新型コロナの新たな変異株、オミクロン株が確認され、世界で再び移動制限が始まった。タイも例外ではない。11月29日付のタイの英字紙バンコクポストでは、社説でこの問題を採り上げた。
ゆるむ警戒心
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が確認されたことを受け、タイ政府は、ボツワナ、エスワティニ、レソト、マラウィ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエからの入国を禁止した。社説は、「タイ政府のこの判断は正しいが、それ以外にもこの危険な変異株から国を守るためにしなくてはならないことがある」と、指摘する。
世界保健機関(WHO)がオミクロン株と名付けた変異株については、ワクチンの効果や感染拡大の速さについて、研究が重ねられている。欧州の国々と同じように、タイ政府も11月27日、アフリカ南部8カ国からの入国を禁止したが、これらの国々に加え、ベルギー、香港、イスラエル、そして、ドイツ、イタリア、英国など、オミクロン株による感染者の確認例が相次いでいる。
「タイ政府は11月に63カ国・地域から、隔離措置のない入国を再開したばかりだが、オミクロン株による感染を防ぐために警戒を強化すべきだ。今、多くの人々が安心して予防策をゆるめていることについて、専門家の中には、12月から1月にかけて再び感染の波が訪れると警告する人もいる。そこへオミクロン株が侵入してきたら大変だ」
陸路の感染拡大を防ぐために
タイの疾病予防局によると、タイ政府が外国人の受け入れを再開して以降、11月下旬までに1007人がアフリカ南部の国々から入国したが、PCR検査で陽性の判定が出た人はいなかったという。
しかし社説は、ベルギーで若い女性とされる感染者が、エジプトとトルコを旅行して帰国し、11日後に発症したケースを挙げ、「1007人が本当に感染していないかどうか、保健当局は観察し続けなければならない」と訴える。タイへの入国者も、到着時に陰性だったからといって本当に感染していないという保証はない、というのだ。
タイの場合、空路よりも問題が深刻なのは、陸の国境だ。合法、違法、さまざまな形で、隣接する国々との人の流れが途切れることはない。社説は、「陸の国境も厳しく制限されなくてはならない。デルタ株は、陸路での出入国が原因でタイ国内に広がった。陸路での出入国を管理するのは困難だが、いかなる手を打っても抜け穴はふさがなければならない」と、強く指摘する。
「新型コロナウイルスによって、この2年間、経済は大きな打撃を受けた。以前の水準まで経済が回復するには、さらに2年かかると言われている。 国民は、もはやロックダウンに耐えられない。オミクロン株の出現によって、政府は国民を守る難しさを改めて突き付けられた。政府はオミクロン株の感染を防ぐために、入国を禁止する国の拡大を含め、より厳しい措置も視野に、急ぎ手段を講じなくてはならない」
ようやく長いトンネルを抜けたかと思ったら、再びトンネルに入ったのだろうか。それでも、積み重ねた経験と知識と知恵で、一刻も早く、安全にこのトンネルを抜けることを願いたい。
(原文https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/2223143/travel-ban-is-right-move)
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