突然届いた身に覚えのない“69泊”「気持ち悪い」GoToトラベルキャンペーンで何が?【調査報道23時】
【GoTo事務局から届いた手紙】
GoToトラベル事務局から不可解な2通の手紙が届いたのは、9月半ばのことだった。
「私と妻に同じような内容で届きました。10月20日から12月28日までの69連泊」
男性と妻が、あるホテルに去年、69連泊したかどうかを確認する手紙だった。そんな覚えは全くない。さらに・・・
69連泊の確認を求められた男性
「こちらに書いている宿泊施設は私も妻も一回も泊まったことがないですし、全く知らない。ちょっとびっくりした」
手紙に記されたホテルの名を、見たこともなかった。
「GoToトラベルキャンペーン」の利用客は、ホテルなどの宿泊料金を最大半額割引されるうえ、旅先で飲食などに使えるクーポン券をもらえる。宿泊代の割引分は、国がホテルに支払う仕組みだ。
身に覚えのない69連泊。このホテルは一泊9000円前後で、69連泊すると、およそ20万円の補助が受けられる。
【「身に覚えのない長期連泊の情報がいっぱい」】
誰かが夫婦の名を語ってホテルに泊まり、GoToを利用したのだろうか。男性はGoToトラベル事務局に電話をかけた。すると・・・
69連泊の確認を求められた男性
「(事務局は)ああ、なるほどみたいな感じで、身に覚えのない長期連泊がされているという情報がいっぱい上がっていると言われて、私もちょっとびっくりした」
実際には泊まっていないのに、長期宿泊したことになっている人が大勢いる・・・。その言葉通り、私たちは、別の女性からも同様の証言を得た。
41連泊の確認を求められた女性
「去年9月と10月ごろに41泊したかどうかの確認の内容が届いていました」
Q.知っているホテルですか
「いや、ではないです」
Q.初めて聞いたホテル
「初めて聞いたところですね」
見も知らぬホテルに41泊したのでは、そう確認する手紙が事務局から届いたのだ。
41連泊の確認を求められた女性
「正直、お金の請求がなかったので、目的が分からないです。何で名前と住所を勝手に使われたのか、どこから漏れたかも分からないので・・・、単純に気持ち悪いというか・・・」
【なぞの団体予約】
夫婦で69連泊したことにされた男性は、ホテルに電話をかけることにした。自分と妻は、本当に泊まったことになっているのか・・・
ホテルの担当者
「お待たせしております。確認取れまして、確かに●●●様で入られていた。お間違いないですか」
69連泊の確認を求められた男性
「実は、私と妻、この期間の69泊なんですけど、実際には宿泊したこともないんですよ」
ホテルの担当者
「あっ、左様でございますか」
ホテルには、69連泊した記録が確かにあると言う。では一体、夫婦の名を使って宿泊したのは、誰なのか。
ホテルの担当者
「予約のシステムがあるんですけれども、こちらで検索をすると、お二人のお名前は間違いなくでてきて、登録されているんです」
取材を続けると、都内のある会社が夫婦の名前で宿泊予約を入れていたことが分かった。夫婦にとっては、聞いたことのない会社だ。
【「誤って名簿に名前を」】
なぜ、この会社は関係のない他人の名前で予約したのか。私たちは、この会社に取材を試みた。すると会社は、社員などにテレワークをさせるため、ホテルの客室を団体予約したが、その際に誤って夫婦の名前を使ってしまったという。では、どうやって夫婦の名前など個人情報を入手したのか。
「当社社員ならびに当社の関係会社から宿泊希望もしくは、宿泊する予定がある方として頂きました情報を入手した」
男性は・・・
69連泊の確認を求められた男性
「個人情報がどこからか漏れて、それを利用されたなと。気持ち悪いなと。そのことによって補助金が払われるとしたら、基本的には我々の税金。GoToトラベルって、ちゃんとしてよってのが一番大きいですよね」