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サムスン電子は11日、「Galaxy Unpacked」イベントでスマートウォッチ「Galaxy Watch 4」シリーズと、完全ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds2」を発表しました。特にGalaxy Watch 4シリーズは、グーグルとの連携により、多くのアプリに対応するなど、飛躍的な進化を遂げています。

 

なお、このイベントではフォルダブル(画面折りたたみ型)スマートフォン2機種も発表されています。詳細は下記の記事でご覧ください。

 

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おなじみのアプリが使え、グーグル系のサービスと相性がよくなったGalaxy Watch 4

発表されたスマートウォッチは、スポーツウォッチ型のスタンダードモデル「Galaxy Watch 4」と上位モデルの「Galaxy Watch 4 Classic」の2モデル展開。米国での価格は、それぞれ249.99ドルと349.99ドルとなっています。

 

↑左がGalaxy Watch 4、右がGalaxy Watch 4 Classic

 

Galaxy Watchシリーズは今回、大きな変化を遂げました。サムスン電子が独自に開発していた「Tizen OS」が、グーグル系の「Wear OS」に統合。Android向けのGoogle Playストアから、Galaxy Watch 4シリーズにアプリをインストールできるようになりました。

 

これにより、音楽配信サービスのSpotifyの曲をGalaxy Watch 4シリーズから再生したり、Gmailに届いたメールに音声で応答したりと、スマホを取り出す必要なく、操作できるようになりました。

 

また、OSの統合によって、グーグル系のサービスを本格的に活用できるのも、これまでのGalaxy Watchシリーズにはなかったメリットと言えるでしょう。具体的にはGoogle マップのナビゲーション機能や、Google Payのタッチ決済などが使えるようになります。

 

↑WearOS by Google搭載のスマートウォッチではおなじみのGoogle マップのナビゲーション機能が、Galaxy Watch 4シリーズでも使えます

 

もちろん、Galaxy Watchシリーズならではの便利な使い勝手も残されています。たとえば、ベゼルをなぞってスクロールすることで画面を切り替える「回転ベゼル」機能は、Wear OS上でも再現。上位モデルのGalaxy Watch 4 Classicでは物理的な回転ベゼルを搭載し、スタンダードモデルのGalaxy Watch 4では、タッチパネルで回転ベゼルの操作感を実現しています。

 

↑心拍数の確認画面やウィジェットの追加画面に切り替えられる回転ベゼル機能

 

また、Galaxy Watch 4シリーズはAndroidスマホやiPhoneと連携できますが、Galaxyスマホと連携すると、より快適に使えるように設計されています。たとえば、スマホで設定したホーム画面のテーマを時計の盤面(ウォッチフェイス)に反映させたり、スマホで設定したアラームを時計から鳴らしたりできます。

 

世界初の“体組成計”機能搭載

Galaxy Watch 4シリーズは、スマートウォッチとしては世界初となる機能も搭載しています。それが、生体電気インピーダンス分析(BIA)法による健康状態の分析機能です。

 

このBIA法は、体組成計などでよく使われている技術で、体に微弱な電力を流して、その伝わり方で骨格筋量や体脂肪率、体水分率などを分析します。要するに、これまで体組成計に乗って測っていたような健康に関する情報を、スマートウォッチを身に着けるだけで常に確認できるようになる、というわけです。

 

もちろん、スマートウォッチでは一般的な、歩数や活動量の計測にも対応。心拍数を測定する機能も備えています。

 

また睡眠分析では、スマホと連携した「いびき検知」機能も搭載。自分では気づきにくい睡眠中のいびきを、枕元のスマホで検知して記録し、睡眠状態と合わせて確認できます。

 

再結集でApple Watchに対抗か

数年前まで振り返ると、Galaxy Watchシリーズは、もともとグーグル系のOS「Android Wear」を採用していました。その後、サムスン電子はスマートウォッチでグーグルと袂を分かち、主導で開発したTizen OSに乗り換えました。

 

一方でAndroid Wearは、2018年に「WearOS by Google」に改称。グーグルは独自のスマートウォッチを作らず、米フォッシルやカシオ、中国OPPOなどのメーカーにOSを提供する形で製品展開を進めてきました。

 

一度違う道を選んだサムスン電子とグーグルが再びOS統合に踏み切った背景には、スマートウォッチでも大きなライバルとなっているアップルの存在があります。

 

WearOS by GoogleもTizen OSも順風満帆とは言えず、米Counterpointの調査によると、2021年第1四半期の出荷台数のOS別シェアでは、Tizen OSが2位の8.0%、WearOS by Googleが5位の3.9%にとどまっています。首位はApple Watchを擁するアップルで、同社のwatchOSのシェアは33.5%と圧倒的に高く、さらに市場シェアを広げています。

 

↑米Counterpointの調査結果から

 

つまり、スマートフォン向けOSではアップルとシェアを二分しているグーグルも、スマートウォッチを含むウェアラブルデバイスの分野では、苦戦を強いられている状況でした。一方のサムスン電子はTizen OSで善戦していたものの、Galaxyスマホとの組み合わせでシェアを拡大し続けていくことは難しいと判断し、グーグルとの提携を選んだということになるでしょう。

 

またグーグルは、フィットネス系のウェアラブルデバイス市場で大きなシェアを持つFitbitを買収し、WearOS by Googleの開発チームに組み入れています。サムスン電子がGalaxy Watchで培った開発実績と、Fitbitのヘルスケア技術、そしてグーグルが作り上げたアプリ開発者のコミュニティという3つの強みを持ち寄って、アップルに対抗しようという思惑がありそうです。

 

アクティブノイズキャンセリングに対応した豆粒型のイヤホン「Galaxy Buds2」

冒頭でも触れましたが、11日のイベントでは、完全ワイヤレスイヤホンの「Galaxy Buds2」も発表されました。Galaxy BudsはアップルのAirPodsとも違う、豆粒のような独特な形状のイヤホンです。米国での価格は149.99ドルとなっています。

 

↑Galaxy Buds2

 

カラーはOlive、Lavender、White、Graphiteの4色。充電ケースは白色で、開くと本体色に合わせたカラーが現れる“裏地に凝る”色合わせになっています。

 

↑4色のカラバリをそろえたGalaxy Buds2。ケースには「Sound by AKG」の文字が入っています

 

曲面を多用したイヤホンの形は、多くの人の耳穴にフィットし、一日中着けていても疲れにくいとしています。さらに、人それぞれに違う耳の穴の形状を分析して、個人に合わせた聴こえ具合にチューニングする機能も搭載しています。

 

↑疲れにくい形状とうたうイヤホン本体

 

また、ノイズ音を低減するアクティブノイズキャンセリング(ANC)に対応し、周囲の音を最大98%カットできるとしています。ANCのための集音マイクとして、一つのイヤホンに3基のマイクを装備したことで、この高いノイズキャンセリング性能を実現したとのこと。

 

バッテリーはANCオンで5時間の連続使用に対応。ANCオフなら7.5時間利用できます。これに加えて、バッテリー付きケースを併用すれば、最大20時間利用可能。充電は専用ケースのUSB Type-C端子から行えます。

 

このほか、Bluetooth 5.2をサポートし、アプリを用いたスマホやPCとの接続にも対応。GalaxyスマホとGalaxy Watchの組み合わせなら、接続先のスマホとスマートウォッチを自動で切り替えることも可能です。たとえばちょっとランニングをするときに、スマホは家に置いたまま、スマートウォッチとGalaxy Buds2という組み合わせで音楽を楽しめます。

 

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