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 14日の記録的大雨で1級河川の六角川が氾濫し、支流や用水路の水が宅地などにあふれ出る「内水氾濫」も起きた佐賀県武雄市では、翌15日、住民らが泥のかき出しやぬれた家財道具の片付けなどに追われた。しかし、九州は16日以降も激しい雨になる見込みで「いつまで続くのか」と疲れ切った様子で話す人もいた。

【写真特集】大雨が降った佐賀の15日の様子

 武雄市では2019年8月の大雨でも浸水被害が広がった。「何もしようがない。2年前と同じ感じだ」。同市朝日町地区で食堂を営む原口昭子さん(72)がそう語る店内では、ジョッキを冷やす冷蔵庫が倒れていた。

 同市朝日町甘久の「武雄自動車学校」では、職員総出で片付けをしていた。2年前も浸水被害に遭っており、副管理者の大橋一也さん(47)は「ここで仕事をどうにかしたい」と、もどかしそうに話した。今回は教習車を敷地外に避難させていたため被害を最小限にとどめることができたが、それでも建物内の受付や待合室が水につかった。大橋さんらは雨が上がった貴重な時間を生かして椅子などを外で乾かしたが、16日はまた雨の予報が出ている。

 避難所になっている同市北方町の北方公民館では14日未明、水が入り口の近くまで迫ったという。近くに住む松江八重子さん(68)は13日から義母と避難していたが、水が近くまで来たため更に2階への「垂直避難」を余儀なくされた。

 水は15日もなかなか引かず、自宅に荷物を取りに行くため消防隊のボートに乗せてもらった際、水は隊員らの腰の高さまであった。「早く帰りたい。普通の生活ができない避難所は心の負担が半端ではない」とつらそうに話した。【高橋広之】