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アフガニスタンでは、各地を制圧した反政府武装勢力、タリバンが首都カブールに部隊を進めるとともに、政府に対し政権の移行を迫っています。一方、ガニ大統領は突然、出国し、事態は重大な局面を迎えています。

アフガニスタンでは、治安を担ってきたアメリカ軍が今月末までの完全撤退を目指す中、タリバンが各地で攻勢を強め、これまでに34ある州都のうちの31を支配下に置きました。

そして首都カブールに迫ったタリバンは日本時間の15日夕方声明を出し「武力を使ってカブールに入ることは望んでいない。平和的にカブールに入り、政権移行プロセスを安全に完了させるよう敵対勢力と協議している」と明らかにしましたが、その後、別の声明を出し、部隊にカブールに入るよう命じました。

こうした中、和平プロセスを主導してきた国家和解高等評議会のアブドラ議長は、ガニ大統領が中央アジアのタジキスタンへ出国したと自身のツイッターに投稿しました。

ガニ大統領が緊迫した情勢の中で出国した詳しい理由などは明らかになっていませんが、タリバンの部隊が政府庁舎を占拠しつつあるという情報も伝えられていて、事態は重大な局面を迎えています。

アメリカ 大使館職員を空港へ移動

アメリカのブリンケン国務長官は15日、アメリカ・ABCテレビとのインタビューで、首都カブールにあるアメリカ大使館の職員を市内にある国際空港へ移動させていることを明らかにしました。

そのうえでブリンケン長官は「外交活動は維持する」と述べ、大使館を閉鎖するわけではないと強調しました。

NATO 空港機能の維持を支援

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は15日、ツイッターに投稿し、アフガニスタン情勢をめぐって、イギリスのジョンソン首相のほかカナダ、デンマーク、オランダの外相と相次いで協議したことを明らかにしたうえで「退避が進むよう、NATOはカブールの空港の機能の維持を支援している」としています。

イラン 一時避難先としてキャンプを設置

アフガニスタン情勢が緊迫するなか、隣国イランの政府高官は15日、アフガニスタンから逃れてくる人々の一時避難先として国境を接する東部の3つの州にキャンプを設けたことを明らかにしました。

イランの国営通信は、アフガニスタンと国境を接する南東部シスタン・バルチスタン州にアフガニスタン政府軍の兵士がこれまでに多数、逃れてきたと伝えています。

ただ、イラン内務省の高官は、軍の関係者であればアフガニスタン側に引き渡すことになるとしているほか、市民であってもアフガニスタンの状況が改善すれば本国に戻ってもらうとしています。

長年にわたり難民を受けいれてきたイランには難民として登録されていない人も含めて、アフガニスタンから逃れてきた人がおよそ300万人いるとされていて、イラン政府としてはアメリカの制裁で経済が苦境に陥る中、隣国から多くの難民が押し寄せることを警戒しているものとみられます。