Intelから2022年に発売が予定されている第13世代 CPUであるRaptor Lakeですが、Intelが申請した特許情報によると、消費電力を現行のAlder Lakeより低減させる技術が投入される模様です。
Raptor Lakeから搭載される省電力技術について特許情報から判明
Intelから将来登場するCPUの情報としては2021年3月頃にVideocardzがAlder LakeとRaptor Lakeの情報が記載されたスライドをリークしています。
この中でRaptor Lakeについては『DLVR Power Delivery』と呼ばれる新しい電源供給に関する技術が記載されていました。このDLVRの詳細についてTwitter上でテクノロジー系の特許情報を発掘するUnderFox氏がこれに関連する特許情報を発見し、公開しています。
The basic idea behind Raptor Lake’s new power delivery architecture proposal is to include a digital linear voltage regulator (DLVR) as a voltage clamp placing in parallel to the primary VR, reducing CPU VID and thereby also reducing processor core power consumption. pic.twitter.com/n7kwjwTY9C
— Underfox (@Underfox3) August 19, 2021
消費電力は現在発売されているCPUと比べて25%ほど削減が可能に
このDLVRに関する特許は2020年1月6日に出願が行われており、公開されたのは2021年7月8日となっています。
現在一般的に使用されているCPUでは、電圧関係はマザーボードに搭載されている電圧レギュレーターで一定の電圧をCPUに供給するようにされていますが、Intelが公開したDLVRでは、マザーボード側に搭載されている電圧レギュレーターとは別に、CPU側に電圧レギュレーターを追加が行われるようです。このCPU側に電圧レギュレーターを搭載する事で、消費電力の低減を実現する事が見込まれているようです。
通常、電圧レギュレーターを追加すればレギュレーターによって失われる電力が若干ながらも発生し、消費電力的には不利方向に働きます。
しかし、Intelによるとマザーボード側でCPU負荷が瞬間的に増えた時でも電圧を確保するLoad Line Calibrationや電圧レギュレーターの誤差が原因でマザーボード側に搭載されている電圧レギュレーターではCPUが要求する電圧以上の電圧をCPU側に送り込む事があるらしく、結果的に高い消費電力や発熱を生み出してしまっているとの事です。
そのため、DLVRと呼ばれるもう一つの電圧レギュレーターをCPU側に搭載する事で、入力された電圧を監視し、必要な分だけCPUへ供給されるようにし、消費電力や発熱を抑えるとの事です。
Intelの研究によると、このDLVRによってCPUの電圧は160mVほど低減が可能となっており、CPU本体の消費電力に換算すると20から25%ほどの低下が見込まれるとの事です(520番のグラフ)。また、CPU本体に必要な電圧を下げる事で、同一の電圧を使うCPUとパフォーマンスを比較すると約7%ほどの改善が可能になっています。
Plot 500 shows that it is possible to eliminate as much as, for example, 160 mV of the CPU voltage Vin, which translates to about 20% to 25% decrease of the CPU power as shown in plot 520. Here, the portion showing the power saving beyond 40 A does not take into account the D-LVR losses. In this example, a 21% drop in the CPU is translated to approximately 7% performance gain.
DIGITAL LINEAR REGULATOR CLAMPING METHOD AND APPARATUS – Intel Corporation (freepatentsonline.com)
Alder LakeではARM系CPUで使われているハイブリッドアーキテクチャーが採用されていますが、デスクトップ向けCPUではCore i9-12900Kのブースト時最大が243Wと消費電力の削減があまり進んでいない印象がありました。しかし、Raptor Lakeでは消費電力の削減を視野に入れた設計が取り入れられる可能性が高そうです。もし、特許通り20%ほど消費電力が下げられればワットパフォーマンスは大きく向上が見込めます。
ただ、気になるのがIntelのロードマップ上ではこのDLVRについてはモバイル向けCPUの欄に書かれており、デスクトップ向けCPUの欄ではDLVRに関する表記はありません。もしかしたら、Intelとしてはデスクトップ向けCPUを購入する層はあまり消費電力を意識する事は無いと考えておりデスクトップ向けCPUではこの消費電力低減技術は搭載されない可能性も少なからずありそうです。
個人的にもデスクトップ向けCPUに対しては消費電力低減についてはあまり関心がありませんでしたが、最近RTX 4000やRadeon RX 7000が600Wを超えるという噂が出ており、このままでは電源ユニットの容量のみならず、1500Wと言う日本のコンセント要件にも当たってしまいそうですので、CPU側で削れるのであれば出来るだけ消費電力は削減してほしい気持ちも若干ありますね。
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