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イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧したことについて、バイデン米大統領は16日の演説で米軍の撤収を堅持する方針を示した。現地が混乱を極めるなか、各国首脳はアフガン情勢を協議するとともに、難民や女性の人権保護などの対策に動き始めた。

戦況見通しの甘さ認める

バイデン米大統領は16日の演説で「(米国の)アフガニスタンでの任務は国家の建設や中央集権的な民主主義の構築ではない」と強調し、8月末に予定する米軍撤収を正当化した。首都カブールを制圧したイスラム主義組織タリバンに人権の尊重を求めるとしたが、「軍事力ではなく経済や外交的手段を使って確保する」と語った。

バイデン氏はホワイトハウスで演説し、タリバンによるカブールの制圧を巡り「我々が想定したよりも早かった」と述べ、戦況について見通しが甘かったと認めた。その理由としてアフガン政府の治安部隊が戦闘に挑まなかったことをあげた。

「アフガン部隊が自分たちのために戦わない戦争で米兵が戦って命を失うべきではないし、そんなことはできない」と強調。「アフガン軍がタリバンに立ち向かわないのであれば米軍があと1年または5年、20年駐留しても意味がない」と訴え、終わりなき戦争を終えるべきだと主張した。

中国やロシアとの競争にも触れた。「米国がアフガンで無期限に巨額の資金を投じ、アフガンの安定に注意を向け続けることは真の戦略的競争相手が好むものでしかない」と述べた。バイデン政権はテロとの戦いに区切りをつけて中国との競争に注力したい方針だ。

またブリンケン米国務長官は16日、中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相とアフガン情勢について電話協議した。ブリンケン氏は「米中が地域の安全保障問題で協力することが非常に重要だ」と表明。中国によると、王氏は「米国と意思疎通しアフガン情勢を軟着陸させたい」と述べた。

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