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世界の石炭火力の発電量、今年は過去最大になる見通し 実質ゼロへの道険しく

 IEA=国際エネルギー機関は、世界の石炭火力による発電量が今年、過去最大になる見通しだと発表しました。

 IEAは17日に発表した石炭についての報告書の中で、今年の石炭火力による発電量が前の年より9%増えて1万350テラワット時と過去最大になるとの見通しを示しました。経済がパンデミックからの回復する中で電力需要が増大したことや、天然ガスの価格が急騰したことに後押しされました。

 世界の石炭火力発電の半分以上を占める中国では9%増加、またインドでも12%増加し、ともに過去最大を記録しました。EUとアメリカではほぼ20%増加しましたが、パンデミック前、2019年のレベルには達していないということです。

 一方、鉄鋼生産に使われるものなども含めた全体の石炭需要は6%の増加で、まだ2013年、2014年のレベルには達していませんが、先進国では来年以降、減少に転じると見られるものの途上国での需要拡大がこれを上回り、天候や経済成長の度合いによっては来年にも過去最高に達する可能性があるとしています。

 IEAのビロル事務局長は「世界が、二酸化炭素排出の実質ゼロへの道から大きく外れていることの表れだ」とした上で、「各国が直ちに強力な行動をとらなければ世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えられるチャンスはほとんどない」と危機感を示しました。