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 バンダイナムコグループは本日(2021年9月15日),「第2回 ガンダムカンファレンス」をオンラインで開催した。
 本イベントでは,スマホ向けアプリ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズG」iOS / Android)の配信時期が,2022年春であることや,同年に新作TVアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」と,安彦良和監督による映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」が公開されることが発表された。

 また,“「機動戦士ガンダム」を世界最大級のIPへと成長させる”ための構想や施策の進捗や,外部パートナーとの新たな取り組み,そして,ガンダムを通じて社会問題を考えるサステナブルプロジェクト「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」(GUDA)から,教育分野における新たな構想や施策が発表された。

 イベントの後半では,ゲストを招いた「ガンダム×サステナブル」をテーマとするトークセッションも行われたので,その様子をレポートしよう。

画像集#001のサムネイル/スマホアプリ「鉄血のオルフェンズG」の2022年春配信が発表された第2回ガンダムカンファレンスをレポート。映画“ククルス・ドアンの島”の情報も

 バンダイナムコグループにおけるガンダム事業は,「グループ横断による『ガンダム戦略強化』」と「ガンダム×サステナブル」が,コンセプトとして掲げられている。

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ガンダム事業についてプレゼンテーションを行った,バンダイナムコグループ ガンダムプロジェクト チーフガンダムオフィサー 藤原孝史氏

 2021年4月にはグループ内における組織再編を行い,グループを横断して展開する「ガンダムプロジェクト」を発足しており,2025年にはガンダム事業の売上を1500億円以上に成長させる計画となっている。
 2021年上期の同事業の売上は,535億円の見込みとなっており,通期売上1030億円に向けて順調に推移しているそうだ。

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 ガンダム事業の目標は,ガンダムを単なるIPに留めることなく,「社会的アイコン」(Social Property,SP)に成長させることであり,人々がガンダムを公的な存在だと認めるような世の中にしていくこと。
 そのためには,バンダイナムコグループの視点ではなく,ガンダムというコンテンツとそのファンの視点で物事を考える必要があるという。例えば,「ガンダムファクトリーヨコハマ」に設置された「動くガンダム」は,バンダイナムコグループの視点だけでは実現できなかった施策である。
 そこで今後,より多くの人材にガンダム事業に関わってもらうため,外部パートナーを「G-PARTNER」と呼称することが発表された。

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 グループ横断による「ガンダム戦略強化」では,3つの戦略が用意されている。その1つである「世界規模での話題創出戦略」からは,まず2021年10月1日より開催される「2020年ドバイ国際博覧会」の日本館PRアンバサダーとしてガンダムが選出されたことが改めて紹介された。館内にはガンダムコーナーが設けられ,日本文化の1つとしてガンダムが展示されるという。
 さらに日本をモチーフにデザインされたガンダムのプラモデルも商品化され,世界各地のガンダムベースなどで販売するとのこと。また会期中のドバイ市内では,「GUNPLA SHOWROOM DUBAI」と名付けられた展示企画を実施するそうだ。

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 続いて,前回発表された実物大立像プロジェクトの続報が紹介された。次に予定されている実物大ガンダムは,「RX-93ff ν(ニュー)ガンダム」で,2022年春に,三井ショッピングパーク ららぽーと福岡に設置される。
 この立像の特徴は,新設定となる「ロングレンジフィンファンネル」と,富野由悠季監督の平和への願いを込めたトリコロールのマーキングだという。νガンダムならではのギミックもあるとのことで,さらなる続報を待ちたい。

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 また,ららぽーと福岡には,ガンダムの最新スポットとなる「ガンダムパーク福岡」も設けられる。この場所は,オープンスペースとガンダム要素を持つエンターテイメント施設を融合した,ガンダム複合空間になるそうだ。

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これらの施策により,アジアおよび欧米におけるガンダムのプレゼンスを高めていくことも示された

 2つめの戦略である「国内活性化戦略」では,「ガンダムマンホールプロジェクト」にて,神奈川・小田原市にガンダムとシャア専用ズゴックのマンホールが,8月に設置されたことが報告された。
 また,次のマンホール設置候補には,北海道と栃木,そして再び神奈川の自治体が挙がっているとのこと。

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 そして,ガンダムの世界を堪能できるイベント「ガンダムワールド コントラスト」の,初回開催地が,愛知・名古屋PARCOに決定したことも発表された。
 初代「機動戦士ガンダム」と「機動戦士ガンダムSEED」,それぞれの主人公の成長ストーリーに焦点を当てたもので,単独では語れない対比を示すという,今までにない切り口で展開するという。
 開催期間は,2021年12月24日から2022年1月16日までで,今後,全国ので展開も予定しているとのこと。

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ガンプラユーザー率の低い地域にはガンダムマンホールプロジェクトを,逆に高い地域にはガンダムワールド コントラストをそれぞれ優先的に展開していくという基本方針も明かされた

 3つめの戦略となる「ターゲット別&マーチャンダイジング(MD)連動型作品展開戦略」においては,安彦良和監督による,映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」が2022年に公開されることが発表された。
 この映画では,アニメ「機動戦士ガンダム」の第15話「ククルス・ドアンの島」が改めて描かれることになる。

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 スマホゲーム「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ G」が,2022年春より配信されることも発表。それを記念して,2022年春には,「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の特別編全9回が放送される。

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 そして,7年ぶりとなるガンダムシリーズの新作TVアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」が,2022年に放映されることも明かされた。本作においても,G-PARTNERの助力を得てさまざまなタッチポイントを用意し,今まで以上の大型展開を目指すという。

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発表された施策の各地域の置けるターゲット層も示された

 もう1つのコンセプトである“ガンダム×サステナブル”の進捗については,まずガンダムファクトリーヨコハマで使用している電力を,すべて再生可能エネルギーに切り替え,環境負荷軽減を図っていることが紹介された。

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 また「ガンプラリサイクルプロジェクト」では,引き続き,年間約10トンのランナー回収量を目指し,さらに認知を拡大するべく10月20日より約1か月間,「ガンダムR(リサイクル)作戦」を日本各地で展開する。
 11月20日と21日には,東京・新宿住友ビル三角広場にて,イベント「ガンダムR作戦 FINAL」を開催。このイベントでは,全国各地で回収したランナーを会場に集め,インスタレーション展示も行われる。

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 ガンダムを社会に介入させるプロジェクト「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」(GUDA)では,ガンダムを使った人口問題・地球環境問題への新しい発想や技術を募集する企画「ガンダムオープンイノベーション」の進捗が報告された。
 それによると,さまざまなアイデアが寄せられており,それに伴ってエントリー期間が10月15日まで延長されたとのこと。
 選考を通過し,G-PARTNERとなった企業や団体,人材などは,「第3回 ガンダムカンファレンス」で発表される予定だ。

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 GUDAにおける新たな2つの取り組みも紹介された。その1つ「ガンダムファクトリーヨコハマ エデュケーショナルサポート」は,動くガンダムを素材として,制作に関わった研究者や技術者,スタッフから子ども達に体験型の学びの機会を提供するという企画となっている。
 この企画は,G-PARTNERとなる横浜教育委員会事務局と連携し,横浜市立の小中学校などを対象に展開していくとのこと。

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 もう1つの「ガンプラアカデミア」は,G-PARTNERであるNHKエデュケーショナルとNPO法人企業教育研究会の協力を得てBANDAI SPIRITSが開発した,ものづくりと地球環境について考える教材で,この10月より全国の小学校を対象に展開する。
 この教材を使った授業はオンデマンド形式で行われる。プラモデルを組み立てる体験や,プラモデルの生産工場「バンダイホビーセンター」の設備や製造工程などを紹介する動画の視聴を通し,よりよい製品作りや持続可能なものづくりへの関心を高めることを目的としている。

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6月に栃木・鬼怒川小学校で実施されたテスト授業も紹介された

 イベントの後半では,バンダイナムコグループ ガンダムプロジェクト チーフガンダムオフィサーの藤原孝史氏と,ゲストの杏林大学名誉教授・古賀良彦氏が,ガンダム×サステナブルに関するトークを披露した。

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古賀良彦氏

 古賀氏は,脳研究の第一人者で,精神医学分野でも活躍している人物だ。ガンダムに関しては,今回ゲストに招かれたことをきっかけに初めて触れたとのことだが,「それまでのロボットとは異なる存在であることを,ある程度理解したつもり」と話していた。

 最初のテーマは,イベント前半で紹介されたGUDAの取り組みについて。古賀氏は,「紹介されたすべてが気になる」とし,「ガンダムの世界が生まれた直接のきっかけは,人口の爆発的な増加。スペースコロニーを発展させなければ人類が存続できないという状況では,資源を大切にせざるを得ない。GUDAの取り組みは,ガンダムの未来から見たときに今どうするべきかという懸命な指摘」と表現した。

 先に触れた,「ガンダムR作戦 FINAL」のインスタレーション展示は,藤原氏によると環境に対する取り組みの重要性を発信するものになるとのこと。単純に集めてボリュームを見せるものではなく,ガンプラファンのさまざまな思いを表現するようなガンダムらしいモニュメントを目指しているそうだ。
 また古賀氏は,ガンプラファンが,「自分もそうした環境に対する取り組みに参加した一員である」という思いと,「これがゴールではなく,今後も同様の活動を続けていく」という思いを刻み込めるようなイベントにしてほしいと希望を述べていた。

 予想以上の反響があったというガンダムオープンイノベーションには,藤原氏によると宇宙世紀をテーマにしていることもあり,「宇宙で何か実現できないか」というアイデアが多く寄せられているいう。
 その中には,「ガンダムが好きだから」という理由で,社内にプロジェクトを発足して応募する企業も少なからずあるそうだ。藤原氏は,「ガンダムをきっかけに横のつながりが生まれて応募していただけるのは,非常に嬉しい」と話していた。
 また古賀氏は,「宇宙にはまだ不明な部分も多く,テーマにすると曖昧になってしまいがち」と話しつつ,「ガンダムを軸にすることにより,アイデアが分散することなく集約していくとのことで,“大変意義のあるプロジェクト”である」と語っていた。

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 GUDAの新たな展開として教育への取り組みも発表されたが,古賀氏はガンダムのストーリーと関連させつつ,教育プログラムに反映させるということに,非常に感銘を受けたと絶賛していた。
 また藤原氏は,ガンダムファクトリーヨコハマ エデュケーショナルサポートについて,動くガンダムに使われた最新技術や実現するための工夫を,実際に作った技術者などから学ぶことにより,子どもたちには大きな気づきが生じるのではないかと期待をのぞかせた。

 古賀氏も,ものづくりにあたってはスキルに目を向けがちだが,本当に必要なのは創意工夫であり,それができるのは前頭葉の発達した人間の脳だけであることを指摘。「そういう脳を持っているだけでなく,さらに創意工夫ができるよう発達させていくことが重要。ものづくりをする上でどうすれば良いのか,最適なソリューションを頭の中で考え,さらには動くガンダムのようにきちんと実現させる。そうした創意工夫を育てる上で,大変意味がある」と,改めて称賛していた。

 もう1つのガンプラアカデミアに関して,藤原氏は,プラモデルには設計から商品化までさまざまな技術や工夫が使われており,こちらも子ども達に新たな気づきを与えるのではないかという期待を示した。また「こういう職業もある」という見方もできるのではないかとも話していた。

 古賀氏は,コロナ禍において小学生がストレスを解消するために,レクリエーションが必要だと発言。ガンプラがどのように作られているかを学び,最終的に自分の手で夢中になってガンプラを組み立てることは,ストレスから解放される極めて良い手段であるとし,「ただ夢中になれるだけでなく,いろんな理屈も学んでいく。つまり情緒的なものと理性的なものが相まってガンプラを作っていく。そのプロセスが,ストレスで歪んだ気持ちを正してくれるのにすごく役に立つ」と語った。

 続く藤原氏は,鬼怒川小学校でのガンプラアカデミアのテスト授業にて,上級生が下級生に対して自発的にアドバイスをしていたというエピソードを披露。そういった自発的なコミュニケーションが生まれるということに,新たな気づきを得たという。

 古賀氏も,人間が脳をもとも使うのは何かを作ったときと,その作ったものを通じて他者と話をするときであるとし,「それは脳全体,とくに前頭葉を育てることに結びつく。そして何より楽しいし,友だちに良い影響を与えることもできる。それがガンダム×サステナブルの中でも非常に大切な部分を占めている」と表現した。

 GUDAの今後について,藤原氏は「現状,2022年春頃に第3回 ガンダムカンファレンスを開催したいと考えている」とし,ガンダムオープンイノベーションや,発表された新コンテンツに関する話などができるのではないかと展望を示した。
 そして古賀氏は,自身が今はまだ“にわかガンダムファン”であるとしつつ,「このイベントを通じて,今後ガンダムに対する気持ちがサステナブルになっていくという確信を得た」と話していた。

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