自民、公明両党のコロナ対策は、経済活動と感染対策の両立を目指す立場だ。自民は「重症者数・死亡者数の極小化」を訴え、年内の経口薬普及や緊急事態宣言時の人流抑制などに向けた法改正を明記した。ワクチンの接種記録などを活用したイベントや会食の人数制限緩和も盛り込み、「ウィズコロナ」の道筋を示した。公明も国産経口薬の開発支援などを掲げた。
立憲民主党は徹底的な感染の封じ込めを優先する。これまで訴えてきた「ゼロコロナ」には触れなかったものの、水際対策について「全ての入国者を少なくとも10日間以上、ホテルなどで隔離」とし、現行より厳しい措置を打ち出した。
コロナ禍で疲弊した経済の立て直しでは、与野党ともに「分配」を掲げ、現金給付を前面に出した。自民は金額は示さずに非正規雇用者や女性、子育て世帯、学生らへの経済的支援を示し、公明は「0歳から高校3年生まで」に一律10万円相当を給付するとした。
野党側も「低所得者へ年額12万円」(立民)、「一律10万円で低所得者に10万円上乗せ」(国民民主)、「中間層を含め1人10万円を基本に低所得者には手厚く」(共産)などを提案した。主要野党は消費税減税でも足並みをそろえた。
ただ、給付財源はいずれも不透明だ。各党は国債発行などを挙げるものの、分配の原資となる税収増に結びつくような成長戦略は明確に描けていない。
外交・安全保障分野では、中国との向き合い方で各党の違いが顕著となった。
自民は中国の軍拡を念頭に、「防衛力を抜本的に強化する」とし、「相手領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力の保有」に踏み込んだ。敵のミサイル発射基地を自衛目的で破壊する敵基地攻撃能力を視野に入れたものだ。一方、公明は中国との友好関係を重視し、中国の軍拡や抑止力強化には触れていない。
野党内でも「自立的な安全保障体制」(国民)、「領域内阻止能力の構築への検討」(日本維新の会)など抑止力強化に前向きな主張がある。これに対し、立民は「中国の挑発行為に毅然(きぜん)として対処する」と言及したが、敵基地攻撃能力の保有については「憲法解釈に照らして慎重な検討を行う」と触れるにとどめた。