが結構あるんです。
いわゆる作品って言われるものを作ろうと思うと、私は英語がしゃべれないから、
自分が思ってることを英語で書けないので、引用するとなると著作権で問題があって。
なので、私の中で一回やってみたいなって思うのは、英語の編み図ってあるじゃない
ですか。
自分のあみぐるみの編み方を英語で書いたら…
A:著作権にひっかからない
D:そう、著作は私だから怒られない。
でも英語が出来ないっていうところがネックです。
A:それはできる人とコラボすればいいですね。
D:あみぐるみ本体があって、このあみぐるみの編み方はこうですって、カリグラフィーで書いてあったら、ちょっと面白いのになって、自分の中で思ってます。
A:なるほど!それいいですね。
そして、これをあむゆーず・ぶろぐに掲載したら「私できます」という人が名乗り出てくれるのを期待する。
D:例えば、カリグラフィーで細編みを6目…って英文で書いてある横に、編み図がポンって置かれていたら、円のモチーフの編み図だったとしても、編み図じゃないように
見えそうだなって。
A:うん。見える見える。
デザインに見えますよね。
D:で、そこに編んだモチーフをピッと貼ったら面白そうだな~と。
A:ああ、それすっごい素敵やと思います。
D:円や三角や四角の単純なモチーフであれば著作権は関係ないと思うので、
これはいけるんちゃうかと。
A:全然いけます。
ぜひやってほしい。
そういうのもあっていいと思うんですよね。
いわゆるレシピ的なものではなく、アート的な編み図。
英文の編み方解説をカリグラフィーで描き、その横に図を描いて、
編んだモチーフも貼り付けたときに、一つのアート作品に仕上がるという…。
いいですね。
すごくいいです。
楽しみ
D:それを見ると、全然編み物知らない人も興味をもってもらえそう、みたいな。
A:うん、その方が(レシピ的な編み図より)ずっと興味が湧きそうな気がしますね。
D:だけど、編み図を美しく描けないがっかりな私。
苦手なんですよね。
編み図作成アプリが欲しいです。
A:技術者の方に趣味で作っていただけたらうれしいですよね。
案外、作れる人がいそうな気がするんですけどね。
あみ協のみなさん、けっこう機械に強いなと思って。
いちかわ先生とご一緒したとき(2010年)に、パソコンが使えない人、
メールが使えない人はあみ協に入れません的なことをおっしゃっていたのを
記憶しています。
D:ホームページを見れない方は、あみコレに出展も出来ないですからね。
A:あみ協さん内での公募の告知なども全部オンライン上ですよね。
D:今はスマホがあるからパソコンがなくても大丈夫ですけど。
A:そうですね。
時代の変化は早いなぁ。
相棒のオトウトを全国に派遣して…
A:はい、では本題に戻してですね。
今後の野望。
D:今後の野望は…、 この相棒のサラリーマンベアの「アイツ」なんですけど。
これまで、アイツのオトウトと称して、同じデザインのあみぐるみをイベントなどで、
あちこちで出してきているんですが…。
野望としては、もっとたくさんオトウトたちを、あちらこちらにばら撒き… 。
相棒の「アイツくん」と羊のあみぐるみ
A:相棒のオトウトたちをばら撒き?
D:ばら撒き…、いや、全国に派遣して。
そしてオトウトたちを呼び寄せて、ミーティングしてみたいですね。
A:アイツミーティング(笑)
D:オトウトたちとオトウトたちの相棒。
相棒はすなわち人間なんですけど。
オトウトたちとその相棒を呼び寄せたファンミーティングしてみたいですね。
A:“アイツファンミーティング”いいですね。
D:みんながアイツのオトウトを持ち寄り…、
A:アイツくんと撮った写真とかも持ってきてもらって(笑)
もう少しコロナが落ち着いた頃に、開催したいですね。
D:そしたらみんな、全然違う顔になってそうですよ。
A:エイジング(笑)
みなさんが作ったカワイイを共有できますね。
(以上)
おそらく私と同年代だと思われるD.D.bean-nuts.先生。
プリントごっこの話などで盛り上がり、
「今はもう何でこんな簡単になっちゃったんだろう?」
「2003年頃は今のようにスマホもないし、パソコンの容量も気にしないといけないし…
だから写真が残っていない」
などなど、昔をなつかしむ会話が繰り広げられたインタビューでした。
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↓ 日本あみぐるみ協会さんからのお知らせです♪
あみぐるみコレクション2021 開催します!
あみぐるみコレクションは 日本で最大の参加作家数・出品数を誇るあみぐるみ展示即売会です。
今年も全国で開催致します!
■期日第1期 東京会場 2021年11月20日(土)21日(日)22日(月)第2期 名古屋会場 2021年11月26日(金)27日(土)28日(日)第3期 京都会場 2021年12月3日(金)4日(土)
第4期 札幌会場 2021年12月13日(月)~2022年1月15日(土)
第5期 広島会場 2022年1月22日(土)23日(日)
第6期 オンライン会場 2022年2月初旬
今年は5会場+オンラインで開催します。
全会場・入場無料です
■協賛企業さま(50音順)
クロバー株式会社
株式会社ダイドーフォワード
チューリップ株式会社
ディー・エム・シー株式会社
内藤商事株式会社
ハマナカ株式会社
株式会社山久
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