2021年10月17日20時34分
「常に支払いのことが頭をよぎる毎日。頑張ってためてきたお金だった」。「西山ファーム」をめぐる詐欺事件で被害に遭ったと、悔しさを口にする愛知県一宮市の契約社員の女性(51)は今も月収の約半分を毎月クレジットカードの返済に充てている。
西山ファーム元幹部ら逮捕 詐欺容疑、20億円被害か―愛知県警
「保証金を預ければ、元本を保証し、利息も付いてもうかる」。女性は2018年ごろ、知人に紹介された男に誘われ、500万円を西山ファームに支払った。約束通り、利息分が口座に入金された。その後すぐに、同社から新たな投資に誘われた。クレジットカードで購入した商品を同社が香港で高額販売し、収益分を上乗せして返金するという話だった。
女性はこの話を信用し、クレジットカードを十数枚用意し、フルーツの詰め合わせなど毎月数十万円分の商品を購入した。当初は、購入額に約10%上乗せされた金額が振り込まれたが、19年2月ごろには支払いがぴたりと止まったという。「今思えば、こんな甘い話があるはずはなかった」と後悔した。
愛知県豊田市の自営業男性(45)は保証金も含めて、約1200万円を投資したが、同社から還元されたのは約500万円。今も返済が続く。クレジットカードを使って手元に届かない商品を購入したとして決済し、その返済額を同社側が用意する手口の投資話。「クレジットカードで回すということに怪しいとも感じていた」と悔しさをにじませた。