プライバシー関連法へのコンプライアンスをコードのレベルでチェックするアーリーステージのスタートアップRelyance AIが米国時間9月15日、2500万ドル(約27億3000万円)のシリーズAを発表した。また同社は、未発表だった500万ドル(約5億5000万円)のシードラウンドも公表した。
シリーズAをリードしたのはMenlo VenturesとUnusual Ventures、そしてシードラウンドはUnusualが単独でリードした。契約条件に従い、Unusualの連続起業家Jyoti Bansal(ジョティ・バンサル)氏が取締役会に加わる。彼のパートナーであるJohn Vrionis(ジョン・ブリオニス)氏も、シードラウンドの直後に加わっていた。MenloのMatt Murphy(マット・マーフィー)氏はオブザーバーとして加わる。同社の調達総額は3000万ドル(約32億8000万円)になる。
Relyance AIは、データがコンプライアンスを維持していることをコードのレベルで調べて検証するという、珍しい手法を採る。そのため契約や既存の法務要件などをコードとして取り入れ、企業がコンプライアンスを確保する。CEOで共同創業者のAbhi Sharma(アビ・シャルマ)氏によると、コードレベルのチェックこそがソリューションの鍵だ。シャルマ氏によると「世界で初めて、私たちは法的コンプライアンスや規制をソースコードに作り込んでいます」。
「Relyance AIは顧客のインフラストラクチャのDevOpsパイプラインに実際に組み込まれるため、新しいETL(データの抽出加工書き込み)パイプラインが作られたり、機械学習のモデルが新たなソースコードを受け取る度に、コンパイラーのような分析を行って、個人の秘密データが内部のマイクロサービス間やデータレイク間、データウェアハウス間でどのように流れるかをチェックします。得られたメタデータ分析を、企業内のプライバシーとコンプライアンスのプロフェッショナルに返します」。
同社の別の創業者で共同CEOであるLeila R. Golchehreh(レイラ・R・ゴルチェレ)氏は、コンプライアンス業務のベテランであり、これまでにも多くの企業のコンプライアンス遵守を指導してきた。彼女によると、Relyance AIにより企業はポリシーや契約をコードとして定義できる。
ゴルチェレ氏は「私たちのやり方は、契約の取り込みを重視しています。実際のところ、私たちは企業がデータ保護協定をつくる場合の、良い協定を書くためのアルゴリズムを作ってきました。私たちは適切な関連条項を取り出して、それを企業の業務実態と突き合わせています。不整合があったら、それをデータ不整合のインテリジェントなインサイトとして取り上げます」という。
共同創業者たちによると、現在、社員は32名だが今後1年〜1年半以内に2〜3倍にしたいという。ゴルチェレ氏とシャルマ氏はダイバーシティを自ら実現している共同創業者仲間であり、それを今後の同社のモデルにしたいという。2人によると、一般的にリモートファーストはダイバーシティの普及に貢献しているが、同社は内規でもそれを勧奨しているという。
「一緒に仕事をしているリクルーターたちも『私たちもいい人間と多様な人間を雇いたいんだ』という。企業としてのRelyance AIは、ジェンダーも人種も異なる2人が一緒に始めた会社の好例です。願わくば、規模を拡大していく中で、それを会社に伝えるという私たちの仕事ができると思います」とシャルマ氏はいう。
2人の創業者は長年の友人だが、2019年のある日、ディナーでピザを食べながら、会社を作ろうという話になった。アイデアがまとまって会社を興したのが2020年2月だ。彼らはコンプライアンスのプロたちにいろいろ話を聞いてて、求められる要件を理解した。そして2020年7月に、現在のソリューションを構築し始めた。2021年2月にはベータ版をリリースし、3月には密かに営業を開始した。
彼らのソフトウェアの、現在の初期の顧客にはDialpadやPatreon、SamsaraそしてTrueなどがいる
画像クレジット:SurfUpVector/Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)