もっと詳しく

Dappiは自民党のやらせ、アストロターフィング?

Dappiはアストロターフィング?

アストロターフィングの意味とは?

アストロターフィングの意味とは?

政治の文脈では「草の根運動」つまりは一般国民の自発的な行為であることを装い、別名義の組織が背後に居て一定の主張を広めようとする行為というのが公約数的な理解。多くの場合、資金提供者が居り、表向きの活動者とは異なる主体。

「本来は存在しない実態」を作り出すことや「誇張された評価」を広く拡散することが、人々の思考・行動の判断を狂わし社会をおかしくする点が非難対象となっています。

政治的には、民主的な判断の基礎となる情報それ自体が信用できなくさせる(「草の根だと思ってたのに…」)ことで民主政治の基盤を毀損する行為として把握されます。

アストロターフィングの構成要素は何だろうか?

  1. 草の根運動が行われているように見える
  2. 別名義の組織が背後に居て活動に資金提供等の支援をし、(その組織にとって有利な)一定の主張を広めようとしている
  3. ?(内容が虚偽であったり著しい誇張が含まれている)?

アストロターフィングの構成要素として1番は外せません。

「草の根運動」というのは、①一般国民による②ある特定の目的の実現を目指した③反復継続的な行動、と理解するべきではないでしょうか。それがなければ「匿名者が発信していて同調する誰かからお金を貰っていたらアストロターフィングだ」みたいな雑な認定になるので。

2番も「その組織にとって有利な」という部分は典型例ですが必ずしもそうではない場合も想定される(背後者すらさらに誰かが背後に居る場合)。「一定の主張」としたのは、具体的な事案の詳細な事実関係に関する主張ではなく、同性婚を認めろ/認めない、だとかいった主張の塊、幅のある政策、論争の争点となっているものを想定。客観的な事実の提供のみの場合は含まない趣旨(事実「検証」となると以下の問題が)。

3番も大体がその要素がみられると思われるが、世にあるアストロターフィングの説明では出てこない要素で、個人的に付け加えてみたもの。なぜなら、背後者が居たとして、その内容が真正なものであれば、それは正しい情報を国民に対して提供していることになるから

ただし、背後者自身の評価に関わるものや、複数の主体による評価の存在が重要な場合は、「第三者のお墨付き」があるとする公示を与えるので、この場合に限っては内容が正しくても公正性に疑義が生じるので問題視されるべき(客観的な事実の提供のみの場合は含まない趣旨)。逆にそうでなければ何が問題なのだろうか?。

Dappiのツイートは自民党が背後に居るアストロターフィング?

アストロターフィングの意味のインフレ化が懸念される事例として「Dappiは自民党が背後に居るアストロターフィング!」という言説がある。

この事例の事実関係を整理したものを、アストロターフィングの構成要素にあてはめてみよう。

  1. 党or党内の誰かからTwitterの発信に対して報酬を払っていた実態
  2. 単に自民(+α)の一部議員のシンパである社関係者の単独犯

現時点では1番も2番もいずれの可能性もあるということは上掲記事で書いています。

2番の場合にはまったくアストロターフィングではないわけです。

仮に1番だとしてアストロターフィングか?

  1. Dappiは主に国会動画の紹介と他人のリツイート(平日1日平均5回)
    ⇒自民党との契約として発信していたとしたら発信力が弱すぎ=怠慢ではないか?むしろ門田隆将のリツイートがリツイートの中では最も多く、おかしい
  2. 自民党に対して批判的な投稿も存在
    ⇒茂木大臣を「弱腰」と非難していたりと小渕議員の支部から仕事を受注している会社としては不審であり、日本維新の会の足立康史議員を最も好意的に取り上げている
  3. ツイートの一部に「落選運動」になるような「野党議員の悪評判を作る」という側面があったとして、それ自体が目的なアカウントではないことは明らか
  4. 何らかの「草の根運動」という特定の目的化された動きにはなり得ない
    ⇒Dappi自体が国会動画をUPしたり野党批判をするといった「草の根の動き」の極一部を構成していたにすぎず、それを推進・中心的役割を果たしているなどという実態は無い

仮に自民党の一部議員の意向を受けて発信していたという事情が存在していたとして、そういうアカウントが切り取り・事実と異なる内容による法益侵害となるツイートした(頻度としては少数)ことのガバナンス・管理責任の話に過ぎない

何らかのイベントのタイミングに合わせてやった、などの目的性も見いだせない。

Dappiの発信は隠れた名質疑の紹介やメディアが報じない質疑の文脈が分かるため、国民に対する適切な情報提供の側面もありました。

対して、背後者(自民党と言われているが…)自身の評価に関わるものや、複数の主体による評価の存在が重要な場合というのは、存在したんでしょうか?

いずれにしても、国会質疑の動画を添付するなど検証可能性が担保されていたのだから、そうではない発信よりははるかにましでしょう。

匿名者の発信よりも悪質な実名・有名な機関所属の者による捏造・歪曲

  • 実名・有名機関所属の者による捏造・歪曲。
  • 公党(公党所属議員)による風評加害・虚偽発言

これって「匿名発信者の背後に資金提供者が居る」ということよりも遥かに悪質だということが分かるだろうか?

匿名者よりも実名を名乗ってる者の方、しかもそれが公党や大手メディアであれば、その拡散力や信用度は高いとみられるのが一般的であり、その情報の誤りの悪影響は計り知れない。

現在の日本において、立憲民主党関係者やマスメディアによる情報の歪曲の事例は後を絶たない。そんな中で選挙前に「自民党のDappi問題」として騒ぎ立てるのは、既存の問題を覆い隠すための手段でしかない。

加計学園問題も、文科省が違法な告示によって獣医師会の地域格差を放置して何十年も獣医学部の新規参入を認めず岩盤規制を長年強いていた問題で、且つ、麻生大臣が日本獣医師会(当時の会長は麻生氏の地元である福岡出身の蔵内氏)で挨拶していたことなどから目を背けさせるために「安倍総理とのお友達の疑惑」が喧伝されていました。

Whataboutismだ」という批判は、こうした著しい非対称性明らかな現実の前には卑怯な言説だろう。例えば北朝鮮が日本に侵攻してきているのに一般人同士のケンカによる傷害事件を盛んにニュースにしているのを批判したら「Whataboutismだ」とでも言うのか?

以上:はてなブックマークをして頂けると助かります。