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バングラデシュで人気のあったEコマースサイトを運営する企業が多額の負債を抱えていることが明らかになり、社会問題になっている。9月25日付けのバングラデシュの英字紙ザ・デイリースターは、社説でこの問題を採り上げた。

© Nataliya Vaitkevich/ Pexels

130億円の負債

 地元の報道によると、問題になっているのはEvalyというサイトだ。2018年に立ち上げられて以来、かなりのディスカウントで激安商品を販売し、人気を博していたという。しかし、2021年に入ってからは資金繰りに行き詰まり、バングラデシュ中央銀行の査察によって多額の負債があることが判明した。社説によれば、現在の負債は100億タカ(約130億円)に上るという。
 「10年前にバングラデシュで初めてEコマースが始まったころ、Eコマースは政府が標榜する<デジタルバングラデシュ>に欠かせない要素であり、大きな期待を抱かせた。しかし、政府による監督が不十分であるうえ、規則や規定も不完全であるため、各企業が好き勝手に運営するようになり、不正が行われたり、消費者や投資家を搾取したりするようになってしまった」
 社説はさらに疑問を投げかける。
 「なぜこのように残念な状況になってしまったのか。この10年間、政府はなぜ確固たるEコマース政策を打ち立てる緊急性を感じなかったのか。急成長するこの産業に対し、監督担当部署を立ち上げなかったのはなぜか。バングラデシュ政府はデジタルコマース政策を掲げているが、その詳細な運用ガイドラインができたのは、今年7月のことだった。しかし、この政策に必要だと明記されているEコマースの監督省庁は、いまだこの国にない。商業省内のEコマース担当も、2月に設置されたばかりだ。1000億タカに上る負債を抱えるEvalyへの不満が噴出し始めて半年以上が経ってからのことだった」

政府の不作為への強い批判

 社説によれば、Eコマースの問題企業はEvalyだけではないという。しかし、関係省庁はこの問題をめぐり責任のなすりつけ合いをしている。
 「Eコマースの問題について、関係省庁がそれぞれの責任を果たしていないことはまぎれもない事実だ。そのだらしのなさから、消費者や投資家が悪徳企業の餌食となり、苦しみをもたらした。もし、これらの企業が責任を問われなければ、Eコマース全体への信頼が損なわれ、経済全体の後退につながるだろう」
 社説は政府の不作為を強く批判した上で、「こうした被害について正義が果たされるようにすべきだ」と、主張する。
 いまや、Eコマースは、先進国、途上国を問わず、世界中の人々の生活の中に浸透し、定着している。国によっては、電子マネーは開発されても宅配システムが未発達であるなど、発展の仕方はさまざまだ。しかし、いずれのケースであっても、必要なのは、規則にのっとったビジネスが消費者に害をもたらさないように実施されることだ。Eコマースという、限りない可能性を秘めた産業であるからこそ、公正な競争を維持するためのシステムが必要だろう。

 

(原文https://www.thedailystar.net/views/editorial/news/lost-the-la-la-land-bangladeshi-e-commerce-2181771)

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