〈ディッキーズ〉のセットアップをもう一度
いきなり個人的な話になりますが、はじめて〈ディッキーズ〉を買ったのは中学3年生の頃。今時期の12月頃、学ランの下にこっそり合わせるつもりで買ったのが定番モデル“874”の黒でした。ところがいざ鏡の前で合わせてみると、学ランの黒と“874”の黒の色味が結構違う……。
結局そのチグハグな黒の学ラン姿で臨んだ卒業式以来、ディッキーズをセットアップで着る発想からは離れていましたが、これなら20数年ぶりに試してみたい!そんな気にさせられたのが「417 エディフィス」が展開するニューレーベル〈フォスター〉別注のセットアップです。
大人の〈ディッキーズ〉は生地がポイント
そもそもストリート界隈では確固たる支持を集めている〈ディッキーズ〉。加えて、上下とも同生地で統一したセットアップのスタイルも市民権を得ている今、「ディッキーズ × セットアップ」という掛け合わせ自体は大いにあり。とはいえ、いい大人としては、あのワーク感増し増しな“T/Cツイル”素材の上下はハードルが高いのも事実です。
「ならば、アレンジすべきはまず生地でしょ!」というコンセプトが別注元である〈フォスター〉にどの程度あったのかは不明ですが、ポリエステルにレーヨンを混ぜた素材は、スーツ用の生地を思わせる柔らかな肌触り。少し動いた際に形成されるドレープにはエレガントな雰囲気すら感じます。遠目では無地に見えますが、実は細かいピンストライプの柄というのもポイント。
デザインのベースになったのは、おそらく〈ディッキーズ〉の名作アイゼンハワージャケットでしょう。オリジナルより身幅を大きく取り、肩のラインが落ちるシルエットは手持ちのゆったり目のトップスとも相性よし。セットアップとしてだけではなく、単品でも使いやすそう。
パンツのほうも〈ディッキーズ〉らしいシンプルなデザインは生かして、シルエットを微調整。オリジナルの874より腿のワタリ幅は太く、裾幅は細くすることで、ボリューム感を出しつつ、よりスッキリと見えるシルエットにアレンジされています。
むやみに高級感をプラスするのではなく、要所にしっかり〈ディッキーズ〉らしさを残しているのが好印象のコラボレーションです。もちろん、それぞれ単品でもワードローブに馴染んでくれそうですが、上下で揃えておけば着こなしの幅も広がるはず。冬のヘビーアウターの下にこんなセットアップを仕込んでいる大人がいたら、かなりかっこいいと思うのですが、いかがでしょうか。
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