★自民党総裁選挙は17日の告示を目前にした15日午後、出馬を熟慮していた元幹事長・石破茂が同派の臨時総会で不出馬を表明した。同時にコロナ相・河野太郎を支持する考えも示した。党内7派閥のうち細田派、麻生派、竹下派、二階派、石原派の5派閥が事実上の自主投票にする方向。谷垣グループは大筋で、岸田派は派閥を挙げて前政調会長・岸田文雄を支持。衆院選挙を前に派内の若手を取り込み切れなかったため、党内は派閥単位の結集が出来ず、異例の総裁選挙に突入する。
★最後まで悩んだ石破は「自民党を変えてほしい、政治を変えてほしいという国民の思いに応えるため、改革を志す勢力が二分すべきではないという思いに基づき、決断にいたった」と断腸の思いであることを語った。既に政権政策なども出来上がっていたものの、本当の敵は総裁選を戦う候補者ではなくその背後にいる党改革にブレーキをかける勢力だということだろう。石破が党内ベテラン議員にすこぶる評判の悪い河野陣営に付いた理由はいくつかある。1つは党員や国民に人気の高い河野・石破のタッグで安倍・菅政治を終わらせることや党内の忖度(そんたく)政治をなくし、前首相・安倍晋三支配を終わらせる。それには圧勝が条件で、それにより河野時代が始まることで世代交代が進むと同時に石破は党中枢で影響力が残る。
★ただ石破の不出馬は党内若手の危機感を募らせるというけがの功名もあった。当選3回の議員らで作る党風一新の会は福田達夫を中心に党総裁・菅義偉、幹事長・二階俊博のまま総選挙に突入することを嫌い、ことに福田は公文書政策に強い使命感を持っていた父、元首相・福田康夫の薫陶を受け、結果的には脱・安倍政治を後押ししたことにもなった。総裁選挙の結果は半月後、結果はわからないが、少なくとも当初安倍・二階が描いた総裁選挙にはならないだろう。(K)※敬称略